履歴書を記入していて、最初に筆が止まるのが志望動機ではないでしょうか。
フリーライティング欄なので、何となく記入してしまう看護師さんも多いのですが、実は履歴書の中で、最も重要な項目のひとつであり、面接でも必ずされる質問のひとつです。
そこでこのページでは、志望動機を考える際のポイント・注意点などを詳しく説明します。
実際に応募する際に応用可能な例文も盛り込んでいますので、転職活動にぜひご活用ください。
志望動機は、履歴書の中で最も重要な項目のひとつ
志望動機は、看護師さんの仕事に対する姿勢やモチベーション、志望度の高さを図る物差しとなっています。
言い換えれば、入社後に長く働いてくれる看護師さんかどうかを判断するために非常に重要です。
ここがぼんやりしていると、採用担当者に不安を与えてしまう可能性がありますので、なぜその転職先を志望しているのかを、具体的かつわかりやすく書くよう心がけてください。
(注意点については「こんな志望動機はNG。典型的な6つのパターン」で後述します。)
そしてもう一つ、志望動機は「あなたがこれまでの経験、強みを活かし、新しい職場でどう貢献ができるか、なぜ貢献できるか」を問われています。
すなわち志望動機を通じて「自分が採用に足る人材」であることをアピールする必要がある」ということです。
採用担当者があなたに期待する役割と、あなた自身が新しい職場で実現したいキャリアパスが同一線上にあるということが伝わるように書きましょう。
そして、最後のセルフチェックも忘れずに。
もし自分が採用担当者なら……と仮定の上、自分の書いた志望動機を見直して「この人なら採用」と思えるかどうかも確認してみましょう。
それでは次の項目からは、具体的な志望動機の書き方をご紹介します。
「志望動機ははっきりしているけれど、それだけに採用担当者の心を掴む書き方が思い浮かばない」とお悩みであれば、ぜひご参考にしてください。
志望動機を考える前の準備
ご自身の志望動機を考える前に、いくつか調べたり、確認したりすべきことがあります。
1.応募したい職場には、どのような特徴があるか調べておく
応募先の病院についてしっかり調べ、院の理念やめざす医療の形などを把握しておきましょう。
病院のホームページなどに、それらの情報は記載されている場合がほとんどです。
病院自体の雰囲気をあらかじめ知っておきたいのであれば、事前にご自身で一般来院者として訪ねてみる方法も一案です。
2.どのような人材が求められているかを押さえておく
求人情報や求人票をよく確認し、募集職種だけでなくどんな人材を募っているかをある程度想定しましょう。
特定の分野に強いスペシャリストを求めているのか、臨機応変に気配りのできるマルチタスク型の看護師さんに来てもらいたいのかでは、応募時の対策も変わってきます。
3.自身が応募先の募集要項に見合ったスキルや価値があるか推し量っておく
看護師の転職市場で、自分にどのくらい価値があるかをある程度予測しましょう。
言い回しとして適切かどうかは微妙ですが、「応募する職場が身の丈に合っているか」ということです。
応募先が求めるスキルや力量が明らかにご自身に不足していれば、応募しても求める人材とはみなしてもらえません。
シビアな考え方ではありますが、転職市場でのご自身の価値をある程度見極め、それに見合った職場を選ぶことも意識して応募先を選定しましょう。
志望動機の書き方ポイント
ここでは、志望動機を書くにあたってのポイント(注意すべき点)についてご紹介します。
1.ネガティブ理由での転職と感じさせない「言い換え方」が大事!
