看護師として働く以上、必要となってくるものがアセスメントです。
学生時代から学んでいますが、苦手な方も多いのではないでしょうか?
そこで、看護のアセスメントで抑えるべきポイントと、わかりやすい事例をご紹介します。
これを読めばきっと看護アセスメントに対する苦手意識が薄れていくでしょう!
1.患者さんの全体をみる
2.病気に関する知識をもつ
3.常に疑問を持つ
以上の3つができていれば、看護師と仕事をするうえで自身を持って仕事をすることができるようになり、怖いものはなくなります。
1患者さんの全体をみる
これはどういうことかと言うと…。
普段の患者さんの状態を把握したうえで、いつもと違うところはないか、全身を観察します。
からだの一箇所をみているだけでは、異常に気づかないこともあるんです。
患者さんのからだ全体をみて、いつもと違うところやおかしいところに気づくことが大切です。
だいたい、急変しているときには、いくつもからだに異常をきたしているはずですから。
おかしいな、いつもと違うな、と思う箇所があったらピックアップしておいてください。
2病気に関する知識をもつ
病気に関する知識をもつことはとても大切です。
知識があることで、これはどんなことが原因で起こっている症状なのか?
すぐに診察を依頼したほうがいいものなのか?
などとアセスメントすることができるからです。
なるべく多くの病気に関する知識を持っている方が有利ですが、長年看護師として仕事をしていると自然と身についてくるものもありますし、とりあえず最初は基礎的な疾患に関してだけ把握しておくようにしましょう。
基礎的な疾患の一部を例に挙げるとすると、
脳梗塞、心筋梗塞、糖尿病、肺炎、心不全、腎不全などでしょうか。
他にもたくさんあります。
からだの障害されている部位によって特有の症状が出てくるという関連性も少しずつ理解できるようになるでしょう。
例えば、頭であれば頭痛、嘔気、意識レベルの変化
腎臓であれば、むくみ、血圧異常といった共通する症状があるのです。
それらを把握することで、この症状があるから、ここらへんの部位の障害かな?とつなげて考えることができるようになってきます。
3.常に疑問をもつ
病院で患者さんを看ていると、だんだんと異常な状態に慣れてしまうことがあります。
『この人はいつもおしっこが少ないからいつもどおり』と思っていたら、ショックが起こってさらに尿量が減っていた、ということもよくあります。
病院にいる患者さんはだいたい疾患を持っているので、健康な人と比べると逸脱している箇所が多いです。しかし、異常に慣れてはいけません。つねに、この人のこの症状はなんだろう?どうして起こるんだろう?と考えアセスメントすることで、異常の早期発見につながるのです。異常だけど、いつもと一緒だから大丈夫、ではなくつねに異常だけど、見逃してもいい異常なのか、すぐに対処しなくてはならない異常なのかを疑問を持って考えることが大切です。
看護をするうえでとても重要なことです。
ただし、病気に関する知識をあまり持っていなかったとしても大丈夫です。
診断をするのはあくまで医師の仕事です。
看護師が患者の観察をして、その情報を医師に報告することができれば、医師がその情報をもとに判断してくれます。
なぜ看護師が知識を持つことが大切なのかというと、そこまでの過程をよりスムーズにし、より明確に異常を医師に報告することができるようになるからです。
なので、新人さんや久し振りに看護のお仕事をする方は、とりあえず患者さんの全身をくまなくみて、異常がないかを調べてください。
その結果をもとに、今患者さんの体になにが起こっているのかをアセスメントします。
そしてそれを医師に報告するのです。
そうすれば、医師が診察し的確な対処法を指示してくれます。
ここで、事例をひとつご紹介します。
『脳梗塞を発症した患者さんのアセスメント』
70代男性、おしゃべり好き。ADL自立。
本日は朝からベッドに横たわっており、ほとんど話す様子がない。受け持ち看護師がおかしいことに気がつき、患者さんに声をかけたが呂律がまわっていない様子であった。試しに手を握ってもらったが、うまく力が入っていない。足を膝立してみたがすぐに倒れてしまった。起き上がることもできない様子であった。瞳孔を確認したところ、普段は2.0mm大であったが本日は対光反射もみられなかった。血圧は180台。嘔吐もみられた。
看護師のアセスメントとしてまず、普段の患者の状態を知っているところから始まります。
いつもと違う様子の患者。まずどこをみてみましょうか。
おしゃべり好きなのに、今日はずっとベットにいて話す様子もありません。
声をかけて返答はありましたがうまく呂律がまわっていない様子。
この時点で、知識のある看護師の頭の中にはなんとなく、なんの病気か心当たりが浮かんでいるでしょう。呂律困難…ここから判断すると頭の病気でしょうか。知識があると、特殊な検査をしなくても、これだけの情報でここまで判断することができます。頭の病気、脳梗塞です。そこで、脳梗塞の症状をあたまに思い浮かべ、順番に患者さんのからだをチェックしていきます。まずは、手足に力が入るかを確認し、瞳孔のサイズも確認します。
手足にちからが入っていない様子であり、対光反射もありません。
案の定、脳梗塞の症状がぴったりあてはまったため、医師に状態を報告しました。報告の際は、脳梗塞の症状(対光反射の消失、麻痺の出現、呂律難)を優先的に医師に伝えることで、その場で医師が診察していなくても患者さんになにが起こっているかが医師に伝わりやすくなります。そのほうが、医師も状況を理解しやすいですし、早急に対応してくれる可能性が高くなります。その後頭部CT、MRIの検査に至り、早期発見することができました。患者さんは早期に対処したおかげで、後遺症もほとんどなく元気に退院していきました。
脳梗塞の症状 片麻痺、呂律難、対光反射の消失、意識障害等
患者の普段の状態とこれらの情報を把握していれば、うまくアセスメントすることができるはずです。
普通に話ができていた患者さんがある日突然しゃべらなくなってしまったら、一体何が起きていると考えられるのか。
疑問を持って考えることが看護のアセスメントには大切です。
もし看護アセスメントが苦手であるならば、おかしいと思った状況をそのまま医師に報告しましょう。
診断することが医師の仕事ですから、きっと的確な指示を出してくれるでしょう。
そしたら、医師の指示のもとに行動すれば患者さんの命を救うことができます。
看護のアセスメントができるようになるということは、患者さんの異常に早急に気がつき、適切に対処できることにつながります。
また、それだけではなくきっと、看護師として働くうえでのあなたの自信になるはずです。
看護アセスメントは苦手な方が多いと思いますが、少しずつ勉強することで自然と頭の中で知識がつながる瞬間が必ずあります。
もしも自分が異常に気がついて対処したことで、患者さんの命が助かったら…
そう考えると普段から勉強していてよかった!と思えますし、これからももっと知識をつけて努力しよう!と思えるはずですよ。
患者さんのために、未来の自分のために、ぜひ看護アセスメントの知識を深めていってください。
まとめ
看護のアセスメントをするうえで大切なことは、
1.ふだんの患者がどうであるか状態を把握し、そのうえで異常が起きていないか全体を観察すること
2.病気に関する知識を持つこと
3.常に疑問をもつこと の3つです。
以上のことをこころがけて看護をすれば、自然とアセスメントができるようになってくるはずです。
もしもアセスメントが苦手であれば、異常に気づき報告することさえできれば患者さんを救えます。
あなたの周りには頼りになる医師、同僚の看護師がいます。
観察、アセスメントをしっかりして、ひとりでも多くの患者さんの命を救ってください。
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