新人看護師の方や、ブランクのある看護師の方に向けての記事になります。
患者様のいきなりの発熱、どうアセスメントしたら良いか困る事ありませんか?
でも大丈夫!
これだけ抑えておけば良いのです!
現役看護師が分かりやすく説明させていただきます。
最後までお読みいただけたら、明日からの検温も困らないかなと思います。
~発熱とは~
そもそも発熱とは、原因疾患に対して免疫系が反応して体温が上昇することを言います。
発熱の程度は37.5℃までが微熱、37.5~38.5℃までが中等熱、38.5℃以上が高熱となります。
「ただの風邪」だと考えず、きちんとアセスメントをしないと重症化につながる事があるので要注意です。
看護する上で、これから説明する文章を読んでいただけたら
明日からの看護もやりやすくなるのではないかなと思います。
~主な原因・誘引~
・感染症、膠原病、悪性腫瘍、梗塞など
・脳出血、脳腫瘍、脳外傷など
・薬物の使用
・ヒステリー、神経症などの精神的刺激
・熱射病、不明熱 …となります。
上記のこれらが視床下部の体温中枢を刺激し、発熱という形となって現れるというわけです。
~随伴症状について~
・立毛、皮膚蒼白、戦慄(ふるえ)
・熱感、発汗、顔面紅潮など
・心拍数・脈拍数の増加、血圧低下
・食欲不振、舌苔、悪心、嘔吐、口渇
・尿量減少
・腰背部痛、頭痛、関節痛
・倦怠感、集中力の低下などがあります。
~看護のポイント~
1.発熱の種類・程度・経過
①健康時と現在の体温、発熱の時期と時刻、持続時間、熱型
②発熱以外の全身・局所症状とその経過
③体温測定時には、以下の変動要因の有無と程度を同時に調べてみてください。
・年齢、個人差、妊娠の有無
・生理的変動(運動、入浴、食事、飲酒、精神的興奮、外気温など)
④バイタルサイン
2.発熱の原因・誘因の有無と程度
①感染症、膠原病、悪性腫瘍、梗塞など
②脳出血、脳腫瘍、脳外傷など
③薬物の使用
④ヒステリー、神経症などの精神的刺激
⑤熱射病
⑥不明熱
3.発熱に対する診察と検査の結果
①診察:問診、視診、聴診、触診、打診
②検査:血液検査、組織検査など
4.発熱に対する治療内容と効果・副作用
①安静療法、②薬物療法、③輸液療法、④食事療法、⑤冷罨法、など
~総合的な観察の重要性~
発熱は、観察や炎症その他の疾病の重要な徴候になります。
観察時は、現病歴の情報や発熱以外の全身・局所の症状ならびに検査値などを見てアセスメントすることが重要となります。
体温だけではなく、血圧・脈拍数・SPO2値も合わせてみなくてはいけません。
~薬物療法時に注意する点について~
医師の指示で、高熱時につかう薬物・輸液についても注意が必要です。
「医師の指示が出ているから…」と言って、自分でしっかりしたアセスメントもせずに動くのは危険です。
その薬物の作用・副作用の把握、
輸液の作用・副作用の把握をしておくことでインシデントを防ぐことが出来ます。
~発熱時のアセスメントの例・ポイント~
例えば、Aさんの体温が38.5℃、BP=90/42 だとしましょう。
看護師B:「いきなり熱が出た!そうだ、先生が38℃超えたらこの薬を飲ますように言われていたな…よし、飲んでもらおう!」
それから1時間後再検…BP=78/36となりました。
看護師B:「えっ?どうして血圧がこんなに低くなっているの?もともと寝たきりの人だし、意識レベルが低下しているのかの判断がつかない…どうしよう!!」
何がいけなかったのか分かりますか?