「前職の待遇に不満があった」「前職の人間関係が悪く、環境を変えたい」などの動機で転職する人は、決して少なくありません。
応募先の採用担当者も、その点はある程度想定できているはずです。
しかし、それをストレートに伝えるよりは、可能な限り前向きさを感じさせる言い換えをすることで、より好印象を与えられるでしょう。
【転職理由の言い換え方の例】
・待遇面での不満 → もっとハイレベルな現場で、自分の力を発揮したい
・人間関係の問題 → 貴院はチームワークが良い職場と伺っているので、周囲と協力することで自身のスキルや長所を生かし貢献したい
2.「長く勤めること」を前提に動機を整理しよう
採用担当者としては、せっかく新戦力を採用するのであれば可能な限り長く働いてほしいと考えています。
キャリアアップを意識するあまり、「キャリアステップの一環として転職を」などの動機を伝えてしまうと「長く働いてくれないのでは」と思われてしまうかも。
「転職後はできるだけ長く働きたい」「可能なら定年まで勤めあげたい」など、長期にわたって仕事をしたいという意思をはっきりさせることで、採用に近づける可能性も高まります。
3.例文を参考にする場合は、思い切ったアレンジを
志望動機の例文は、ネットなどで検索すると驚くほど数多く見当たります。
しかし、応募先の採用担当者も、きっとそれらをひととおり目にしていると考えたほうが良いでしょう。
ほぼ例文のままで通り一遍な内容の志望動機では、採用担当者の心を動かせません。
できるだけご自身の言葉に言い換えたり、類語を代わりに用いたりするなどして工夫し、「あなた自身の言葉で書いた書いた志望動機」をしっかり読んでもらえるようにしましょう。
職種や働き方別・志望動機の例
ここでは、病院の特徴や働き方のスタイルに応じた、具体的な志望動機の書き方例をご紹介します。
みなさまがめざしている働き方を照らし合わせながら、志望動機を考える際のご参考にしてください。
1個人経営のクリニックに転職する場合の志望動機例
「専門外来での業務を長年続けており、一般外来での経験があまりなかった点が前職での心残りでした。
もっとも多くの看護師が働き、そしてもっとも多くの看護師を必要としているのは、やはり一般外来の現場でしょう。
自分にはもっとさまざまな層の患者さんが来院する病院での経験が必要で、どのような状況にも落ち着いて対処できるスキルを身に着けるべきだと、常々考えを巡らせていました。
一般外来診療を幅広く実施している貴院なら、今まで以上のやりがいを感じて働けると確信し、志望に至った次第です。」
2.小児科のクリニックや病棟に転職する場合の志望動機例
「前職の総合病院内科では隣に小児科の現場があり、小児科の看護師が生き生きと業務にあたる姿を常々見ていました。
子供が好きなことだけでは務まらないとは承知しつつも、自身の「子供好きである」という特性を積極的に生かし、小児科へ移って仕事をしたいと考えるようになりました。
貴院では、子供たちに病気・けがの予防を楽しく教えることや、不安や辛さを感じている子供たちに前向きになってもらえる看護を実践したいです。
また子供たちと接しながら、自身の看護スキルもさらに向上させていきたいと思っています。」
小児科へ転職する際の志望動機の考え方・書き方は、以下のコラムでもくわしくご紹介しています。
→ 看護師さん必見!小児科へ転職する際の志望動機とは
3.研修・キャリアアップ制度が充実した病院へ転職する場合の志望動機例
「前職を通じて日々の業務はしっかりこなせるようになりましたが、看護師としてまだまだ身につけるべき知識・技能が数多くあるとかねて考えていました。
また、以前から専門分野で看護師として活躍したいという意向があったため、新たな学びを得られる場に移りたいという思いも強くあります。
自身で学ぶことも今まで通り継続しつつ、研修やセミナーの制度が整っている貴院で学びの場へ積極的に参加し、ハイレベルな現場や業務における戦力となり最大限に貢献したいと思っています。」
キャリアアップ転職をしたい場合の志望動機の考え方・書き方は、以下のコラムでもくわしくご紹介しています。
→ 看護師のキャリアアップ・スキルアップ転職の志望動機とおすすめの資格10選
4.フルタイムからパートや時短勤務の現場へ転職する場合の志望動機例
