心臓の病気で何度か入院を経験された患者さんに関するお話しです。心臓の病気で入院するとまずは、当然のことながらその病気の治療が優先されます。入院してきたときの状態が落ち着き、病気の治療と並行して行われる極めて重要なことは退院に向けた生活指導です。その中でどのようなことに気を付けながらその患者さんをアセスメントし看護していくのかについて実体験をふまえて記載していきたいと思います。
心不全で入退院を繰り返す患者さんとのかかわりを通して考えさせられたこと
私は看護師に就いてから循環器疾患を患った患者さんの看護にかかわらせていただいています。
心臓というと病気になればすぐに命に直結してしまうような怖い印象があるのではないでしょうか。ここで取り上げさせていただく患者さんは心不全という病気を患った患者さんについての看護を考えてみたいと思います。
まず心不全がどんな病気かというと、心不全は病名ではなく、心筋梗塞や心臓弁膜症、心筋炎など様々な病気が原因となり引きおこされる状態のことをいいます。
心臓は全身に血液を送り出すポンプの役割を担っていますが、心不全の状態ではポンプ機能が正常に働かず、全身の血液の循環が滞ってしまいます。また、心不全は急性心不全と慢性心不全に分けられ、急性心不全の場合はなんらかの原因により短期悪寒で激しい呼吸困難などの症状が現れることから重症な場合には急に命を落としてしまう危険性が高い状態で、慢性心不全の場合は徐々に徐々に心臓の機能が低下してくるため、動機や息切れなどの症状が少しずつ現れる状態をいいます。
これらの病態には様々な原因があり、狭心症や心筋梗塞といった虚血性心疾患は、心臓の筋肉にうまく血液がいきわたらないため、結果として心臓のポンプ機能を低下させます。また、心臓の筋肉に異常がある心筋症や心臓の弁に異常がある弁膜症などもポンプ機能を低下させる原因です。
そのほか、常に高い圧力が心臓に負担をかける高血圧や血液がドロドロになる、血管がボロボロになることで血流が滞ってしまうことで負担をかける糖尿病、余分な水分や不必要な物質を体外に出せなくなることで心臓だけでなく、肺などにも影響を与えてしまう腎臓病などが心不全につながる病気として知られています。
症状としては急性心不全の場合、短期間のうちに激しい呼吸困難や胸の痛み、動機、せき込みなどが現れ顔や手足が蒼白したり寒気を感じる。重症であれば意識がもうろうとするなどの意識障害が出現することもあります。
一方、慢性心不全の場合は日常生活において軽度の息切れ、呼吸困難、せき込み、疲労感、足のむくみ体重の増加などがあります。治療しては入院して心不全の原因となった病気を治すよう治療に努めます。
虚血性心疾患と呼ばれるものが原因であれば、内科的にカテーテル検査をし、心臓を栄養する冠動脈とよばれる血管を治療する、弁の異常であれば外科的に手術を行い、胸を開いて直接弁を交換するなどの手術をするなど治療は様々です。また、その後は内服治療で心臓の働きをよくしたり、不整脈を抑える、心臓の血管を広げる、血圧を正常値まで下げ負担を軽くする。
また、体にたまった余分な水分を利尿剤というものを使用して体外に排出するなどお薬を調整することや、必要な場合にはペースメーカーを入れることでポンプの機能を助けるといった治療があります。これら医師が直接的に行う治療のほか、併せて大切になってくるのが運動や食事療法どいった日常生活習慣を改善するためのアプローチです。
つまり、予防が大切であるということです。具体的には塩分や脂肪分の多い食事は控えめにする、禁煙する、アルコールを控える、ひごろから体を動かす運動習慣をつけるといったことが大切となり、なにより患者さんご自身が病気を悪化させないようにしたいと思う気持ちがとても大切になってきます。そのためには当然、内服薬をしっかりとのみ、自己判断で薬の量を調整したりやめたりしないこと、定期的な受診を守ること、毎日決まった時間に血圧測定や体重測定をすることなど様々な予防が大切になってきます。教科書的にはこれらのことがたくさん書いてありますが、実際に患者さんたちとかかわってみるとそんな100点満点の患者さんだけではありません。
病気はよくなりたいけど、禁煙できない、運動できない、食生活を改善でいない。またはいまのところなんともないから定期的な受診もせず、具合が悪くなったら受診するといった方が大変多く見受けられます。
看護師を始めたばかりのころはこのような患者さんにどうやって指導していけばよいのか。正しいことを話しても煙たがられ、結局理解されないまま退院し、また具合が悪くなって入院してくる。この繰り返しで生活指導の必要性などわからなくなっていました。新人看護師として正しいことを正しく伝えること、これに患者さんが耳を傾けてくれないならもうお手上げだと半ばあきらめていました。
そんな葛藤を抱える中でも患者さんは減ることはありません。指導の回数も増えていきます。
看護師としてどうすればいいのだろう。試行錯誤をかさねながら何がいけないのか。もし自分が患者さんの立場だったらどうだろうか。考えてみました。むしろ患者さんに聞いてみたりもしました。
まず、一番驚いたことは、若い看護師さんは一生懸命なにか言ってくれるけど、教科書みたいなことばかりで患者さんのことをかんがえている気がしないといわれたことです。看護師としてアセスメント力の低さに呆然としました。
こんなに患者さんのことを考えていたのに、でも考えてみると患者さん全体にいえることはお伝えしていたかもしれないけど、その患者さんの生活背景を考え、個別的なアプローチができていたのだろうか。
そこで考えました。
そうだ、正しいことを正しく伝えることだけが看護ではないと。その人が何に困っていて何について知りたいのか、十人十色、個々の患者さんのことをアセスメントし、患者さんだけでなく、ご家族の協力体制も必要。情報収集がとても大事だと。あとはご本人がどこまで望んでいるのか。そしてどこまでならがんばれるのかさまざまなことを考え、患者さんと一緒に話し合いました。いままでがどれだけ看護師の一方通行で指導していたのか
。心が痛くなりました。今までの指導は完全に自己満足だったと。これらのことに気づいてから、患者さんに指導をするときにはまずはこれから医療者としてどうしても話さなければならないこと、そして患者さんにはどうしても改善してもらわなければいけないことを話し、そのあとに患者さんの生活背景をじっくりと聴取しました。どこまでできるのか、そのやり方をもう少し、こういったように変化させてみてはどうか、患者さんの生活に入り込んだ気持で、一緒に生活している家族になった気持で一人ひとりと接するように心がけました。
このように取り組んでみたところ患者さんは少しずつ私の話を聞いてくれるようになった気がします。データを集めてどの程度再発の期間を延ばせたのか、そんな大それた結果は出せませんが、少しでも患者さんの生活がよりよいものになっていくようにと相手を思ったアセスメントと看護が患者さんの心にも届いたかかわりだったのではないかと思い、今では前向きに生活指導に取り組めるようになっており、貴重なことを教えてくださった患者さん方にはとても感謝しています。
まとめ
医師や看護師が正しいことを正しいといったように当たり前のことを患者さんに押し付けても患者さんがその後の生活を改善することはあまりありません。ですのでどれだけ患者さん本人に合った個別的な情報提供などができるか、また、ご家族に合った介入ができるのかといったことが大変重要であると改めて学ぶことができました。
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