精神疾患や認知症における看護のアセスメントポイントと事例紹介

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#1335 2021/01/25UP
精神疾患や認知症における看護のアセスメントポイントと事例紹介
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多くの看護師は、精神疾患や認知症を抱えている患者さんの看護に関わったことがあるでしょう。
しかし、関わり方に戸惑い悩んでしまう方も多いのではないでしょうか。
精神疾患や認知症における看護のアセスメントポイントを理解することは、患者さんとの信頼関係に繋がり、良好な治療の継続を保つことになります。
私自身が実際に関わった事例をもとに4つの看護のポイントを紹介します。

精神疾患や認知症患者における看護のアセスメントポイント

精神疾患や認知症の看護と聞くと一番始めに思い浮かぶのが精神科看護師ではないでしょうか。
しかし、精神症状の看護にあたるのは精神科看護師だけでなく、外科や内科様々な部署の看護師が関わっています。
私は以前、消化器外科の病棟で働いていました。
外科であるため手術目的で入院されている方が多く、年齢も30代~80代と幅広い年齢層の患者さんがいました。
高齢の患者さんの中には消化器の外科的疾患だけでなく内科的疾患や精神疾患、認知症など複数の疾患を抱えて入院されている方もいました。
患者さんの目的は消化器の治療ですが、看護師の患者さんに対するケアは担当する診療科のケアだけでなく精神疾患や認知症まで関わってきます。
外科病棟や介護施設で関わってきた事例をもとに、精神疾患や認知症患者における看護のアセスメントポイント4つを紹介します。

1患者と周囲の安全確保

患者さんのための安全確保は周囲でサポートする家族や看護師、医療スタッフの安全確保に繋がります。
また、周囲の安全を守ることは患者さんの安全を守ることに繋がります。
日本精神科看護協会の精神科看護ガイドラインには精神科医療の看護の基本で
“人が精神的危機に陥ったとき、まず提供されなければならないのは、脅かされず不安の少ない「安全、安心」な環境である。”
と述べています。
引用元URL:http://www.jpna.jp/sponsors/pdf/guideline-2011.pdf

そのため、患者さんの安全確保を第一に考えたなかで精神症状による自己や他者への危害が及ばないよう看護していく必要があります。
消化器外科で勤務していた際に、患者さんと周囲の安全確保について考えさせられる事例があったので紹介します。
?事例紹介
消化器外科で働いていた頃、手術目的で入院されたA氏がいました。
A氏は消化器疾患だけでなく精神疾患も抱えていました。
入院中、精神疾患により幻覚や妄想といった症状もありましたが、家族や医療スタッフとのコミュニケーションも良好であり、無事に消化器の手術を終えることもできました。
しかし、長期の入院生活により精神症状が悪化傾向にあり、部屋で立ったり座ったりソワソワし廊下を頻回に歩くなど落ち着きが見られなくなってきました。
本人や他の入院患者の安全確保のために個室管理・危険物を置かない・ラウンドは頻回・日中できるだけ家族にも付き添っていただくなどして対応していました。
しかし、精神症状はあるがADLは自立していたため、無断で外出をしてしまうといった出来事が起きてしまいました。

対応

無断で外出をしてしまった時間帯がスタッフの人数が少ない日勤帯から夜勤帯への交代時であったため、夜勤帯がラウンドを行っている早朝や就寝前に看護師一人をA氏の部屋へ配備することにしました。
その時間帯は看護師とA氏が1対1であったため、常にA氏に目が行き届くことができました。

結果

その後無断外泊することなく、A氏も周囲の安全も確保された中で退院することができました。
日勤帯はスタッフの人数も多いため、目が行き届きますが、夜勤帯や勤務交代時は目が届きにくくなってしまいます。
そのため日中とは違った安全確保の対応が必要だと考えさせられた事例でした。

