診療看護師という資格をご存じでしょうか。少なくとも、この文章を読んで下さっている皆さんは、診療看護師に関心を持っていることと思います。診療看護師は、アメリカなどではナースプラクティショナーと呼ばれている看護職に類似しており、医師と看護師の中間のような役割を担う看護師を指します。ここでは、診療看護師になりたいみなさんにお勧めする受験までの学習方法についてお知らせします。
★診療看護師になりたいあなたに知ってほしい、受験までの学習と進路選び★
診療看護師という資格をご存じでしょうか。少なくとも、この文章を読んで下さっている皆さんは、診療看護師に関心を持っていることと思います。診療看護師は、アメリカなどではナースプラクティショナーと呼ばれている看護職に類似しており、医師と看護師の中間のような役割を担う看護師を指します。ここでは、診療看護師になりたいみなさんにお勧めする受験までの学習方法についてお知らせします。
☆診療看護師とは
そもそも診療看護師とはどのような看護師を指すのでしょうか。イメージしやすく言うと、診療看護師とは医師と看護師の中間のような役割を果たす看護師です。診療看護師という資格を取得する方法は、厚生労働省より指定を受けた大学院を修了し、NP(ナースプラクティショナー)資格試験を合格することが必要となります。まだまだ日本では認知度の低い資格ではありますが、年々少しずつ教育機関が増え、採用を開始している病院も増えてきています。診療看護師は、一定レベルの医学を大学院で学ぶことで、これまでの看護での学びと統合し医学と看護学の双方の視点から患者さんを見ることのできる、cureとcareの視点と技術を兼ね備えた看護師です。欧米諸国などで類似した看護職としてナースプラクティショナーがありますが、日本の診療看護師と比較すると臨床での裁量権が大きく、役割が少し異なるため、海外のNPと区別するために必要であるため、日本の臨床看護師は時にJNP(Japanese nurse practitioner)と呼ぶことがあります。
☆診療看護師になる条件とは
診療看護師になるためには、最低条件として看護師としての5年以上の臨床経験が必要となります。大学院の進学が必須となりますが、学士を持っていない専門学校卒の方でも一定の条件を満たせば受験する方法があります。それぞれの大学院の募集要項に記載されているためぜひ調べてみてください。
☆診療看護師の大学院試験について
どの大学院でも、基本的に面接試験は必須となっています。その他の科目に関しては、大学院によってかなり違いがあるためそれぞれの募集要項を参照して下さい。大学院試験突破のための学習についても受験校によって大きく異なります。面接と小論文のみの大学院、面接と小論文と英語試験のある大学院、面接と小論文と専門科目試験のある大学院など様々です。
例えば、国際医療福祉大学の大学院であれば、専門科目試験・小論文試験・面接試験があります。専門科目試験はいわゆる医師国家試験の参考書であるQBの必修問題と同等の問題が出題されるため受験する方の大半は半年前頃から同参考書で学習をしています。問題はこれまでのところ選択式の問題が出題されているようです。選択肢自体が多く8つほどあるものや、そのうち2~3つの解答を選ばせる設問も多いようですので、念入りに準備することが必要です。カロリーの計算問題や、2~3問英語問題もあるため、QB必修を基盤として幅広く学習をする必要があります。
一方で、藤田医科大学大学院では、英語科目が単科試験で課せられており、全く英語ができないとその時点で不合格となってしまうため、英語学習も欠かせません。専門科目試験は筆記で、小論文では過去に一般的な統計情報を元にした記述問題(日本三大死因とその動向)などが出題されています。
試験内容は上述の通り大学院によって様々であるため、募集要項を参照の上、志望する大学院の情報収集をすることが重要です。ちなみに筆者は春から診療看護師の大学院に進学しますが、診療看護師の知り合いは全く居なかったため、オープンキャンパスの参加や事前面談での教員の方への質問、またSNSで診療看護師と明かしてアカウントを公開している方などに質問して、情報を集めていました。
☆診療看護師になりたいけど、受験資格を満たしていない(臨床経験5年未満)方がやっておいた方がよい学習について
