特定の分野において高度な知識と技術、経験を持つ「認定看護師」。
看護のスペシャリストである認定看護師になるためにはどのような条件があるのでしょうか。
今回は「認定看護師」について詳しくご紹介していきます。
認定看護師になるための条件や資格取得の流れ、資格取得後の働き方などについてお話します。
認定看護師の資格取得にかかる費用について
認定看護師とは
どうしたら認定看護師になれる?
認定看護師になるメリット
認定看護師を目指すなら
認定看護師の資格取得にかかる費用について
認定看護師になるには、取得する分野の勉強をして審査に合格する必要があります。ただし、資格取得には、時間はもちろんお金も必要です。
では、実際にどのくらいの費用が掛かるのか見てみましょう。
教育課程・資格認定にかかる費用
全員共通でかかる費用は、約100万円です。どのような内訳なのか見てみましょう。
・入試検定料:約5万円
・入学金:約5万円
・授業料:約70万
・実習料:約10万
・認定審査費用:5万円
・認定費用:5万円
上記以外に教科書代や通学のための交通費など、さまざまな費用がかかります。そのため、場合によっては100万円以上の出費になることも。想像よりも高額な金額になるでしょう。
そのほかの費用
教育機関まで距離があり通うのが難しい場合、寮の利用や引っ越しも視野に入ってくるでしょう。一人暮らしの場合、ガス・水道・電気といった生活費も掛かります。
また、参考書やパソコンを買うとなると、状況によっては資格取得するまでの金額より、別途費用がかかるかもしれません。
勤務先の病院に支援制度があったら利用しよう
勤務先によっては、資格取得支援を行っている施設もあります。支援の仕方は勤務先によって異なりますが、通学中も給与が支給されたり、授業料の半分を援助してくれたりする場合も。勤務先にどのような支援制度があるのか確認してみると良いでしょう。
奨学金の利用も可能
病院からの支援以外に、奨学金を利用するという方法です。市や県が運営する看護協会からの奨学金を利用することができます。貸与条件や利用できる奨学金など、教育機関によって変わるので、受験予定の教育機関のWebサイトを確認しましょう。
緩和ケア
1.通算3年以上、緩和ケアを受ける患者の多い病院や在宅ケア領域での看護実績がある。
2.緩和ケアを受ける患者を5例以上担当した実績がある。
3.現在、緩和ケアを受ける患者の多い病院、またはあ、在宅ケア領域で勤務していることが望ましい。
このように、各分野ごとに必要な実績や経験は異なります。では、B課程認定看護師教育機関とはどのように違うのでしょうか?こちらも詳しく見てみましょう。
B課程認定看護師教育機関
特定行為研修を組み込んでいる教育機関で、2020年度から新しく教育がスタートします。開講期間は1年以上、合計800時間以上のカリキュラムが必要です。なお、e-ラーニングを含む集合教育も行っており、A課程と比べると期間や教育時間が長くなっています。こちらも関分野ごとに必要な実務研修内容の一部を見てみましょう。
感染管理
1.通算3年以上、下記のような感染管理に関わる実績がある。
最新知見や自施設のサーベイランスデータ等に基づき、自身が実施したケアの改善実績。また、医療関連感染サーベイランスデータ(血流感染・尿路感染・肺炎・手術部位感染)について、計画から実績・評価までを担当した実績がある。
2.上記の自身が実施したケアの改善実績が1事例以上ある。また、医療関連サーベイランスデータについての実績は1事例上あるのが望ましい。
3.現在、医療施設等において専従、または、兼務として携わっていることが望ましい。
クリティカルケア
1.通算3年以上、手術室やNICUを除く救急、集中治療室部門等での看護実績がある。
2.疫病、外傷、手術などによる高度な侵襲を受けた患者の看護を5例以上担当した実績がある。また、人工呼吸器などの生命維持装置を装着した患者の看護を1例以上の行った実績を含む。
3.現在、クリティカルケア部門で勤務していることが望ましい。
4.二次救命処置等の救急蘇生に関する知識。技術があると良い。
B課程には、新しく追加された分野やA課程から変更された分野などがあります。厚生労働省のWebサイトを確認して、目指している分野で必要な実務内容を確認しておきましょう。
厚生労働省
特定看護分野の実務研修内容の基準(A課程教育機関)
厚生労働省
B課程教育機関
認定看護師認定審査の受験条件
認定看護師認定審査は毎年1回、11月に行われます。以下3つの条件を満たすことで受験可能です。
受験資格
1.日本の看護師資格を取得している。
2.看護師資格取得後、実務経験が5年以上あること。
3.下記いずれかの条件を満たしていること
・認定看護管理者教育課程サードレベルを修了している
・看護系大学院にて、看護管理を専攻して修士号を得ている者で、修士課程修了後の実務経験が3年以上ある
・師長以上の役職で管理経験が3年以上、大学院において管理に関する学問領域、または、看護管理を専攻して修士号を取得している
審査は、書類選考と筆記試験の2つがあります。筆記試験は、マークシート方式の問題が20問、論述問題2問からなり、試験時間は120分です。出題範囲は認定看護師管理者カリキュラムから出題されます。問題は複数のカリキュラムから出題されるため、事前に確認しておくと良いでしょう。
