入院している患者さんの場合は、いろいろな症状が現れることがあります。その症状の一つとして嘔吐があります。嘔吐がある場合は、さまざまな原因が考えられます。看護師として、原因をアセスメントして医師に報告をすることが大切です。ここでは、嘔吐の患者さんに対するアセスメントはどのようにしたらいいのかについてお話します。
・時期を判断する
嘔吐が見られた患者さんの場合、その時期についてアセスメントすることが大切です。まずは、外来患者さんの場合、その時期により感染症を疑うことがあります。感染症としては、特にノロウィルスによる感染が疑われます。
一般的に冬に多いのですが、違う季節でも感染症として流行ることがあります。その時期により流行っている場合は特に注意をしてそのことと関連付けてアセスメントをします。ノロウィルス以外でも起きることがあるので、そのことに留意しておきましょう。見ている時点で、どのような感染症が流行しているのかをしっかり把握しておきましょう。そのようにすることにより、容易にアセスメントして繋げることができます。
このことは、入院患者さんでも見られることなので注意が必要です。嘔吐をしている患者さんが一人いると、その患者さんが感染症であるのかないのかはしっかりアセスメントをします。そのようにすることにより、入院している患者さんを守ることができます。
・嘔吐物をアセスメントする
嘔吐をしている患者さんがいる場合は、その嘔吐物をアセスメントすることも重要です。単なる食物残渣物の場合は、そこからアセスメント広げます。嘔吐物の中に血液が混入している場合や、胆汁が混入している場合によりアセスメントが変わります。緊急性を要するのは、血液が混入している場合です。どこかで出血している危険性があります。その時、著しく見られると、命の危険性もあります。
血圧が下がってきている場合は、処置が必要となるのでバイタルサインと関連付けて医師に報告をします。バイタルサインを測定する前に、意識がない、朦朧としている場合は緊急性を伴うことが多いです。
・既往歴を見る
既往歴についても、嘔吐と関連付けてアセスメントをします。既往歴で嘔吐をする危険性がある胃や十二指腸、大腸の疾患、また高血圧でも起きることがあります。
そして手術後のイレウスなども疑います。
疑われる症状と関連付けて、バイタルサインとを報告することになります。その後は、医師の指示により検査や処置が行われることになります。様子を見ることもありますがほとんどの場合は、検査を行います。
・食事と関連付ける
嘔吐をした場合、一人だけではなくそのほかの患者さんも嘔吐をしている場合は食事が関係していることがあります。あってはならない事ですが、食中毒などが考えられる場合もあるのです。その時、ほかの患者さんの様子もきちんと観察するようにしましょう。
・薬と関連付ける
嘔吐がある場合に、薬の副作用であることも考えます。特にいつも嘔吐をしている場合は、副作用であることもあるでしょう。ほかの看護師と一緒に、そのことについてアセスメントをしましょう。
またはじめてその薬を飲む場合は、特にその可能性を疑います。薬の副作用を見て、嘔吐がある場合はそのことも考えられますね。
・患者さん自身の環境面をアセスメント
患者さんの環境面を考えることも大切です。それはなんと言っても、嘔吐の症状が見られる時に精神的なことが関係していることもあるからです。入院をして間もない患者さんの場合は、精神的に不安になり嘔吐をしたことも考えられます。
その場合は、続けて起きることもあるので要注意です。一回だけで終わることもあります。不安を話している患者さんの場合は、嘔吐をすることがあるので注意をしておきましょう。
・疾患と関連付ける
嘔吐をした時に、まずその疾患と関連付けることが大切です。疾患の経過の中で嘔吐をすることもあります。特に多いのは、やっぱり治療による嘔吐です。がん治療で輸液を行っている場合は、副作用として必ず嘔吐があります。
嘔吐がない患者さんの方が珍しいぐらいなので、そのことに留意をします。がん治療で点滴を受けた後には、食欲がないことと嘔吐をしてしまうことを思い、観察を密に行います。嘔吐をすることを前提として、ガーグルベースン等を準備します。
また治療による嘔吐ではなく、疾患の進行により起きることもあります。脳疾患の場合は、嘔吐、しびれ、顔面の麻痺等が現れます。その時、緊急性を要するので直ぐに医師に報告をします。
そしてその診療科では関係のない症状が現れることもアセスメントします。整形外科で入院をしている患者さんでも脳疾患の症状があらわれることがあります。また胃炎や胃潰瘍、胆嚢炎なども起きることもあるのです。そのことから、看護師は患者さんのトータル的な観察をすることが大切です。
・検査をアセスメントする
嘔吐のある患者さんの場合は、その状態により検査を行うことがあります。発熱をする場合は、採血を必ず行います。嘔吐に限らず、症状がある場合にまず行う検査として採血が圧倒的に多いです。
採血を行うことにより、感染による嘔吐であるのか知ることができます。発熱しているのでよりその検査が必要です。また体のどこかに炎症が起きている場合も、採血により知ることができます。感染を示す値が大きいと処置を直ぐに行うことがあります。軽い場合は、内服薬だけでいいのですが、重い場合は点滴を行い絶食とすることもあります。
また脳疾患の場合は、MRI等の検査を行なったり、CTを行うことがあります。いずれの医師が判断をすることですが、その時に看護師のアセスメントをした観察が最も重要となるのです。報告をする時に、関連付けた内容をしっかり報告しましょう。
胃炎や胃潰瘍の場合は、採血により出血傾向をしめす検査データが出ることがあります。その時、検査として胃カメラ等を行うことがありますが、時期を観て行うことになるので指示が出た時点で準備をしておきましょう。
・処置をアセスメントする
嘔吐のある患者さんへの処置として、まず寝ている患者さんの場合は側臥位でベッド挙上させるようにします。それは誤嚥を防止するためです。特にお年寄りの場合は、横に顔を向ける等直ぐに実施します。起きている患者さんの場合は、臥床させましょう。とりあえず、安静にさせます。
その後に、医師に報告を行い処置の介助を行います。処置としては、絶食に伴い輸液を開始することがあります。また発熱している場合は、抗生剤の点滴を行うことがあります。
・緊急性をアセスメントする
嘔吐の症状のある患者さんの場合は、緊急性があまりないと思うこともあります。それは一般的に、よくあることだからです。食事をしていて嘔吐をすることもあるし、日常生活の中でもあることなので、そんなに心配しないでいいと思うときもあるでしょう。
実際に、そんなに注意をしなくてもいい嘔吐がほとんどです。ところが、病院でそのようなことがあった場合は、まず緊急性を要する症状なのかということをアセスメントすることが大切です。その後に、意識をうしなった、血圧が急激に低下したなどの場合はチアノーゼを呈することがあります。血圧低下をともなす嘔吐の場合は、すぐに医師に連絡をして対処を依頼します。
緊急性のある嘔吐は、一人で判断できないこともあります。その場所を離れることができないこともあるので、患者さんのチアノーゼの有無などを判断して応援を要請しましょう。
まとめ
いかがでしたか?嘔吐の症状のある患者さんは多くいます。その時、瞬時にいろいろなことを考えることができないと感じます。しかしそのアセスメントを繰り返すことにより、段々となれてきて、早く判断ができるようになります。そのようになるまで、看護師として患者さんのアセスメントを繰り返して自分を鍛えていきましょう。
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