まずは、看護師としての基礎を固めるための学習をしていただき、日々の臨床で疑問に思ったことを調べたり聞いたりすることで解決し、自分の言葉で後輩に教えられるくらいしっかり咀嚼して理解してください。受験のための学習としましては、上述の通り医師国試の必修試験のような試験を課す大学院を受験する場合はやはり医師国試のQBをやるのがよいでしょう。また、大学院修士課程であるため、TOEIC:600点ほど取得できる程度の英語学習は基礎的な学習としてどの大学院を受験する場合でも必要となるため学習しておくことをお勧めします。面接試験では、なぜ診療看護師になりたいのか・特定行為看護師ではなくなぜ診療看護師なのか・診療看護師になった後の働き方のビジョン・研究したい分野についてのテーマやその内容について、などが聞かれることが多いと思いますので、準備しておくとよいと思います。
☆診療看護師大学院の学費について
学費は大学院によって様々であり、高いところでは2年間で280万円ほどかかります。大学院によって教育給付制度などを導入していたり、給付型の奨学金制度を導入しているなど様々であり、安いところだと教育支援制度を利用することで80万円ほどで2年間通えます。大学院によってかなり差があるため、予め調べておくことをお勧めします。後述しますが、大学院に通いながら社会人を続けられるところと、全日制で基本的に学業のみに集中しほとんどバイトができないところなどといった違いもあります。金銭面はとても気になるところかと思いますので、受験前によく調べてみてくださいね。
☆大学院の授業や実習について
大学院の授業形態や実習についてですが、夜間の授業やオンライン授業を取り入れているところもあれば、全日制の授業を取り入れているところもあります。社会人を続けながら大学院に通い、出費を抑えながら学びをすぐに臨床でoutputできるような通い方が合うのか、それとも全日制の学校に通い、2年間集中して学習に取り組むのがよいのか、好みやそれぞれのプライベートの事情なども考慮の余地があると考えられます。また、2年次の実習施設に関しても大学院の附属病院で全て行うところもあれば社会人を続けながら一部自分の働く施設で実習をするなどといった制度を取り入れている大学院もあります。修士課程であるため通常であれば修士論文を書くために研究があるのですが、大学院によっては実習でのケースレポートを修士論文扱いとするところもあります。しっかり研究をしたい、アカデミックな活動もしたいという方はそういった部分に関しても募集要項を参照されることをお勧めします。
また、診療看護師はクリティカル領域とプライマリ領域の2つの領域があり、どちらに進むかは大学院受験前のうちから検討しておく必要があります。なぜなら、大学院によってどちらかの領域しか学べないところがあるからです。私個人としましては、長期的には地域医療に携わりたいと思っていますが、短期的にはクリティカル領域で知識と技術を身に着けていきたいと思っているため予めクリティカル領域とプライマリ領域両方の学びのできる大学院を選びました。
☆卒業後の働き方
診療看護師の募集はまだ多くはありませんが、少しずつ増えている状態です。基本的には卒後2年間は卒後研修を行っている病院に就職して各診療科のローテーションをすることが多いです。その後、自分の進みたい診療科に所属、あるいは在宅領域に進む、という形になるケースがスタンダードなようです。診療看護師の勤務手当は病院によって大きく異なり、数千円ほど~数万円と差が大きいため、卒業後の就職先も慎重に検討していきたいところですね。
まとめ
いかがでしたでしょうか。診療看護師になるための条件と、大学院によって様々な点が異なるという点がお分かりいただけましたか。一口に診療看護師と言ってもたくさんの大学院があり、入学試験の学習方法や修士での学習過程に大きな違いがあるため、たくさん悩むことと思います。私はこれから大学院1年生になりますが、ワークライフ、そして学業のバランスを考えた上での進路選択をいたしました。この文章がみなさんのキャリアアップを考える上での一助となりましたら幸いです。同じ看護師として、まだ新しいライセンスである診療看護師資格を取り、新しいポジションからチーム医療を支え、医療者としてより安全に患者さんを守れる人材になれるよう、ステップアップしていければ本望です。
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