また、認定看護師認定審査に合格してからも、更新審査や資格を喪失した者を対象とした再認定審査などがあります。それぞれ受験資格が異なるので、あわせて確認しましょう。
認定看護師になると、各分野でより質の高い看護技術を提供できるようになったり、他の看護師を指導したりすることが可能です。特定分野の高水準なケアのほかに患者のQOL向上など、直接的な看護業務以外の仕事も担えます。また、医療機関によって、資格手当やボーナスが付くことも。認定看護師になるまでは大変な道のりですが、その分大きなメリットがあります。
認定看護師を目指すなら
認定看護師になるには、目的を明確にして周囲の理解を得ることが大切です。今後のスケジュールと確認しながら、どのような進路で進んでいくのか確認しましょう。
周囲の理解を得よう
認定看護師資格取得までのスケジュールを考えると、周囲の理解を得ることはとても重要といえるでしょう。認定看護師になるための教育機関に入るには看護師としての実務研修が5年間必要で、そのうち3年間は取得したい分野の実務を受けなければなりません。また、教育機関での講習も6ヶ月以上1年未満となっており、かなりの月日が必要です。そのため、周囲の理解があれば研修や講習をスムーズに行うことができ、自身への負担も少なくなるでしょう。
もし、周囲の理解を得られない場合、退職して実務研修を受けるのも一つの選択肢です。
認定看護師になるための費用
認定看護師になるには、時間と同時にお金もかかります。
概算200万円、あるいはそれ以上と言われますが、その内訳をご紹介しましょう。
全員共通でかかる費用
入試検定料約5万円
入学金約5万円
授業料約70万円
実習費約10万円
認定審査費用5万円
認定費用5万円
合計 約100万円
各々の状況に応じてかかる費用
家賃教育機関は寮がないケースがほとんど。家具つきの短期契約型賃貸マンションを借りる方が多いです。
引越し費用単身者パック等を利用
宿泊費実習中にマンスリーマンションやホテルを利用するケースもあり
交通費入学試験・認定試験のための移動交通費・通学定期・実習中の移動交通費など
参考書籍代・文献のコピー費用書籍代が学費と同じぐらいかかったという人も…
パソコン・プリンター・ソフト代ノートパソコンは必須です。持ち運びやすい軽いものがオススメです。
合計 約100万円?
いかがでしょう?上記に加えて、もちろん生活費がかかってきますし、現在一人暮らしの人は今のマンションの家賃も払い続けることになります。
かなりの高額ですが、病院の支援制度や各種奨学金を利用することで自己負担を軽減できます。まずは自分の施設の支援内容を調べてみましょう。
支援制度は病院によってさまざま
病院によって、通学中も給与が支給されたり、授業料や家賃も一部助成があったりとその支援内容は様々です。
A病院B病院C病院
研修中の扱い職免で身分保障休職扱い休職扱い
研修中の給与・賞与なし基本給の3分の2を
支給給与・賞与を支給
その他助成最高200万円を無利息で貸し出し授業料の2分の1を
助成
入学金・授業料を助成
受験費用・交通費等を最大10万円まで支援
奨学金について
病院の支援制度以外にも、奨学金を利用するという方法もあります。
教育機関により利用できる奨学金が異なりますので、まずは受験予定の教育機関のホームページ等を確認しましょう。
奨学金は、県や市が運営する看護師等修学資金や看護協会の奨学金などがあり、2つ以上併用できる場合もあります。金額や貸与条件、返済方法についてはそれぞれの貸付機関においてよく確認しましょう。なかには一定条件を満たすと返還不要のものもあります。
認定看護師奨学金の例
認定看護師教育課程奨学金〈日本看護協会〉
貸与額:120万円以内
返還について:認定看護師教育課程を修了した翌月から起算して3ヶ月後から一括又は割賦により全額を返還。返還期間は24ヶ月以内。
認定看護師修学資金貸与制度〈滋賀県〉
貸与額:月83,000円(上限6ヶ月で498,000円)
返還について:一定条件をクリアすれば返還免除
条件1:教育課程を修了した日から1年を経過する日までに実施される、修学資金の貸与を受けた教育課程の目的とする認定審査に合格し、直ちに認定証を取得すること。
条件2:認定証取得後直ちに特定施設に就業し、引き続き5年間看護職員として業務に従事すること。
このような条件がありますのでしっかりと確認しておきましょう。
まとめ
認定看護師資格を取得するには長い期間の実務経験や専門機関で学ぶことが必要です。
認定看護師の資格を取得すると現場での看護実践に加え、後輩看護師へ専門知識や看護技術の指導を行ったり、看護現場で直面する問題への相談に乗ったりしながら、医療環境や医療水準を上げて行くような役割も求められます。
取得のためのハードルはが高いですが、その分高度な知識と技術、経験を身に付けることができます。専門の特定分野におけるその影響力は大きなものとなるでしょう。
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