大学病院で働くってハードルが高い感じがして、転職先として悩みますよね。私は、新卒から4年間大学病院で働いていました。実際の大学病院で働く看護師がどんな風に働いているか、よかったこと・大変だったことなど体験談を通してお伝えし、これから大学病院へ転職を考えている人の参考になればと思います。
大学病院の救命救急センターで働く看護師の仕事内容・よかったこと・大変だったことについて私の体験談をお伝えします。早速、詳しくみていきましょう。
ちなみに、大学病院で転職を考えてる人は、「大学病院ってなにするの?」って素朴な疑問を持たれる人もいらっしゃると思いますので、簡単に説明しますね。
大学病院は専門治療を主としています。なので、病院によって力を入れている分野の患者さんが多くいます。
1.仕事内容
救命センターでの仕事内容は主に2つです。
①重症患者の看護・管理
②救急対応(救急車・救急外来)
①重症患者の看護・管理
ICUが8床・HCUが6床。心臓血管外科に力を入れている病院だったので、心臓外科の術前後の患者や、心カテ後の患者もいました。
心外の術後の患者は、人工呼吸器、首にスワンガンツカテーテル・CV、手首にAライン、胸部・腹部に4つドレーン、シリンジポンプのタワーとたくさんの物がついて手術から帰ってきます。場合によっては、IABP・CHDFなど透析を回すこともあります。
なので、必然的に医療機器をたくさん使います。まず、医療機器の使い方や、アラームの意味などを知っておく必要があります。それから、たくさんの薬剤を使用します。昇圧剤・降圧剤・鎮静剤など命に直結するような薬剤ばかり使用するので、流量間違いは患者の死に直結するシビアなものです。あとは、ドレーンも入っているので、廃液量や性状をみたり、動脈血ガスのデータをみて異常があれば、医師に報告し指示を仰ぐ必要もあります。検査値など正常値・異常値を理解し、患者がどんな状態か把握しておく必要があります。なので、勉強していないと全く看護ができません。
勉強がすごく必要になってくると思います。
②救急対応(救急車・救急外来)
3次救急なので、救急車で運ばれる患者は心肺停止や薬物の過剰摂取者、交通外傷など様々です。夜間は救急外来があり、患者の受診依頼の問い合わせを対応もしていました。初療と呼ばれる救急車で運ばれた患者の初期対応をします。基本的には医師1名と看護師1名で対応していました。研修医がいる時は研修医が点滴ルートや血液ガス
採血をしてくれます。看護師の役割は、患者の状態観察と記録。検体の提出・検査の搬送でした。患者の病態の状況や検査はどこまでしたかなどを把握し、救命救急センターにいるリーダーに報告することも大切な役割です。救命救急センターに入院後速やかに治療を受けてもらうためにも事前準備が必要になるので、この報告は大切です。
CPA(心肺停止)や交通外傷、薬物過剰摂取、自殺など様々な患者が運ばれます。3次救急なので基本的に、ホントに重症な患者しか受けていませんでした。
後は、夜間は救急外来もしているので、患者の受診問い合わせの連絡と救急隊からの搬送依頼の電話対応。患者が来院したら、診察介助・点滴・採血・心電図など検査も1人でこなしていました。患者や救急隊電話で情報を聞いて、担当医を自分で選択して受け入れ依頼の電話をします。病態の理解と問診能力も必要になります。後は、救急外来でも基本的に一人なので、採血・点滴の技術、12誘導心電図も自分でとるので、検査技術も必要になります。コニュニケーション能力や調整能力も必要になります。医師や患者はもちろん、検査課・病棟など一人で対応するので、調整が大切になります。
2.よかったこと
救命救急センターで働けて良かったことは以下の4つです。
①命の重みを再確認できる
②勉強できる
③医療機器に強くなる
④急変など救急初期対応に強くなる
①命の重みを再確認できる