「長くフルタイムで看護師として勤務しましたが、いよいよ育児と親族の介護を並行する状況となり、家事との両立が困難になりました。
育児の期間はあと2年ですが、介護は何年先までか目処が付かず、やむなく転職を考えるに至った次第です。
その点、貴院では予約診療が中心と伺っていますので、パート勤務の形でなら一切ご迷惑をかけることなく、家事との両立を図れると考えています。
育児が落ち着く2年後には、もう少し長時間での勤務も視野に入れ、これまでの経験を活かし貴院でも末永くお世話になりたいと思っております。」
パート・アルバイト看護師として転職する際の志望動機の考え方・書き方は、以下のコラムでもくわしくご紹介しています。
→ 看護師のアルバイトの志望動機は?採用されやすくなる例文を紹介
5.美容外科・美容皮膚科・審美歯科など美容系クリニックへ転職する場合の志望動機例
「治療や回復を前提とした看護師業務をしてきましたが、今後は患者さんの暮らしや生き方をより良いものにできる美容医療にかかわりたいと考えるようになりました。
患者さんのデリケートなお悩みにも親身に寄り添い、医師とともに効果的で安全な解決策を提案できる、思いやりのある看護師でありたいと考えています。
また、美容医療の世界では独自の知識や技能、そして患者さんとの高いコミュニケーションスキルが求められると伺っております。
いつまでも熱心に勉強を続け、多くの患者さんに喜んでいただくとともに、貴院に貢献したいと思っています。」
6.ICU(集中治療室)志望の場合の志望動機例
【ICUでの看護経験がある場合】
「私は、大都市圏のICUで5年看護経験を積みました。
いつも患者さまの生命を最優先しながら看護にあたる日々の中、ここで培った経験や知識を地元の医療に活かすことができないかと考えるようになりました。
そこでIターンによる地元病院へお転職を考え、貴院のお名前が真っ先に頭に浮かびました。
地域医療の先導役として最新の設備と態勢で患者さまの生命を守る貴院のICUで活躍させていただくことで、地域社会にも末永く貢献したいと思っています。」
【ICU未経験で転職を志望する場合】
「これまでは、○○病院の病棟で3年間勤務しました。
その中でもっとも関心を持ち喜ばしさを感じてきたのは、手術や救命医療を終えた後の患者さまの看護です。
回復していく患者さまの生命力に感銘を受けつつ、自身も相応しい知識やスキルを身につけて今度は手術や救命医療の現場で看護にあたりたいと考えるようになりました。
まだ若手と呼ばれる経験年数なので、ぜひ教育体制の整った貴院で看護業務にあたりながら命を救うための医療も学ばせていただきたく思っております。
さらなるスキルと経験を身につけ、今後は中堅・ベテランと呼ばれるまで長く貴院で活躍できるよう精進してまいりたい所存です。」
さまざまな病院の形態や診療科によって、志望動機の書き方や文面の内容も異なります。
たとえば「学びたい」「勉強させていただきたい」という文言を使いがちになりますが、これがプラス評価となるのは経験年数の少ない方が新たな診療科を志望する場合のみです。
応募してくる看護師を「即戦力」として採用したい場合、あまり歓迎されないこともあるため気を付けましょう。
また、志望動機には「その病院をなぜ選んで応募しようと思ったか」を盛り込むとよいでしょう。
未経験の診療科を志望する場合は、併せて「なぜその診療科に転職したいか」についても述べるようにしましょう。
つまり、もっと待遇のいい職場があればすぐにまた転職してしまうという印象を与えかねません。
志望動機では、あくまでも事業や仕事内容に照らして書くほうがベターです。
まとめ
転職したらずっとその病院で働きたいという意思が志望動機から伝えられれば、よりプラスの印象につながるのではないでしょうか。
また志望動機が理にかなっていると、採用担当者は入職後のあなたのキャリアイメージを頭に描きやすく、同時に志望度の高さがわかるので、採用するにあたって非常に大きな安心材料になります。
今一度、新しい職場で自分が実現したいことを整理した上で、面接の場で採用担当者にその思いが伝わるよう工夫しましょう
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