看護師の中でも社会人経験があり転職した方は多く、私もその一人です。看護師資格を取得する方法、専門学校入試のポイント、入学後に大変だったことや
卒業後の進路について実体験を元に記載します。社会人で看護師をめざしている方の参考になれば幸いです。
目次
1.資格取得の方法
2.専門学校の選定と入試形態
3.社会人入試の対策で必要なこと
4.在学中に大変だったこと
5.国家試験について
6.卒業後の進路(一般病院の総合内科へ)
7.現在の勤務先(老人ホームの看護師)
8.社会人から看護師を目指す方へ
9.まとめ
1.資格取得の方法
社会人の方が看護師資格を取得する際には、働きながら取得する方法もありますが、期間が長くかかるため私は退職し看護専門学校に通うことにしました。留年しなければ3年間で確実に正看護師国家試験の受験資格が得られることがメリットとなります。
2.専門学校の選定と入試形態
まず学費を自身で払うという面で都立の専門学校を選択しました。3年間で合計100万円に達しない学費でしたので、一般の専門学校の1/3程度だと言われています。入試形態については一般入試ですと3科目(英語・国語・数学)の勉強が必要となり、現役世代との競争に勝ち合格する自信がありませんでした。調べていくうちに社会人入試という形態あることがわかり、そちらは面接と小論文のみでした。当時一般入試は倍率3倍程度・社会人入試は倍率6~7倍程度でしたので狭き門となることは覚悟が必要です。面接や文章が得意という方はチャレンジをお勧めします。
3.社会人入試の対策で必要なこと
【小論文】 小論文については起承転結の基本的な展開方法がありますので、今まで指導を受けた経験のある方や元から文章が得意な方は問題ないと思います。看護師の入試ということでテーマがそれに関連づいているものが多いですので、過去問をみて練習することが必須となります。時間内に書き上げるスキルも必要ですので、慣れていない方は小論文の添削や講義を受けることをお勧めします。
【面接】 面接については「なぜ看護師を目指すのか」「なぜ前の職をやめようと思ったのか」「どんな看護師になりたいか」「社会人経験を経た者として生かせることは何か」については重点的に聞かれます。またある程度の年齢ということで自己把握能力も求められますので、自信の長所・短所を客観的に述べることも必要となります。私が受験した際には「友達は多いほうですか?」と予想していない質問もされました。数としては多くはないですが一人一人と大切に関わっていますとお伝えしました。
4.在学中に大変だったこと
私は元教員でしたので、学科の勉強に関してはある程度のコツが掴めており何とかなりましたが、やはり実習が大変でした。まず毎日アセスメント等の書き物の提出物があり、それを終えないと夜眠れず翌朝も早い…というサイクルで体力的に負担がきます。発熱をすると実習の参加が出来ず単位に響きますので、睡眠不足の状態でも体調管理の工夫が必要です。またクセのある教員や現場の指導者も多く、圧迫指導・高圧的な指導もめずらしくありません。教員と指導者看護師との意見が合わない時もそのとばっちりが学生に来ますので、臨機応変に対応できるスキルが求められます。その時指導して下さる相手によってケアプランの内容を適宜変え、上手く立ち回ることが必要となります。はっきり言って理不尽なことも多くストレスは溜まりますが、社会人経験がある分そこそこ上手く対応できましたね。社会人経験が一番生かされたのはこの点だとも言えます。
5.国家試験について
今までは基本的に全員が合格できるような難易度でしたが、数年前から問題の傾向を変え何割か振るいにかける方針に変わっているとも言われています。実際に私が国家試験を受けた4~5年ほど前には引っ掛け問題とも思われるものが数題みられ、傾向の差から戸惑いが生じていました。(当時の受験者や看護教員の意見です)とは言え2021年の時点で合格率は9割程度ですので、国家試験合格の難易度は高くないと言えます。
6.卒業後の進路(一般病院の総合内科へ)
