看護師としてのアセスメントのポイント

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#1547 2021/08/22UP
看護師としてのアセスメントのポイント
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医療者としてアセスメントは必須になります。何気なく観察している患者さんの容態を意味のある観察にするためには、エビデンスのあるアセスメント学を利用し、異常の早期発見に努める必要があります。今回は普段見ている患者さんの状態をより詳細にアセスメントできるポイントを記載していきます。

看護師として、アセスメント学は必須項目になります。

このアセスメントがきちんとできているかどうかで、患者さんの異常早期発見につなげることが出来ます。また自分が理解することで対象の観察ポイントをしぼることも出来、看護記録に残すことで医師に異常なポイントを整理して伝えることも出来ます。アセスメント学と聞くと苦手意識が先行し、自分には出来ないと思う方が多い傾向にありますが、難しく考えることはありません。
普段と症状が違う、何か変だと気付けることが観察のポイントとなります。まずは普段とちょっと違うんじゃないかなっという視点で患者さんを評価していくことが大切です。

では早速アセスメントの基本である患者さんの観察ポイントを番号順に紹介していきます。
救急外来やICUでの観察において評価するスケールにABCDE評価があります。
この評価はアメリカ心臓協会の一次救命処置・二次救命処置、小児救命でも使用されており、世界統一基準としても知られています。

①A:airway(気道)です。

人が呼吸をするうえで気道が開通していることが大前提になります。まずはきちんと呼吸の通り道である気道が開通しているかどうかを観察します。初対面の患者さんの評価を行うときに、声掛けを行うと思いますが、きちんと返答できているか、息苦しそうに話をしていないかなどの第一印象が重要になります。声を掛けた時点で普通に会話が出来ていれば気道は開通していることになります。逆に声が出にくそうだったり、ヒューヒューやゼーゼーなど発語の中に異常な音が聞こえた場合は気道の開通が正常ではない可能性があります。その場合は喉の周辺に異常(腫脹や熱感、リンパ節の腫れ)がないかを観察したり、直前に食べたものや、飲んだ薬などを訪ねたりします。気道が腫れる原因としてアナフィラキシーショックがあげられるのでその部分を抑えながらアナムネをとることが重要です。
例:頸部周囲に腫脹がみられ、呼気吸気時に狭窄音あり。呼吸回数は20回/分。頭痛が持続しており、市販のロキソニン内服。服用後から息苦しさが出現。薬剤性アレルギーを疑う。
など記載しておくと医師に呼吸状態が悪いことと原因も伝わりますし、使用した薬剤を理解することで疾患を絞ることも出来ます。呼吸回数など記載することで重症度の判定にもつながりますので、観察ポイントを整理しながらアナムネをとることがポイントです。

②B:breathing呼吸です。

Aの評価と同時に観察をおこないます。息苦しそう、呼吸苦の訴えがあった場合、呼吸器系に異常がある可能性が指摘されます。咳をしているか、その咳は乾いた感じ(乾性咳嗽)なのか、それとも痰が絡んだような咳(湿性咳嗽)なのかを判別していきます。その後聴診器にて肺の音を聴取していきます。聴診のポイントは胸部の上から下に向かう感じで聴診します。肺の上葉、中葉、下葉(背部聴診)を聴診して上気道なのか下気道に異常があるのかを観察します。それと同時に呼気・吸気時のどちらに異常があるのか、両方に異常があるのかも見ておきましょう。聴診の時は胸郭の上りが左右対称かもしっかりと観察しましょう。左右対称でない場合は緊張性気胸なども考えられます。胸痛なども観察しておきましょう。
例:吸気時に呼吸苦あり。持続する湿性咳嗽あり。自己による痰の喀出可。胸部聴診にて中葉から下葉にかけてラ音聴取。胸郭の左右差なし。体温37.8血圧140/70mmhg脈拍80回
など記載しておくと呼吸状態に異常があり熱発をしていることから肺炎などの疾患を疑うことにつながります。呼吸音はわからないので聴診しないではなく、異常か正常化を見極めるためにも積極的聴診するようにしましょう。

③C:Circulation循環です。

血圧を保つうえで循環は必須項目になります。脈拍が速い?遅い?血圧は普段より高い?低い?手に冷や汗はあるか、末梢は冷たい?温かい?顔色はどうか?などを観察していきます。アメリカ心臓協会の二次救命処置(ACLS)の判別では、脈拍が速い、遅いに対して動悸以外の症状があるかが必要になります。胸痛や冷や汗、バイタルの変動がある場合は原因疾患を検索していきます。例えば発熱などが見られた場合はそれが循環動態に変動を来たすきっかけとなっているので、まずは解熱を処置していきます。過労が原因で頻脈が起こっている場合を休息を促すなど、脈拍変動に対して直接的な原因となっていないことを除外します。それ以外で脈拍に変動起こっており循環状態に障害が及んでいる場合は十二誘導心電図やモニターを装着し心臓の動きを観察します。徐脈の場合は緊急性の高い脈拍であるⅡ度Ⅲ度の房室ブロックがあるかどうかを判断していきます。また頻脈の場合はQRSの幅が狭いか広いかを判断。広い場合はVTとして処置をしたり、PSVTやAFなども判別を行っていきます。循環の観察ポイントは難しいのですが、まずは血圧の変動、脈拍の変動を観察し、変動の直接的な原因が心臓かどうかを振り分けることがポイントです。心臓かな?っと思った場合は積極的に心電図検査をすることをお勧めしますし、医師に上申することも必要です。

④D:disability神経学的所見です。

用語だけ聞くと難しそうに感じるのですが、この評価をおこなう簡単な方法にAVPUという手法がります。A:アラート、意識があるかどうか、それが清明(正常な反応)であるかを観察します。V:ボイス、発語がみられるかどうかP:ペイン、痛みに反応するかどうか。U:アンレスポンシブ、従命に従うか、手を握ってくださいだけではなく、グー、チョキ、パーなど細かい指示をだして反応するかどうかを判断します。その評価スケールを使用して反応を確認したことを記載しておきましょう。

⑤E:Exposure and Environmental control:外傷、脱衣による外表、体温です。

患者さんの全身状態を観察し、明らかな外傷があるかどうかを直接的に患者さんに触れて確認します。頭から足先まで触ってみて、極端に痛がる部分があるかどうか、衣類の下で出血がないかどうかなどを観察します。実際に私が当たった症例で、高齢者でオムツを着用しており、明らかな外傷はないのですが血圧の低下がみられていた例がありました。なぜ血圧が下がるのか、心臓に異常があるのかなどを医療チームで話あっていたところオムツを着用しており、オムツを開けてみると出血が多量に見られていたことがありました。最近のオムツは吸収性の性能がよく、出血が漏れないことも多々あります。パッとみて評価することも大切ですが、上記の点に着目することも大切です。

以上の①から⑤の部分を掘り下げて観察するだけで普段行っているアセスメントが深まります。記録に整理することで自分の観察ポイントで不備がある点の気づきにもなりますので、普段行っている観察点に少しだけアレンジしてみてください。それを繰り返すことで身につけることが出来ますし、慣れていくと記録においての重要な点を簡潔にまとめることも出来ますよ。

まとめ

いかがでしたでしょうか?普段医療者として病院・クリニック・訪問看護などで働くうえで、必要なポイントを簡潔に知ることが出来たのではないでしょうか。観察の視点を少し変えるだけで、自分の見ている部分を詳細にすることができますし、観察ポイントを掘り下げることで隠れた疾患を見つけることも出来ます。是非臨床で使用してみてください。

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