救急医療の看護師がどのような役割を担っているのか、救急の看護師に必要なスキルや資格、救急看護認定看護師についてご紹介します。救急医療に興味があり、これから救急看護についてスキルをつけていきたいと考えている方には、是非参考にしていただき、活かしていただければと思います。
急性心筋梗塞や脳卒中はもちろん、交通事故による多発外傷や全身熱傷など、生命の危機がすぐそばまで来ているような疾患が多発しています。
他の一般病棟や外来と救急外来が大きく違うのは、疾患名が無い状態で来ること、これが多いです。一般的な入院患者は、医師が救急外来や各外来で診断名をつけ、入院の必要があると判断され、入院となります。外来にしても、各専門外来に来るのである程度、疾患の分野が絞られます。
多くの患者様が意識不明であり、全身管理が必要な状態であるため、治療の甲斐なく亡くなってしまう患者様も多いのが、他の一般病棟との大きな違いです。しかし、医療スタッフとの連携により、生命の危機にあった患者様が元気な姿で退院していく姿を見て、充実感を感じられることもあり、救命救急センター(ER)でしか味わえない感覚もあります。ER・救急救命の看護とは、突発的な外傷、急性疾患、慢性疾患の急性増悪などのさまざまな状況によって、救急処置が必要な対象に実施される看護活動をいいます。
救急処置を中心に、初期段階での看護実践で、場所や疾患、診療科、重症度など制限はありません。主な活動は、救急外来や救命救急センターなどの救急医療施設での看護をいいます。重要なER・救急救命看護師の役割は、救急処置の実施になります。心臓や呼吸が止まっている患者様への心配蘇生法、出血を止める止血や包帯法、骨折時の応急処置などがあります。また医師が行う様々な救急治療処置で、処置の介助を行うことも多いです。
原因不明の意識障害や心肺停止状態の方が来ることも多いので、医師はもちろん看護師も超急性期看護に対応できるスキル、スピード、判断能力が要求されます。高い知識と判断能力があれば、医師が何を考えているか察知し、迅速に対応できるようになります。
救急の活動以外にも、体を清潔に保つ、体位調整を行う、トイレ介助など日常生活の援助を行うことも、重要な役割の方法としてあります。また患者様本人と家族への心のケア、一般の人達への救命・救急処置の指導など多岐にわたります。看護師になるためには国家試験を取得しなければなりません。准看護学校を卒業して、知事試験に合格すれば准看護師になることはできますが、救急救命看護師には高い知識が要求されますので、看護師資格は必須となってきています。
卒業後は、すぐに救急医療施設に就職し、救急救命看護師になる場合もあれば、救急以外の内科など一般的な看護経験を積んでから、救急医療施設へ移動する場合もあります。
一人前の救急看護師になるためには、多くの救急看護経験を積むことも大事になりますが、向上心や目的意識を持って自己研鑽に励むことが大切になります。医療は、常に成長しており最新の知識を得ることは非常に有用となります。一つ一つのステップを踏み、エキスパートな救急救命看護師へ成長することになります。様々な診療科の患者様が搬送されてきます。通常の看護師であれば、内科としての処置、外科としての処置、小児科としての処置など、各々配属された科のスキルを身につければ対応できます。
救急外来の場合には、内科、外科、小児科など様々な診療科に関わるため、幅広く広い知識とスキルが必要になります。救急外来において、医師と看護師の連携は一般病棟や外来以上に、非常に重要となります。救急外来は、常に生命の危機と隣り合わせなので、コミュニケーション能力がなければ助けられる命も救うことができないことも、十分にありえます。
医師の指示をすぐに理解して、行動できるには経験は必須でしょう。医師と連携してコミュニケーションをとろうとする行動が、成長の第一歩となります。
医師と看護師で連携をして迅速な対応をした結果、全身状態が安定し、後日元気に退院したと言う話しを聞くと、とても達成感がいっぱいになることを体験できます。本人のケアは最重要となる前提で、家族へのケアも重要となります。超急性期のため、家族のケアがおろそかになりがちですが、突然の発症で動揺している場合が多いです。今後の患者様の治療方針を決めるためや現状を理解してもらうために、家族への精神的ケアは大切な看護師の役割と方法となります。重篤な患者様が1人とは限りません。場合によっては、看護師が緊急度を判断する時もあり、患者様への問診や全身状態の様子を見て、状態を素早く判断することも現状としてあります。
