オペ看護師には医療ドラマなどで執刀医から「メス」と言われて渡す、執刀医の汗を拭く、そのようなイメージが皆さんあると伺います。実際看護系大学・看護学校の実習でも手術室への見学に入ることはあっても病棟での実習のように実践することってないと思います。このように学生時代に触れることの少ないオペ看護師になる方法、またオペ看護師におけるメリット・デメリットを皆さんにお伝えしようと思います。
最初にオペ看護師になる方法をお伝えします。オペ看護師は病院によってオペ室専属の場合とオペ室と外来などの兼任の場合があります。従って病院に合わせてオペ室での従事を希望し、オペ室専属又は他部署との兼任として配属をされます。どちらの場合でもまずオペ室の配属になった時点でオペ室での基本的なスキルと意識を身につけることとなります。ここではそれを4つほど挙げておきます。
① 手洗い
病院によって採用されている手洗いの方法は異なると思いますがブラシを使用した手洗い方法のスクラブ法とブラシを使用しない揉み洗い法・擦式手指消毒法のラビング法とこの2つを組み合わせた方法があります。それぞれの方法に手順があります。それを学び、実際に行えるようになる必要があります。
② 清潔不潔
病棟勤務以上の清潔不潔に対する意識を刷り込まれることになります。清潔域は一般的に病棟で清潔域とされていた範囲より狭く、その清潔域を如何にして不潔にしないように作業するのか、またその為に他の看護師との連携をどのように取っていくのか覚えることや考えることがたくさんあると思います。
③ 器械展開
手術で使用する器械を術式に合わせて手術で使用できるように器械台という台の上に準備をします。この時も重要になってくるのが清潔不潔です。器械台の上は清潔です。その器械台の上に器械の清潔を保ったまま準備をするためには何に注意しながら行わなければいけないのか考えながら、また手術の開始時間に間に合うよう準備をしなければなりません。その為にも器械展開に必要な基本を学び実践を繰り返す必要があります。
④ 手術で使用する器械を覚える
手術で使用する器械についてはオペ室の配属になって初めて目にするものが多くあると思います。似たような形でも長さや形状が少しずつ異なっていて名前が違う。これらを覚えることを難しく感じることもあると思いますが、使用目的と使用方法・その為の形状を理解することで今後器械出しを行う際に手術の流れに合わせて使用する器械を考えることが容易になると思います。最初の頃は器械の名前がわからず焦ることや手術で緊張すると似たような器械がどっちがどっちだかわからなくなってしまうことも多くありますが、皆さん日々の手術介助の中で徐々に器械の名前と一緒に使用方法などを覚えていきます。術式によって使用する器械も異なることもあるので一気にまとめて覚える必要はありません。
以上の4つに関して、多くの人は学生時代に経験することなくオペ室の配属になると思います。オペ室に配属になってみて初めて意識することも多く不安だと思いますが、実際に手術の介助につきながら覚えたり出来るようになっていくことばかりです。オペ室配属になってもわからないことばかりなのではないかと心配に思わないでください。
次に、オペ室看護師になるためにやっておいたいいことをお伝えします。
オペ室従事するにあたって2つのことを身につけておいてほしいと思います。
1つ目が解剖学です。
手術の介助についていくうえで今目の前で何が行われているのか術野を見ながら理解し、その後の進行を自分なりに考え手術介助につく必要があります。その為に術式を確認した時点でどのような術式でどの臓器のどこを術野として手術が進行していくのか解剖学に基づいて理解をしなければなりません。その理解が手術の進行に合わせたリスク想起にも繋がり従って、リスクに備えて物品を用意するなど先回りの準備にも繋げることが出来るようになっていくでしょう。従って、学生時代からまたオペ室配属になってからでも構いません。解剖学についてしっかり身につけてほしいと思います。
2つ目は予習復習をする習慣です。
介助に入る予定の手術が決定した時点で術式や手順、必要な器械を一通り予習してから介助に入ってほしいと思います。最初は標準通りに手術が行われた場合の手術介助が問題なく行えるようにすることが目標です。そうは言っても手術中は予期せぬ事態が生じることも多々あります。予期せぬ事態が生じたときに基本が頭に入っていることで、その予期せぬ事態にどのように対応すればいいか考える土台としても役立てることが出来ます。是非手術介助の前には予習をしてほしいと思います。また復習についても今日介助についた手術の進行や介助につく上で足りなかったこと、なぜあの場面であの器械を使用したのかなどを振り返り次回の手術介助に活かす為に重要であると思います。たとえ術式が違っても復習したことが役に立つということがよくあります。日々の業務の後に予習復習をすることは時間的にも体力的にも難しく感じることもあるとは思いますが、少しでもいいので毎日続けていくと次回の手術介助での自身の手術を見る視点をどんどん成長させていけると思います。そのような点で予習復習の習慣は身につけておいてほしいことで挙げたいと思います。
最後にオペ室看護師のメリット・デメリットをお伝えします。
メリットとしては病棟で術後どこを観察するべきかという観察項目を挙げるのを容易にする点です。
手術の介助につくことで解剖を理解し、実際に術式として何が行われているのかや手術によって侵襲が加わる臓器について目の当たりにすることで術後の経過を考えることが出来るからです。もちろん病棟に従事していても術後の観察項目については勉強すると思いますが、実際に手術で行われていることを知っている方が根拠から観察項目の考えることが出来て、観察漏れも防ぐことが出来ます。また、根拠があるからこそ術後の時間経過に合わせて観察項目の正常の変化や観察項目自体の変化を考えることが出来ます。そのようなところでオペ室での経験を役立てることが出来ると思います。
デメリットとしては2つあります。
1つ目がオペ室での業務と病棟での業務の違いが大きいため、病棟へ異動をした時にまたいちから様々なことを学びなおさなければならない点です。病棟では行うけれどオペ室では行わない看護技術は多くあります。その為、病棟から他病棟への異動に比べてオペ室から病棟への異動をした方が新たに勉強・練習し取得しなければならない看護技術が多くなると思います。たとえ看護師としては新人でなくても病棟では新人のようになってしまう点ではデメリットとして感じることも多いのではないでしょうか。2つ目は転職をする時に以前いた病院でオペ室に従事していたことを伝えると新しい職場でもオペ室への配属になることが多い点です。新しい職場でもオペ室で働きたいという方にはデメリットとはなりませんが、病棟への配属を希望して新しい職場へ転職した方としては希望通りにならずにデメリットと感じてしまうのではないでしょうか。
上記のようにオペ室ならではの基本は病院によって多少の違いはありますが、大きくは変わりません。他病院でオペ室配属としてオペ室での基本が身についている人であれは、新人に新たに基本から教えるのとは違い即戦力として働いてもらえると新しい職場でもオペ室配属になることが多いのでしょう。デメリットの2つ目に関してはそれをデメリットと感じるかどうかは異なります。また以前オペ室配属であったからオペ室配属になるかどうかも病院によって異なるため一概にデメリットになるとは言い切れません。しかし、たとえ病棟配属になってもオペ室配属になっても以前のオペ室での経験が新しい職場で全く役に立たないことは決してないと考えます。
まとめ
以上がオペ看護師についてです。学生時代に経験できないオペ看護師だからこそ今までわからないことがたくさんあったと思いますが、少しは伝わりましたでしょうか。オペ室に初めて配属になるときは皆さん初めてのことだらけです。配属になってから学び、技術取得をして皆さんオペ室で手術介助をしていますので安心してオペ看護師を希望してみてください。
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