精神科ナースというとどのようなイメージを皆さん持っているでしょうか。「特殊な現場」「なんだか怖そう」そんなイメージをもたれている方が多いのではないでしょうか?ストレス社会と言われる現代において鬱病など精神疾患を患う方も多い世の中になってきています。今回はそんな精神アにおける看護マネジメントのコツについて詳しく解説します。
①看護師におけるアセスメントとは
アセスメントとは、看護過程(情報収集、アセスメント、問題点の抽出、看護計画の立案・実施・評価)におけるプロセスのひとつです。対象者から得た「主観的情報」と医療者の観察から得た「客観的情報」を解釈、統合しながら、対象者を取り巻く看護上の問題点を理論的に分析します。アセスメントは、対象が抱える問題点や優先度を判断し、看護ケアの方向性を明確化することにつながります。
・主観的情報:対象者自身の主訴、言動
・客観的情報:バイタルサインや検査データ、表情、皮膚や排液の状態など
収集した情報は、看護学的な視点で分析することが求められます。一般的には、下記のような看護理論を枠組みとして展開されます。
・V.ヘンダーソン:14の基本的欲求
・M.ゴードン:11の機能的健康パターン
・C.ロイ:4つの適応形式
・A.マズロー:5つの人間のニードの階層構造(欲求5段階説)
・NANDA-l:13領域による分類
②精神科のナースって?
精神科の看護師って、どんなイメージを持っていますか?
「特殊な現場」「なんだか怖そう」そんなイメージをもたれている方が多いのではないでしょうか?ストレス社会と言われる現代において鬱病など精神疾患を患う方も多い世の中になってきています。そんな方々の支えになりたい、精神科でスキルを上げて患者さんに寄り添う看護をしてみたいと思っている方にとっては、精神ナースに必要なアセスメント能力が気になるのは事実かと思います。本稿では、精神科での看護師の仕事内容や役割、そしてアセスメントのコツについて書きました。
②精神看護学とは
精神看護学とは、心の病や健康問題を持った人が自律性の回復を通して、その人らしさを取り戻す方法を考え実践する分野のことです。個人の尊厳と権利擁護を基本理念として、専門的知識と技術を用い、患者さま中心の治療や生活支援を考えます。近年の日本で急速に需要が増している分野です。
看護師は病院で療養する患者さまの生活を支援し、対話しながら看護することが基本です。医療的な処置は少なく、診察は週1回程度で注射や点も毎日はないことが多いです。患者さまの特徴として病識がない方が多いので、ご自身に精神疾患である事を認識いただいた上で、薬物療法を支援していくことが重要です。
③具体的な仕事内容
具体的な仕事内容は大雑把に4つあります。
>コミュニケーションによる心理ケア
>患者さんの精神症状・身体症状の把握やアセスメント
>日常生活動作の援助
>与薬
【コミュニケーションによる心理ケア】
コミュニケーションによる心理ケアは、精神科の看護師の仕事として非常に重要と思われます。他の診療科との最も大きな違いは、患者さんの疾患の身体的なけがや病気ではなく「心の病」であることなのです。そのため、コミュニケーションによる心理ケアが患者さんの回復に必要不可欠になってきます。
例えば、もしあなたが自分の仕事で忙しい時に、患者さんから「看護師さん、ちょっと話したいことがあるのですが。」と声かけられた時はどうでしょうか? 精神科の患者さんにとっては、そういった何気ない言葉でも、勇気を出したものだったかもしれません。その勇気に「ちょっと待って」などの一言は重い一言にもなり得ます。
精神科の患者さんにとっては、やりとり一つ一つが大事なやりとりでもあり、看護師とのコミュニケーションでの関わり合いが大事な時間なのです。精神科の患者さんは治療期間が長く、完治しないケースも少なくないと言われています。他の診療科と比べても、長い付き合いになることも多いので、そういった意味でも一層信頼関係が大切になります。
【患者さんの精神症状・身体症状の把握やアセスメント】
患者さんの精神症状・身体症状の日々の把握やアセスメントは大事な仕事の一つです。精神疾患の患者さんは、自分の状態を把握したり他人に上手く伝えたりすることができないことも少なくないといわれています。また興奮や暴言・暴力といった手段で自分の気持ちを表現することも多くあります。