下記に状態を判定しやすいように、トリアージを導入している医療機関も存在しています。レベルⅠがもっとも危険な状態で、すぐに処置が必要な状態となります。
レベルⅠ蘇生心肺停止、ショック、けいれん持続
レベルⅡ緊急(高)心原性胸痛、激しい頭痛、急性腹症
レベルⅢ緊急(中)中等度の外傷、高血圧、重い下痢
レベルⅣ緊急(低)軽い外傷、尿路感染、便秘
レベルⅤ非緊急アレルギー性鼻炎、皮膚発赤
となります。救命処置は、救急救命看護師において身近な処置の一つです。緊急時には正しい判断をし、迅速に処置を開始しなければいけません。経験を積んでいくとわかる部分もありますが、判断に困ることもあると思います。
BLS・ICLS・JNTEC・JPTECといった、手助けになるような様々なコースがあるので、自分が不足していると思う部分に対しては、積極的に受講していった方がよいでしょう。
医療従事者のための蘇生トレーニングコースになります。突然の心停止に対する最初の10分間の対応と適切なチーム蘇生をメインに行います。基本的には講義はなく、実技を中心に行うコースです。1日かけて、蘇生のために必要な技術や蘇生現場でのチーム医療を身に着けます。
ICLSコースは一次救命処置から二次救命処置を行い、実際に人形を使用し、心電図波形や薬剤投与を行います。自分が医師という存在になり、他のスタッフに指示を出していきます。
コース終了後に、実際に同じような心停止の患者様が搬送されてきた時に、大変有用です。ICLSコースを受けたスタッフ間では、医師の指示が手に取るようにわかるようになり、チーム医療の精度があがります。
JNTECとは、傷患者の特殊な病態を理解し、外傷初期診療に必要なアセスメントとその看護実践能力を育成するコースをいいます。
JPTECとは、外傷病院前救護プログラムといいます。本来は看護師向けではなく、救急救命士や救急隊員向けなのですが、どのように対処をして病院に運ばれてくるのかを理解することは、大変有用です。
どちらのプログラムも外傷に関してなので、外傷に対して理解を深めたい方には必要となります。救急認定看護師とは急病、事故、災害医療など様々な場面において、緊急的に行われる初期医療に携わります。超急性期において、スピードと適切な判断が重要となるので、初期段階での医療がスムーズに進むように調整することは、重要な役割となります。
具体的な役割としては、救急医療現場において、迅速で的確なトリアージを行い、病態の緊急レベルに応じて適切なケアを行います。救急救命の現場では、医師だけではなく医療チームの連携が必須です。救急認定看護師は、現場の連携がスムーズにいくような役割を担うことも行います。
現場以外でも、他の看護師に救急看護についての指導・相談、地域住民へ救命技術の普及など、多岐にわたります。救急認定看護師になるためには
救急看護認定看護師教育機関において、救急看護に関する専門科目、演習、実習など6ヶ月の期間で615時間以上の教育を受けることが条件となっています。全国では6ヶ所あり、青森、東京、愛知、大阪、香川、福岡に教育機関があります。
看護師免許を取得後、実務経験が5年以上必要であり、そのうち救急救命看護の分野で3年以上の実務経験が必要となります。
教育課程を修了し、日本看護協会が実施する筆記試験に合格することで、救急看護認定看護師として、認定され登録されます。認定後は5年毎に更新され、日々の看護実践と自己研鑽についての書類審査が行われます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。救急救命看護師には、国家試験を合格すれば誰でもなることはできますが、要求されることは他の一般病棟と違い多岐にわたります。向上心と自己研鑽を忘れずに常に行い、自己のレベルアップを図ることが大事になります。その結果、エキスパートナースとなり患者様への救命率アップにつながるのです。
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