解熱剤は、皮膚血管を拡張して熱放散を増大することで体温を降下させます。
ですので看護師Bさんがアセスメントしなくてはいけなかったのは、
「発熱時の体温」と共に「発熱時の血圧」でした。
使用する解熱剤によっては急激な血圧低下を起こす可能性があります。
血圧の低下でショック症状を引き起こす場合もありますので、
最初に血圧を測った時に低値であれば一度医師へ上申しましょう。
看護師B:「先生、現在Aさんの血圧がBP=90/42 ですが、指示の解熱薬は使用してよろしいでしょうか?」
医師:「血圧が低いね。指示の薬は使うのをやめて、一旦クーリングしてください。それから1時間後に再検してください。」
と、きちんとアセスメントすることでインシデントを防ぐことが出来ましたね。
また、それぞれの薬剤の血中濃度上昇時間は違うので、私はその薬剤の効果が表れる時間に再検するようにします。
ここでポイントがもう一つあります!
~発熱時のSPO2値が低くても焦らない~
もちろん、アセスメントした上での「焦らない」ですが、
発熱時は血管が収縮しています。もちろん脈拍も速いです。
なので、発熱時は当たり前なことです。
発熱時は中枢で熱を産生しますが、末梢では放熱を抑制しています。
末梢の放熱抑制は、末梢血管を収縮させることで末梢を冷たくして放熱させないようにしているのでSPO2値が低くなるのも仕方のないことなのです。
よく、「抹消がしまってるからSPO2測れなかった」という使い方をします。
もちろん、呼吸状態も観察することも大事ではありますが、呼吸器症状がなくてSPO2値が低いことは問題にはなりません。
~自宅退院患者に対しての正確な体温測定と記録の指導~
患者の条件に応じてもっとも適した体温測定方法を用いて測定条件を一定しに、正確に測定するようにしましょう。
患者や家族にも、測定方法や記録方法について具体的に説明・指導することで退院後も困りません。
~特に注意を要する対象者~
高齢者は、体温調節機能の低下によって発熱しにくい傾向があります。加えて、口渇を感じる感受性が低下しているために脱水を自覚しにくく、発熱と共に脱水となっている患者様も多々いらっしゃいます。したがって、体温のみではなく全身を観察し、脱水を始めとするる「成り行き」に注意が必要です。「成り行き」に関しては以下の通りです。
~成り行きについて~
1.不感蒸泄や発汗ならびに発熱に伴う水分摂取不足が下痢などによる体液・電解質のアンバランス
2.代謝亢進ならびに発熱に伴う食欲低下・摂取不足などによる栄養状態の低下、体力の消耗
3.循環不全、心機能の低下
4.沈下性肺炎、褥瘡
5.熱性けいれん、意識障害など があります。
~シバリング中の冷罨法はしない!~
シバリングという言葉を聞いた事はありますか?
シバリングとは、「悪寒」の事です。
高熱の時はクーリング!というイメージですが、寒気でぶるぶる震えている人にアイスノンなんて…
自分が患者様だったら辛いです。特に、自分で動いたりできない方は辛さも言葉にすることができないのでこちらでアセスメントし、判断しましょう。
シバリングが起こっているときは、骨格筋を収縮し震えを起こして熱を産生しています。
その後に体温上昇し微生物の増殖を死滅させますので、シバリングが終わった時に冷罨法をするようにしましょう。
言葉を伝えられる患者様には、今寒いのか?熱いのかを聞いて、その時の症状に合わせてケアをするようにしましょう。
熱が出ているときは、患者様も不安になっています。
少しでも不安が取り除けるように、安心できるようなケアが出来ると良いですね。
まとめ
・発熱時は血圧の値にも要注意
・発熱時の解熱薬使用時の注意
・発熱時のSPO2値が低いのは当たり前
いかがだったでしょうか?
以上、現役看護師が教える「発熱時の観察・ポイント」でした。
これで実践でも焦らずアセスメントすることが出来ると思います。
看護師は大変な仕事ですが、知識があればいち早く状態悪化を把握でき、対処することが出来ます。
この記事が少しでも皆さんの知識となりますように。
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