例えば、身体的な症状、腹痛や頭痛がある時に「お腹の中に蛇がいる」「頭に何かいる」などと、まるで幻覚や妄想のような訴えをする場合も多くあります。その訴えについては精神症状なのか、それとも身体症状なのかを鑑別することが大事で、なるべく早期にキャッチして医師に報告する必要があるでしょう。
【日常生活動作の援助】
精神疾患の患者さんは、精神症状の影響で日常生活動作の援助が必要な方が多いとおもわれます。例えば、アルコール離脱の患者さんに薬で鎮静をかけたり、興奮状態で危険行動のリスクがある患者さんには身体拘束をしていたり、鬱病や統合失調症の患者さんは、何事に対しても関心が薄くなり、身だしなみにも無頓着状態、などなど症状やその人によって多岐に渡ります。このように精神疾患の患者さんは、精神症状の影響のため日常生活動作を援助していくことが不可欠になってきます。
1-4 与薬
精神科における最も一般的な治療は薬物療法のため、与薬が精神科の看護師の重要な役割になってきます。与薬のときに大切なのは、看護師の前でしっかりと飲み込んでもらい、それを確認することです。
例えば、患者さんの中には舌の裏に隠して後で吐き出す方や、飲み込まずに薬を隠して後で一気に飲むことで自殺しようとする方もいらっしゃいます。他の科と違い、このように与薬に対して一筋縄にいかない患者さんもいることは精神科の特徴であり覚えておいた方が良いでしょう。
精神科看護師の仕事内容・役割 ~まとめ~
精神科看護師の仕事内容・役割は、コミュニケーションによる心理ケア、患者さんの精神症状・身体症状の把握やアセスメント、日常生活動作の援助、与薬 の大きく分けて4つです。他の科と違うのは、「心の病」の治療であるため、看護師の関わり合いが非常に重要になります。ではどのようにアセスメントする必要があるのか、そのコツを見ていきましょう。
④適切なアセスメントのために必要なスキル
>「患者と看護師」としての適切なコミュニケーション
どの診療科でもそうですが、精神科においては看護師として、患者さまと適切な関係を築くことが心理的ケアの一環となり、非常に大切な事です。精神科には病識のない患者さまも多く、服薬やそのほかの治療を拒否する場合がありますが、適切な信頼関係を築いた看護師の話なら聞いてみようと、服薬を受け入れてくれる等支援に繋がっていきます。
また患者さまの様子がいつもと違うと心配になってしまい、何度も話しかけたり、様子をうかがったりしてしまうかもしれませんが、そのような時は無理して話しかけたりせずそっとしておきましょう。「自分の意思を尊重してくれている」と感じてくれるかもしれません。
>距離感に気を付ける
患者さまとの距離が近すぎると妄想を持たれてしまい、回復に悪影響を与える場合もあります。あくまでも「患者と看護師」として、適切な距離感を持ってコミュニケーションをとる事が精神科においては大切です。距離感が詰まりすぎた時は、「指導者に確認してきます」「先生に確認してきます」などと対応しsましょう。関係を壊さず、うまく距離感をとることができます。
>適切かつ冷静にアセスメント
時には患者さまが興奮状態になる場合もありますが、どんな状況でも患者の状態を適切かつ冷静にアセスメントする事が重要です。精神科の患者は自分の症状を的確に伝えられない場合があるため、看護師が患者さまの状態をアセスメントし、異変があれば指導ナースに伝え適切に対応していく必要があります。ちょっとした「いつもと違う言動」や「あれ、何か変だな」と気付けるように、日ごろから患者さまとのコミュニケーションを心掛けるようにしましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?精神科ナースのやりがいやアセスメントのコツにつてご理解いただけたでしょうか。今現在精神科病棟で働いている方も、今後働くことを検討されている方も、ぜひ参考にして現場で実践してみてください。一人でも多くの患者さんやそのご家族の支えになるような医療を提供する、手助けになれば幸いです。
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