何をもってアセスメントとするのか、人によってとらえ方はさまざまであると思います。
アセスメントに対しての捉え方ひとつで患者さんの見方は大きく変わります。
病棟看護、外来看護、どの場面においても共通して大切といえる患者さんのアセスメントポイントについて紹介します。
アセスメントはバックボーンを知ること
患者さんを看護するうえで最も大切なことは何か。
それは患者さんの人となりを深く知ることです。患者さんは病気を持っているひとりの人間ではありません。
この世に生まれてから今日まで生きてきた人生のストーリーは患者さん一人ひとり確実に異なっています。
患者さんの人生のストーリーを看護を通して正しく知ることで、看護師は患者さん一人ひとりに合った個別性のある看護ができるのです。
個別性のある看護をするうえで大切なことがアセスメントをすることなのです。
個別性のある看護ができる看護師は患者さんだけではなく、患者さんの家族や同僚・医師からも絶大な信頼を得ることができます。
看護師として働くうえで大切なことは信頼されることではないでしょうか。
患者さんの人となりを知ることはただコミュニケーションを取るだけではなく、
患者さんが発する言葉遣い、声色、医療スタッフや家族への態度、日常の何気ない面から知ることができます。
仮にもしも患者さんが言葉を発することが出来なかった状態にあったとしても、面会に来られた御家族や別の日に関わった同僚からの情報収集を通して患者さんをアセスメントすることも可能です。
このように患者さんの情報をあらゆる角度から知る努力が看護師に常に求められるスキルでもあります。
病気について知ること
患者さんの人となりだけではなく、勿論ですが病態生理についても詳しく学ばなければなりません。
教科書やテキストに載っている一般論と比較して患者さんの場合はどうなのか。どのような状態にあるといえるのか。
今後どのような状況になることが予測されるのか。
これらを考えることがアセスメントの基本中の基本となります。
呼吸のしかた、栄養面はどうなのか、睡眠状況はどうか、運動機能はどの程度なのか、既往歴はどうか、血液検査データは何を示しているのか、
疾患の原因はそもそも何だったのか、など患者さんを観察するうえで着目すべきポイントは沢山あるのです。
アセスメントとは基本的に現在の状態から今後どのような危険が考えられるのか、リスクを避けるためにはどのような看護が必要になるのかという、看護計画を立てるために役立てていくものです。人間はロボットではないので、誰もが教科書通りの回復過程を辿るものではありません。
何かをきっかけに突如悪化したり、回復の兆しが突然みえることもあるでしょう。その都度イベントごとに患者さんをアセスメントする癖をつけるようにしてください。
血液検査結果ひとつ見ても、教科書的には異常値であってもこれまでの患者さんの過程をみると実は徐々に改善傾向に向かっていることが分かることもあります。
教科書から得られる知識と、実際の病態に大きく違いが出てきてもそれに動揺することはなく、今ある状態はこの患者さんにとってどういう状態なのかということを常に意識して患者さんの観察を行うことが必要になります。
今この状態にあるから患者さんの場合は安定している。今のままの看護計画で良さそうだなと判断できるのは日々の患者さんといかに深くかかわっているかどうかです。
アセスメントは患者さんの病態生理だけではなく、現在施行されている看護計画が本当に患者さんに合っているものなのかを常に見直すこともアセスメントの過程のひとつであります。
外来における患者さんのアセスメント
外来に来られる患者さんと接する機会は、病棟における看護と違って接する時間が限られています。
来院、診察、支払という限られた時間の中で、必要な情報を得てアセスメントをする効率化と瞬間的な判断力が外来看護では求められます。
また、外来に来られるということは患者さんの日常生活も密接にかかわっていくことを考慮する必要があります。
自分自身が生きていくためとはいえ日常生活の時間の一部を削って病院に来ているということをしっかりと意識する必要があります。
例えば、内服薬の自己管理が出来ない患者さんがいたとします。病棟に入院中は看護師が全て管理をして内服して頂いていましたが、退院後は患者さん自身で自己管理をしなければなりません。自己管理において大切なことは、どのように患者さんの日常生活に内服管理を自然に組み込めるのかということです。
患者さんの自己管理能力をチェックし、さらに患者さんを取り巻く環境にも視野を広げて観察していきます。
自己管理能力はあるけれど、性格が忘れっぽいのであれば忘れないようにするにはどうしたら良いのかを考えます。
常に視界に入る場所に置くようにする、タイマーをつけるなど患者さんにとって忘れない方法は必ずあります。
自己管理が明らかにできないと判断した場合には、患者さんをサポートする人間がいるかどうかを情報収集する必要があります。
御家族が近くに住まわれていれば、看護師側あるいは患者さん本人から理由を説明し理解を得てサポートをしていただく必要があるでしょう。
透析看護におけるアセスメント
透析を受けられる患者さんは基本的には1週間に3回、1度の透析時間は4時間程です。人によっては5~6時間になる方もいれば、週1回の透析のみという患者さんもいます。それ以外の日は患者さんは日常生活を営んでいます。
外来看護と同様に患者さんの日常と密接に関わることができるのが透析看護の魅力です。
透析看護においても患者さんの性格や、日々の過ごし方から日常生活を指導していく必要のある看護になります。もちろん透析中の観察や管理をすることも求められるので2つの視点から患者さんのケアをしていく必要があるのが透析看護です。
糖尿病が原因で腎機能が悪化してしまい、透析を導入される方が近年は爆増しています。糖尿病の病態生理と糖尿病性腎症の病態生理を掛け合わせ、尚且つ患者さんの日常生活と患者さんの性格をしっかりと理解したうえでコミュニケーションをとり信頼関係を築いていく必要があります。
透析導入となると、入院患者さんとの関りと違い透析患者さんとの関りは年単位でのかかわりになることがほとんどです。
そのため、患者さんから信頼を得られることは第一に大切になってきます。患者さんも意志を持つ一人の人間であり人生の先輩であるという自尊心を大切にしながら関わるコミュニケーション能力が必須です。
日々患者さんを観察していると、4時間の透析の中で患者さんならではのパターンが見えてくることがあります。どのような状況になったら血圧が急激に下がるのか前兆のようなものが分かるときがあります。ここまで来れば患者さんをしっかりと観察し考えるアセスメント能力が身についてきたと考えても良いでしょう。
透析以外の日にどんな過ごし方をしているのかを患者さんから聞き出しながら、今後の透析を安全安楽に施行できるためのよりよいプランを医師とともにアセスメントしていける力が身につくのも透析看護の魅力です。
まとめ
患者さんを知らなければアセスメントは出来ません。患者さんを知るということは、患者さんの背景を深く正しく知ること。
今日まで生きてきた人生のストーリーを正しく理解しようとする努力が大切です。
病態生理についてまずは詳しく学び、それを踏まえて病態をきちんと理解していきましょう。
また家族とのかかわりも大切にしましょう。
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