31歳で就職となり現役世代との年数差を少しでも早く埋めるため、一般病院の総合内科に入職しました。市中病院の総合内科というのはいわゆる「なんでも科」です。呼吸器・循環器・泌尿器・腎臓内科・整形外科・脳神経内科・内分泌…挙げたらキリがないほど様々な分野の疾患の患者様がいます。大変ですが短い期間で全身の勉強が出来るといっても過言ではありません。処置としては点滴投与や採血が複数名いることは当たり前として、中心静脈栄養や膀胱留置カテーテル・腰椎穿刺・胸腔ドレーン・人工呼吸器・胃ろう…非常に様々なことが経験できました。また泌尿器科に関しては外科患者も入院されていましたので、オペ出しやオペ後の管理も勉強することが出来ました。2年でほぼ全部の処置に当たり自立したという状況でした。そのような科でしたので当然指導は厳しく、体力的にも精神的にも一番大変だったのがこの時期となります。
また認知症指定病院でしたので、認知症の方の入院が多く点滴の自己抜針等の治療拒否は日常的にありました。焦らず時間をおいて関わることや、気持ちをそらしながら治療を受けていただけるよう工夫するといった臨機応変な関わり方も学ぶことができました。点滴針に関しては自己抜針のたびにその都度穿刺しなおすため必然的にスキルは上がりましたね。高齢者が多くなっている日本において認知症看護の知識・スキルはどこでも必須となりますので、非常に貴重な経験となりました。
7.現在の勤務先(老人ホームの看護師)
私は元から患者様とゆっくり関わりたいという思いがあり慢性期希望でしたので、技術が自立した2年をもって異動や転職を考えました。同病院の療養病棟も視野に入れていましたが、療養病棟は胃ろう患者や人工呼吸器患者が多く、端から順に経管栄養をつなぐ・口腔ケアをする・点滴を投与するといった業務的なスケジュールになりがちです。もっと生活に深く関わり、それぞれの方の人となりを大切にしたいという思いから、現在は老人ホームに勤務しています。生活がメインのため生きていくためにそれぞれが大切に思っていること、またその方々の性格などを考えたうえで接することが出来ます。病院であれば必ず「治療」となるような疾患でもご本人・家族希望にてそのまま経過観察することもありますし、延命を選択せず自然な最期を迎える「看取り」看護も行っています。最期の時をどのように過ごすかというのは、本人や家族にとって非常に重要なことになりますので、そういった終末期の看護に丁寧に関わることが出来ることは非常にやりがいを感じます。無理に点滴をして全身が浮腫んだ状態で最期を迎えたり、点滴の針によるアザや皮膚損傷が多数になってしまったり…そのような最期に疑問を感じていましたので、「尊厳死」とは何かを日々考えながら関わっています。
8.社会人から看護師を目指す方へ
皆様に伝えておきたいことは、決して楽な仕事ではないということです。世間のイメージでは高給取りの看護師ですが、夜勤手当等を含めても給料は高いとは言えません。基本給においては19~21万程度のところが少なくありません。社会人経験があっても看護師経験はゼロですので最低給からのスタートになります。日勤常勤に関しては多くは手取りは20万円台に届きません。仕事の大変さの割に合わない職業となっています。しかしながら、コロナ渦においても就職先が見つからないということが起こりにくい職種ではあります。またパート勤務も見つかりやすい職業であるため、子育てと仕事を両立したい・パートの割にはそこそこ稼ぎたいという方にはメリットとなります。看護師という仕事に強い志を持っている方や、ライフスタイルに合わせて働き方を調整していきたい方には向いている職業と言えます。
まとめ
大変なことが多いとはいえ、たくさんの笑顔やありがとうに接することが出来るとても素敵な仕事です。精神的にも体力的にもつらい時期はもちろんありましたが、現在私は看護師になって良かったと感じています。看護師に興味のある方はぜひチャレンジして欲しいと思います。社会人から看護師になった者として、同じような思いの方を心から応援しております。
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