3次救急なので、緊急度が高い患者が日々救命センターにやってきます。私が印象的だった事例として、1年目の夜勤の時に、血圧が不安定でノルアドレナリンをシリンジポンプで持続投与している患者がいました。仮眠前に先輩と確認してノルアドレナリンのシリンジを交換してからリーダーに報告して休憩に行きました。受け持ち患者の記録が終わっていなかったので、私は休憩に行かずにナースステーションで記録を書いていました。しばらくするとモニターのアラーム音が頻回になり、リーダーが鬼の形相で私に詰め寄りました。「アンタ、患者殺すきか!!!」患者の血圧は一時的に50台まで下降していて、瞳孔反射も緩慢になっており、急変していました。幸いリーダーの的確な対応で患者は一命をとりとめ事なきを得ました。リーダーがノルアドレナリンのシリンジを確認した時にシリンジとルートの接続部から薬液が漏れていました。薬が適切に患者に投与されなかったので、血圧が一気に下がってしまったのです。薬でこんなに人の体の状態が変化してしまんだと気づき、人殺しになったようでとても恐ろしかったです。今では薬の取り扱いにはずいぶん慎重になりましたし、人の生き死に関わっているんだということを自覚できるきっかけになりました。でも、患者にはしんどい思いをさせて申し訳なかったと思います。
②勉強できる
勉強はとにかくできます。1年目は毎月「心筋梗塞」などお題があって、病態生理から治療経過・看護・観察項目まで調べます。勉強会後には、確認テストもあります。
患者の病態は刻々と変化しますし、医療機器や血ガスデータなどをよくみて医師に報告し、タイムリーな対応が求められます。勉強しないと患者のことを見れないし、先ほどのような失敗で患者を殺すかもしれないから、死ぬ気で勉強できますね。
③医療機器に強くなる
Aライン、透析の器械、IABP、スワンガンツカテーテルのモニター、呼吸器、ネーザルハイフローなどなど。患者の命をつなぐためにたくさんの医療機器を使用しています。機械類は苦手意識も強くなりやすいですが、ここでたくさん見てきたので、ちょっと慌てずに対応できますよ。
④急変など救急初期対応に強くなる
CPA(心肺停止)や心外の術後の急変など急変対応があります。私は、あまり急変に当たらない人だったので、いまだに緊張はしますが偉いもので体はある程度動いてくれますね。
3.大変だったこと
救命救急センターで働いてストレスだったことは以下の2つです。
①緊張感がすごい
②先輩が怖い
① 緊張感がすごい
救命センター自体が、患者の重症度が高いし自分の看護が命に直結することもいいので、多少の緊張感は必要かと思います。ただ、窓もなく朝か夜かもわからず、モニター音が鳴りまくってて、気を張っていなければいけない状態がずっと続くと、救命や急性期がよっぽど好きじゃないと続けられないです。私は、のんびりした性格でてきぱき動けないので、救命や急性期は本当に辛かったです。配属された1年目から何度も「転職」を考えました。
② 先輩が怖い
日々緊張感が高い場所で働いていると、気が強くて自分に自信がないと続けられません。長く救命にいる人は必然的に、気が強くて自分に絶対の自信があるスタッフばかりになります。失敗して「すいません」と先輩に言えば、「すいませんはいらない。なぜ失敗したか理由を聞いている」と質問攻めです。指示確認も質問攻め。患者の病態や観察ポイントを必死で調べて言ったあとに言われるのは「後は?」指示確認の終わりが分からず、地獄の時間でしたね。あと、仕事ができないと判断されると普通に無視されます。私はもちろん無視されてました。でも、分からないことを聞かなくて、失敗するとやっぱり怒られます。「分からないのに何で聞かない!」って。心の声は「あんたが怖すぎて聞けなかったに決まってるやん」と何度叫んだか分かりません。そうでなくても、誰かの悪口ばっかりで、信頼できる人は誰もいませんでした。転職してきた人も、そんな環境が耐えきれなくてすぐに辞めてしまいます。すべての救命救急センターがそんな極悪かと言われると違うでしょうが、ピリピリはある程度してるから、多少はこういうこともあると私は思います。
まとめ
いかがでしたでしょうか?今回は大学病院の救命救急センターでの仕事内容とよかったこと・大変だったことについて私の体験談をご紹介しました。
【仕事内容】
①重症患者の看護・管理
②救急対応(救急車・救急外来)
【よかったこと】
①命の重みを再確認できる
②勉強できる
③医療機器に強くなる
④急変など救急初期対応に強くなる
【大変だったこと】
③緊張感がすごい
④先輩が怖い
大学病院の救命救急センターで頑張りたい・転職を考えてる人の参考にしてみてくださいね。
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