みなさんは、手術室にどのようなイメージを持っていますか?手術室ってどんなところで、どんなことをしているのか。どんな勤務形態で、どんな給与形態なのか。そして、手術室看護師には何が求められているのかをお知らせします。
●手術室ってどんなところ?
みなさんは、手術室にどのようなイメージを持っていますか?
閉鎖された、冷たい、暗い、静かな異空間のようなイメージを持っている方も少なくないのではないでしょうか。
閉鎖された空間であることは言うまでもありません。手術室には窓がないので、天気も時間も分かりにくいです。
冷たいというイメージも間違っていません。すべての手術で着用する、術衣と呼ばれる滅菌ガウンや、放射線を使用する際に身を守るプロテクターなどを着用すると汗をかくことも多いです。汗で術野や器材を汚染しないためにも、室温は23℃程度にしています。また、心臓を停止して行う手術は、低体温手術と言われており、室温を20℃以下する必要があります。意識下手術と呼ばれる患者様が起きたまま行う手術では、室温を25℃前後にやや上げていたり、帝王切開では、赤ちゃんの保温が必要なため30℃前後まで上げたりと例外もあります。
暗いというイメージも間違ってません。
腹腔鏡手術では、カメラを使用して体内をモニターに映しモニターを見ながら手術を進めていきます。室内が明るいと、ライトが反射しモニターが見にくくなるため、ライトを消しダウンライトを使用し部屋を暗くしています。他にもエコーを使用する手術でも部屋を暗くしています。
静かなイメージに関しては、手術の内容によって大きく異なります。心臓血管外科や脳神経外科などの細かい手術は静かに行われることが多いのですが、整形外科や形成外科などはハンマーやドリルを使うため大きな音が響いています。
医師によっては、手術中に好きな音楽をかけながら手術を行うこともあります。また、女医の多い診療科や比較的ゆっくりと進む手術では、医師同士で世間話をしながら手術を行なっていたりします。
●手術室看護師ってどんなことをしているの?
〈直接介助業務(器械出し看護師)について〉
次に、手術室看護師にどのようなイメージを持っていますか?多くの方は、「メス」と言われてメスを渡す器械出しのイメージが強く、「大変そう」や「どんな業務をしているかわからない」「あまり看護師らしくない」と感じる方もいるかと思います。
病棟看護師との大きな違いは、機械出しと呼ばれる直接介助業務があることだと思います。器械出し看護師は、医師の癖や手術の手順、使用器材などを頭に入れ、スムーズに手術が進行するよう介助します。
言われた物を渡すこと、次に使用する器械を予想しておくことが基本ですが、手順が完全に決まっている場合には、言われる前に渡すことが大切になってきます。器械出し看護師の技術や知識が、出血量や手術時間の短縮、感染症の予防にも繋がっています。
器械出し看護師は、長時間緊張状態のまま立ちっぱなしであることも多く、身体的にも精神的にも負担が大きいと言えます。
〈間接介助業務(外回り看護師)について〉
器械出し看護師と連携し担当するのが、間接介助業務の外回り看護師です。外回り看護師は、機械出し看護師の補助業務に加え、麻酔科医補助業務、患者様のアセスメントと記録、手術体位の保持、電気メスや撮影機器等の取り扱いや手術に必要な滅菌物の追加展開、輸血・輸液の介助などの器械出し以外の手術室業務全般を同時に行っていく必要があります。
〈勤務形態について〉
基本的に予定手術は診療日に行われるため、「夜勤なしで土日は休み」という病院も少なくありません。手術件数の少ない病院だと、他の部署と兼任の場合もあるようです。病院の救急指定によっては、土日は休み、オンコール待機、宿日直、通常勤務と勤務形態が変わってきます。しかし基本的に休日夜間は緊急手術のみの対応のため、通常勤務であっても出勤人数は少なく「夜勤はあるけど月に2回」「土日の勤務は月1回」というように、ライフワークバランスも比較的に取りやすい環境だと言えます。
〈給与形態について〉
薬剤のミキシングだけでなく、手術部位や血管の吻合などで針を多く使用するため、針刺し事故が多いのも事実です。さらに、整形外科や心臓血管外科、脳神経外科のある病院で、放射線を手術中に使用することがあります。こういった理由から、危険手当が貰える病院が多いです。
勤務形態にもよりますが、オンコール待機がある病院であれば待機手当、実際に呼び出されたら実働手当が貰えます。宿日直であれば、日直(宿直)手当、実際に緊急手術が入れば実働手当が貰えます。このように、さまざまな手当があるため病棟業務より給与が高い傾向にあります。
●手術室看護師に必要なことって?