2自由に過ごしてもらう

患者さんの安全確保をしたうえで、その人らしく自由に過ごしてもらうよう対応していました。
日本精神科看護協会の精神科看護ガイドラインより引用
“自立性を回復し、セルフケア能力を充実させることは、「その人らしい生活」を獲得するプロセスともいえる。”
引用元URL:http://www.jpna.jp/sponsors/pdf/guideline-2011.pdf

患者さんの中には自分の行動を制限・抑制されることでかえって精神症状や不穏状態が悪化してしまう方もいます。
身の回りに本人や周囲を傷つける物を置かない、目の届く範囲で自由に過ごしてもらうことで、認知症の利用者さんの生き生きと生活する姿を見ることができたので、介護施設での
事例を紹介します。

事例紹介

私が勤務していた介護施設は要介護1~3の方が多く入所されていました。
そのため、歩行はできるが認知症により衣服の着脱や身だしなみの介助が必要な方・認知症によりスムーズな会話ができない・食事介助が必要な方・意思疎通は可能だが体力低下により車いすが必要な方などが入所していました。
その中の一人にB氏という認知症の利用者さんがいました。
幻覚症状や同じ事を何度も来り返し説明したり、自分の部屋の洋服ダンスの中身をひっくり返したり、常に落ち着きなく施設内を頻回に歩き回っている方でした。
自分が何かに集中している時に、その行動を制限や抑制されるような出来事があると声を荒げてしまう一面がありました。

対応

B氏の室内に危険となる物を置かない・転倒予防のため歩行するルートの環境整備・入ってもらいたくない部屋には鍵をかける・緊急性がない場合納得いくまで自分の行動をしてもらってから声掛け誘導するなどの対応をしました。
B氏の行動を抑制するのではなく、思いや行動を尊重することで穏やかに過ごしてもらうよう心掛けました。

結果

スタッフへ声を荒げることも少なくなり、笑顔も見られるようになりました。
また自らタオルを畳み、花に水をあげるなど自分の役割を見つけ、介護スタッフの仕事を手伝う場面もありました。

3病態に立ち返る

一番苦しくて辛いのは精神疾患や認知症を抱えている患者さんや利用者さん自身であるが、その方を身近で支えている家族の身体的・精神的負担もとても大きいものです。
そして、入院中に精神症状のある方のケアにあたる看護師の負担も大きいものがあるでしょう。
仕事とはいえ、患者さんや利用者さんの症状の一つである幻覚や幻聴による発言や行動により心を痛めたり、感情的になってしまう方もいるのではないでしょうか。
そのような中で私が気を付けていた事は、病態や生理学など、精神症状をもたらす根本的な原因に目を向けるよう心掛けていました。
アセスメントが症状だけにいってしまうと看護師自身も感情的な発言や行動に流されてしまいます。
病態や生理学に立返ることは落ち着いてケアを提供することができ、患者さんの安全を守ることにも繋がってきます。
そのため、患者さんとの関わりに悩んだ時は病態や生理学といった基本に立ち返ることで
感情的になってしまった思いを落ち着かせてから再度向き合うようにしていました。

4傾聴

看護の基本ともいえる傾聴を心掛けていました。
普段のプライベートの生活であったり、同僚との会話では自分の思いや考え方を伝えたり意見の交換をしますが、やはり患者さんとの会話では傾聴するよう心掛けていました。
患者さんの多くは不安を抱えて入院されているので、患者さんの不安な思いを聴くだけで気持ちが落ち着いたり・前向きな気持ちになる方もいました。
傾聴することは患者さんと看護師など医療スタッフとの信頼関係にも繋がり、治療にも影響してきます。費用を比較してみましょう。

まとめ

・私の考える精神疾患や認知症患者における看護のアセスメントポイントは4つあります。
・1患者と周囲の安全確保
・2自由に過ごしてもらう
・3病態に立ち返る
・4傾聴
・精神症状を抱えている方への看護ケアは精神的にも根気や忍耐が必要であり、患者さん自身だけでなく、周囲の方への安全管理にも努める必要があります。
・精神疾患や認知症のケアをする看護師にとって一つの参考にしていただければ幸いです。

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