頼られるナースとは看護アセスメントの達人

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#1559 2021/09/02UP
頼られるナースとは看護アセスメントの達人
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患者様からも医師からも「頼りになるナース」と思われる「看護アセスメントの達人」を目指しましょう。
看護師視点での情報収集、分析をすることで、患者様に必要な事実(統合)が導き出されます。事例を通して「看護アセスメント」を学んでみましょう。?また、大学病院で働くメリット、デメリットについてもお伝えします。

 

看護アセスメントとは「情報の収集、分析、統合」のことです。

看護アセスメントと言うからには、
やみくもに情報を収集し分析すれば良いというわけではなく、看護師としての視点を持って「情報の収集、分析、統合」を行うことが最も重要といえます。
『看護過程の講義で、何となくわかったつもりでいても、就職し現場で看護アセスメントを求められた際、どの情報に着目したら良いのか?分析に足りる根拠とは?など、混乱してしまう…
看護アセスメントが苦手だし自信がない…』
看護アセスメントでよくあるお悩みです。

看護アセスメントのコツを学ぶことで頼られるナースを一緒に目指しましょう!
「患者様から信頼され、必要なケアを必要な時に提供出来るナースでありたい。」
「後輩から尊敬されるナースになりたい。」
「上司から認められるナースでありたい。」
皆さんそれぞれ理想のナース像ってありますよね?

そして、皆さんにとって、「頼りになる先輩ナース」「尊敬する先輩ナース」の魅力って何でしょうか?
「患者さんから頼られるナース」の魅力って何でしょう?

それは「看護アセスメント力の高さ」ではないでしょうか?

素早く情報を集めて、看護視点での分析をし、統合をして
「患者様に必要なケアを提供する」
「医師に的確な報告を行う」
「患者様が知りたい情報を提供出来る」
そうすることで患者様、医師から頼りにされているのだと思いませんか?

そう考えると「頼られるナースとは看護アセスメントの達人!」と言っても過言ではないのです。
看護アセスメントは習慣化することで、身につきます。
情報は書き出してみる、分析は書き出した情報を看護視点で繋げていく。この繰り返しです。
そうすることにより、必ず統合(事実)が導き出されます。
お伝えした通り、看護アセスメントとは
・看護師視点で行うこと
が前提となります。
そして、
・必ず根拠がなくてはいけません。
もう一度お伝えします。
『看護視点で分析すること』
『根拠をもって統合するアセスメント』
この2点をまず意識してください。

事例を通して学んでみましょう。
受け持ちナースの看護アセスメントで思わぬ展開があった事例です。

《事例紹介》

Aさん 65才
肺がん、脳転移があり右半身麻痺あり。末期状態であり緩和医療中です。
家族とは疎遠で弟さんが必要時に面会に来る程度です。
右半身麻痺ということで失語もあります。コミュニケーションは小さいホワイトボードで応答していただいていましたが、元々右利きであり、左手でペンを持ち単語で答えていただける状況です。
左手でフォーク、スプーンを使用し一口大の食事を自力摂取しています。
食欲は旺盛で全量摂取がほとんどでした。
しかし、数日前から食事を食べなくなりました。
理由をお聞きしますが不機嫌にあっちへ行けと左手を使い追い払い、対応を拒否するばかりです。
ホワイトボードを差し出してもペンを持つことを拒否されてしまいます。
水分はストローつきのマグで多量に取れています。
ジュースなど甘いものを好んでいます。
栄養状態の悪化や感情の起伏の激しさが心配されます。
食欲がないのか?食べたいものなら食べることが出来るのか?食事介助につきましたが、お膳が来ると不機嫌でナースに背をむけてしまう状態です。カンファレンスしましたが、答えはでずに状況は変わらずで欠食2日が経ちました。

《情報収集》

肺がん、脳転移、右半身麻痺ですから脳転移部位は左脳。
イライラ、不機嫌、感情の起伏 ホワイトボードに記載拒否 うなづき、首ふり 手はらいで応答
多量な水分摂取
バイタル異常認めず 頭蓋内圧亢進症状なし
排泄状況異常認めず 体重2週間前より1kg減
2週間前に肺MRI、脳MRI行い変化なしの医師所見
家族とは疎遠で面会がなく情報提供は困難

《分析》

イライラ、多量水分摂取しているのは空腹が考えられないか?
失語のためコミュニケーションが取りづらく、質問形式になりがちであった。
理解力などの観察が不充分だったのではないか。
食事場面以外の観察が情報不足?
ADLに関しては変化はないが、脳転移は急速進行があり得る。脳MRIをとったばかりであるが急速な進行も考えられるのではないか?
血圧の変動はなく頭蓋内圧亢進は考えずらいのか?
局所転移の増悪もあり得るのか?

《統合》

高次脳障害の可能性であれば、健忘や混乱、感情起伏が考えられます。
受け持ちナースは直ちにAさんの元に行きました。
丁度食事時であり、Aさんの前にお膳が来ていた。Aさんは食事を見つめています。フォークすら持っていません。
「今、病気のために右手が使えないが困っていることはありませんか?左手でフォークを使用し食事をしましょう。難しいところはお手伝いいたします。」
と受け持ちナースはAさんに言葉をかけました。
するとAさんはとても驚いた表情を浮かべ、しかし、うなづき納得され左手でフォークを持ち食べ始めたのです。

ここ数日、Aさんは自身の右半身麻痺について忘れることが多くなり食事時食べようとするものの、利き手が使えないことに驚いて食事ができないという状況の連続であったのでした。
その事について上手く表現できず、高次脳障害のため混乱しがちであり、拒否的な応答となっていたようです。
受け持ちナースは
「すぐに気づいてあげられずごめんなさい。」
と深くAさんに謝罪したのでした。

Aさんの健忘は強く、毎食前に利き手が使えないことをお伝えする必要があるほどでした。
ナースはアセスメント結果をすぐに医師に報告し、検査が行われAさんの脳転移が急速に進み高次脳症状が出現していたことが明確になりました。
その後は、症状に適した言葉かけやケアを行うことができ、Aさんも落ち着きを取り戻し、栄養状態の悪化を防ぐことが出来ました。
この事例の場合、食事が取れないことからくる栄養状態の悪化以前に、急速な脳転移の増悪に対するケアも遅れをとってしまった例と言えます。
しかしながら、
『看護視点で分析すること』
『根拠をもって統合するアセスメント』
の流れがあり、結果的に脳転移の急速な進行の診断に繋がることが出来た例です。
そして、患者様Aさんは受け持ちナースに対し「困っていたが助けてくれた。」「腹が減ってイライラしていたが左手でも食べれた」と信頼を寄せて下さるようにもなりました。

この事例は、情報をつなぎあわせ、分析すること、そして、統合するというプロセスが具体的に理解できる事例といえます。

情報を収集し看護師視点で分析していくことは、習慣化により必ず身につくことが出来ます。
しなければならない業務をこなすだけですと、どうしてもケアは途切れ途切れになり、連続性を伴いません。
腰を据えて現状を見つめる姿勢と、連続的なケアの提供は必要なケアの提供に繋がるという事実に向かう姿勢が看護アセスメントを進める上で大事なことになります。
情報、分析から導きだされた統合は、患者様にとって最も大事なケアの方向性といえるのです。

まとめ

点(情報)と点(分析)を繋げる作業は最終的に事実(統合)を浮かび上がらせることが出来るのです。
まずは、1事例真剣に取り組んでみてください。その事例が積み重なることで、看護アセスメントは習慣的に行えるようになります。
意識して行うことを継続することで、看護アセスメントの達人に必ずなることが出来るのです。

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