まず覚えていて欲しいのが「手術室に配属されたら、どんなに経験年数があっても新人になる」ということです。「そんなのどこの病棟行っても同じでしょ」と思うかもしれません。しかし、病棟から病棟に移動するのとは訳が違い、業務内容の違いだけでなく、患者様の内科的要因に加え、手術室で取り扱う全ての診療科目の病理病態・解剖生理・手術手順・手術方法と、使用する特殊な器材・医療材料・鋼製小物の勉強、さらにその病院で行われる全ての麻酔方法についての勉強が必要になってきます。
次に、医師との距離が病棟に比べてとても近くなります。医師とのコミュニケーションを取りながら手術準備をし手術を進めていくため、多くの診療科の医師と関係を築ける反面、医師からの指導も直接的になってきます。患者様に多量の出血がある場合、冷静でいられる医療従事者はまずいません。つまり、出血があろうものなら声を荒げることもあります。さらに週に何度かの手術で、毎回担当の看護師が違えば誰が担当したのか曖昧になりますし、誰が新人なのかも把握しきれないため、「新人だからしょうがない」は通用しないことも多々あります。
このことから、医師と円滑なコミュニケーションを取る必要があること、直接的な指導を受けてもへこたれないメンタリティが重要になってきます。
最後に、手術室看護師としても、看護師としてもアセスメント能力が大切になってきます。アセスメントをするという部分は、病棟看護師と共通していますが、私たち手術室看護師と病棟看護師との1番の違いは「ほとんどの場合、手術当日に初めて担当の患者様と会う」という部分です。つまり、カルテから読み取れる情報を元に患者像を構築し、術前のアセスメントを行います。手術中の患者さんは、全身麻酔であれば意識はありません。つまり、自分の意思を表現できない状況です。患者様の変化を見逃すことは、患者様の訴えを無視するのと同じです。だからこそ、常に患者さんの変化に気を配りアセスメントをし続ける必要があります。
●まとめ
・手術室にきたら誰しも新人です。怖いと感じるかと思いますが、配属された看護師が右も左もわからないということは、手術室で勤務している看護師が1番理解しています!
・業務の違いや各診療科の勉強など、覚えることも多いですが、診療科に捉われない広い知識を学べるので、得られる物も大きいです!
・医師とのコミュニケーションは、円滑な手術への第一歩です。距離が近くなる分、分からないことを質問しやすい環境だと言えます。
・強いメンタルが欲しくなるという点では病棟も手術室も変わりません。身体的にも精神的にもストレスと上手に付き合っていくことが大切です。
・アセスメントは看護師の永遠の課題です。数をこなし、勉強し、患者様に寄り添った看護をしていきましょう!
まとめ
いかがだったでしょうか?
最初は誰しも新人です。怖いと感じるかと思いますが、配属された看護師が右も左もわからないことは、手術室で勤務している看護師が1番理解していることを忘れないでください。病棟業務との違いだけでなく、各診療科ごとの勉強や、初めて触れる器械など覚えることも多いですが、診療科に捉われない広い知識を学べるので得られる物も大きいです。少しずつ技術と知識を身につけていきましょう。
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