看護師として転職する理由の一つに不妊をあげる人は少なくありません。しかし不妊治療することを前提に転職は可能でしょうか。ここでは実例を交えて転職のポイントをご紹介します。
看護師として働いている間に、恋愛をえて結婚という大きなライフイベントを迎える人は多いでしょう。そして結婚の次には、妊娠、そして出産というライフイベントが控えているから、看護師としてどのように両立したらいいのかと想像を膨らませている人もいるかもしれません。
しかし時にはなかなか妊娠することが出来ず、不妊と診断をされる人もいます。何とかして子どもを授かるために、不妊治療に取り組む看護師も少なくありません。しかし夜勤をしたり残業が多い仕事なので、規則的な生活を送ることが難しく、自分の体調をなかなか整えることが出来ない、また不妊治療のために定期的に通院することすら難しいという状況にいる人も多いです。
そんな時に頭をよぎることが転職なのです。特に現在働いている病院は夜勤のシフトがあるし、日勤でも看護師一人の負担が多く残業が続くというときには、もう少し体力的な面で楽なところがいいなと自然と考えるようになるのです。転職を考えることは決して悪いことではありません。むしろ、今の環境よりももっと良いところを探して働くというのは、体力的にも精神的にも良いのです。
ただ一つ不安なことがあげられます。それが不妊治療をするということは、治療が上手くいけば妊娠をするということ。それがわかっていながら転職することは可能かということなのです。転職求人を出しているところは、基本的に看護師のマンパワー、即戦力を期待しています。それなのに不妊治療をして妊娠、そして産休の取得することなどは本当に可能なのでしょうか。
・女性が多い職場、だからこそ理解が得られることも多い
病院やクリニックによっては、まだまだ女性が多い職場が多いです。そのため妊娠可能な年代の女性看護師がいれば、当然妊娠して産休を取るということを予測している職場も多いです。またそのために育児の支援制度を整えているところもあるのです。
実際の事例にはこんなところがありました。不妊治療のために体力的なことを考慮して夜勤がない職場を探していた友人。しかも通院のために土日は勤務してもいいから、平日にも休みを取りやすいところがいいと希望していました。また不妊治療にはお金がかかるので、比較的お給料が良いところで、できればスキルアップもできるところというのを望んでいました。
始めはなかなかそのような求人が見つからなかったのですが、妥協せずに探しているとよい求人案件を見つけ転職を果たしました。それは地元でも有数の総合病院。在籍している看護師が産休と育休を取得するというので、その間のマンパワーということで1年半という期間限定の看護師の求人が出ていたのです。休みに入る看護師はもともと日勤だけをしていたので、求人も日勤のみ。そして総合病院だったので、もちろん給料は保証されていました。
また土曜日出勤をすることで平日休みを取ることも可能になったのです。さらにいつ妊娠するかわからないけれど、最低1年間働いてくれたらいいということだった条件だったので、彼女は転職して4カ月は不妊治療を避け、妊娠の可能性をなくしました。そのあと、本格的に不妊治療に突入しました。そしてそれから6カ月後、彼女は無事に妊娠をし、ちょうど契約期間が切れることでその職場から離れたのです。
この事例は本当にタイミングと職場の理解もあったため成功した例ですが、それでも妥協せずに探せば、このように不妊治療と並行しながら転職活動もし、働き続けることが出来ることがわかったのです。
・美容クリニックは不妊治療しながらでも転職しやすい?
もう一つの事例を紹介しましょう。
友人は、外科系のクリニックで勤務していました。結婚して3年が経過しましたが妊娠する気配がありません。そこで検査してみると不妊ということがわかりました。そしてそれは彼女の身体的な理由だったのですね。しかし産婦人科病院では生活改善や体質改善をすることにより妊娠の可能性を高めることはできるし、本格的な不妊治療をすれば子どもを持つことも夢ではないと診断を受けたのです。
彼女はその言葉を聞いて、本格的に不妊治療に取り組むことにしました。しかし一つ問題だったのは、現在の職場では夜勤があるということ、治療をする病院が少し遠かったという理由です。そのため彼女は転職をすることを決意しました。
転職の条件として出したのは、日勤勤務だけで職場と不妊治療をする病院が近いということ。その条件で探して、いろいろなクリニックの面接を受けてみましたが、なかなか採用されませんでした。その理由は、不妊治療をしながら働いて、もしもすぐに妊娠したらどうするの?という質問に答えられなかったからです。もちろん彼女はすぐにやめるつもりはありませんでした。妊娠しても仕事は継続したいという気持ちは持っていました。しかしながら、不妊治療をしながら無事妊娠した場合、その妊娠が出産まで継続できるかどうかは誰にもわかりません。もしかすると切迫流早産などで休暇をとる必要があるかもしれません。また悪阻などがひどくてやめたいと考えることもあるかもしれません。それを考えると、彼女は答えを出すことが出来なかったのです。
このように2~3か月転職求人を探し、条件があるところは面接を受けていたのですが、美容クリニックだけは反応が違ったといいます。そして見事転職を果たしたのです。
美容クリニックが他の外科や内科のクリニックと異なっていたことは、比較的マンパワーが充実しているところが多かったということです。美容クリニックは自費診療で行っているところも多く、看護師の給料も優遇されていることが多いです。そのため看護師の転職求人の中でも人気です。一人看護師が退職しても、すぐに次の採用が決まるというほど人材探しが困難ではないので、不妊治療をしながらでも勤務することは可能だし、もしも妊娠して退職を考えても、次の採用が出来るから大丈夫ですよといったスタンスだったといいます。
また美容クリニックというのは、勤務中に採血や処置などにかかわるというよりは、手術中の医師の補助をしたり、患者のカウンセリングや個別相談にのるということが多く、座ってできる仕事も多かったといいます。そのため、一日勤務しても体力的に疲弊することはなかったのです。また不妊治療をする病院への利便性もよかったので、働きやすい職場だとすぐに転職を決めました。そして彼女は本格的に治療を始めることが出来ました。
上記の二つの転職の事例を紹介しましたが、どちらも運が良かった事例だともいえます。しかし根気よく探せば、きっと自分の希望する転職求人を見つけることが出来るのではないでしょうか。看護師の仕事を継続したい、でも不妊治療をしながら働くことを受け入れてくれるところはそれほど多くはなく、少し妥協をする部分もあるかもしれません。
しかし夜勤だけは避ける、通勤や通院は利便性の良いところがいいなど譲れないポイントだけは絞って、転職活動をする必要はあります。妥協をする部分というのは、給料面や欠勤などの休日の面になりますが、それも採用側とよく話し合って納得できる条件になるように歩み寄ることが必要です。
女性として不妊治療をしながら転職活動をすることは不安も多いでしょう。しかしそれに理解を示してくれる病院やクリニックもあるのです。そのような不安は隠さず相談し、しっかりと理解してもらった上で転職を決めることも重要でしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。不妊治療をしながら転職活動をする難しさが理解できたでしょうか。しかし病院側がしっかり理解して採用してくれるところもあるのです。大切なことは、譲れない条件だけは決めて、あとはよく相談することです。ぜひ病院選びの際には参考にしてみてください。
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