病院では入院されている高齢の患者様が認知症や治療による臥床期間の長さもあり、2次的に転倒転落が原因で骨折に至ったケースも耳にしたことがあるのではないでしょうか。
介護施設では認知症の方が徘徊するケースでの事故もあるため、高齢者における歩行障害のアセスメントは必要となってきます。
その歩行障害のアセスメントと対応方法についてお伝えしていきます。
現在超高齢化社会において、現在勤務している病院や施設でも80~100歳を越える方々の看護をされる機会が多いのではないでしょうか。
高齢者の方々は筋力の低下もあり、また認知症の発症にて徘徊を行うことで転倒や転落の原因となり骨折入院の流れができてしまいます。
そして長期臥床になってしまった場合寝たきりとなるリスクが高いです。
そのような高齢者の方々を私自身も多く看護した覚えがあり、転倒や転落が起こる前に看護師が異常の早期発見できるアセスメントが必要だと思います。
それではまず高齢者の歩行障害の特徴をあげていきます。
1、加齢や加齢による中枢性、抹消性の疾患による全般的な機能低下
2、歩行障害に伴う症状では視力低下や難聴、発熱と痛み、腫れを伴う感染症状や意識レベル低下
などがあげられます。
それの原因として
1、サルコペニア(筋力低下)
2、柔軟性の低下
3、バランス筋力の低下
4、敏しょう性の低下
5、アルツハイマーやレビー小体型などの認知症による認知機能の低下
6、白内障、緑内障、難聴による感覚機能の低下
などがあげられます。
原因のなるものが脳の萎縮によるものや、身体全体の機能が衰えていくことで発症するものだと理解できます。
歩行障害が起こることでの第一報は患者ご自身や家族やその介護者からが主になります。
そのとき看護師が行うアセスメントは、
1、会話ができるか
2、どこかに痛みや腫れ、熱感はあるか
3、本人に何か思い当たることがあるか
4、発熱があるか
5、何か服薬がしたあとであるか
(眠剤、向精神薬、降圧剤、抗けいれん薬)
6、血圧が正常化か
7、めまいやふらつきの有無
8、食事や睡眠は摂取できているか
などが考えられます。
もし会話ができないならば発熱や脳障害、内服薬の副作用など疑います。
足に異常があれば、ほうか織炎や、閉塞性動脈硬化症、深部静脈血栓症、骨転移の溶骨性変化などを考えます。
本人が思い当たることがあると言えば転倒だったりします。
その後に起こる筋肉痛や関節痛や打撲によるものなどです。
また実際に骨折(大腿部)してしまうアクシデントも多い事象のひとつです。
38度以上の発熱ではほうか織炎や急性心不全、呼吸不全などを疑います。
内服薬によるものでは副作用を考えます。
めまいなどではメニエールや中枢性の脳障害、抗けいれん薬の血中濃度が高いなどが考えられます。
食事や飲水量は高齢者では低調性脱水や、熱中症などの高調性脱水など考えられこれらのアセスメントが必要となってきます。
解決策としては発熱があればクーリングや解熱剤の使用の考慮、呼吸が不安定であれば気道の確保が必要です。
疼痛があれば安楽な体位を考慮します。
血圧が低下していれば病院であればdrへ報告し、それに応じた処置、在宅であれば布団や座布団など使用し下肢の挙上を図ります。
明らかな脱水であれば病院ではすぐに点滴の対応ができますが、在宅で飲水が可能な意識状態であれば経口補水液やスポーツ飲料で脱水の補正に努めます。
観察での注意点は
1、いつからどのような症状があったか。どのくらい持続しているか。
2、臥床した状態で、自分の意思で四肢を動かすことができるか。
3、転倒したとき患者本人が説明できる打撲についてのエピソードはあるか。
などです。
例えば運動麻痺や感覚の障害があれば、脳血管障害を疑います。
息切れや、下肢や体幹の浮腫の出現は心不全や呼吸不全を疑います。
疼痛や皮膚の血色不良や冷感、抹消にある動脈がふれないなど急性動脈閉塞や、下肢静脈血栓を疑います。
患部の腫れや発赤、熱感、疼痛により下肢を動かすことができないなどの症状があれば、骨折を疑います。
(腰椎、骨盤や下肢の骨折など)
感染兆候があればほうか織炎を疑います。
関節が腫れたり、疼痛を伴っていれば急性関節炎や関節症を考えます。
めまいやふらつき、耳なりであれば、小脳失調や耳性めまいを疑います。
実際のケースでは小脳梗塞後に転倒して寝たきりになってしまったという事例もありました。
もし慢性的に症状として出現する場合もアセスメントを行います。
疼痛やしびれであるなら脊髄の障害を疑います。
前傾姿勢であったり、小刻み歩行、転倒しやすいなどであればパーキソニズムであると考えます。
間欠跛行や歩行中の疼痛や、しびれの出現、前頭葉性歩行であれば正常水頭症によるものだと考えます。
ヒステリーでは心因性のものと考えたり、その他であれば廃用性症候群によるものと考えます。
これらの対応としては脳の障害であるとアセスメントできればすぐに意識レベルや呼吸、バイタルサインの観察を行いすぐに主治医へ報告し、救急対応や、関連機関への搬送を行います。
心不全や呼吸不全の症状であれば、バイタルサインを測定しセミファーラー位の体勢を取ります。その後主治医へ報告し治療を行います。
骨折や皮膚病変が見つかれば主治医の指示にて外科治療が行われる調性を行います。
脳腫瘍が原因であれば主治医指示にて原因検索後は放射線治療の検討やステロイド内服薬の指示を確認します。
ほうか織炎での治療では抗菌薬や点滴治療をされます。急激な症状では早期の治療が必要となります。
関節痛などの症状では、整形外科の受診を検討と湿布薬での疼痛緩和を図ります。
小脳失調やめまいでは、原因の検索や適切な保護具にて転倒による事故を防ぐ必要があります。
もともと脊髄障害がある患者様では転倒予防に注意し、適切にコルセットの着用を行う必要があります。
また環境調整や内服ができているか、多職種で連携しながらリハビリテーションを行っていきます。
歩行障害が起こる原因を多方面から観察し考え、原因をアセスメントしていきます。
パーキンソン病がある患者様ではパーキンソンニズムにて転倒しやすい状態にあるため転倒の予防に常時努める必要があります。
抹消神経障害や腰部脊柱間狭窄症、抹消動脈疾患などに対しては適度な保温や適切なコルセットの調整が必要となってきます。
正常圧水頭症であれば定期的にかかりつけの病院での検査を行い、状態によっては外科的に治療が必要となってきます。
実際では正常圧水頭症の患者様が脳外科から、リハビリテーション病院までのリハビリが終了した後、レベルが下がり再度脳外科へ入院したケースも私自身経験しました。
前日は意思の疎通はできていたのに、翌日には食事を全然摂取できないなど変化は著名ででした。
ヒステリーを起こすなどの心因性によるものでは、日頃の生活などで精神面をアセスメントし、日常生活に支障がでたり、徘徊など転倒リスクが高い状態であれば、精神科へのコンサルタントも視野にいれる必要があります。
寝たきりになっていく廃用性症候群では、
認知機能への働きかけや、
運動制御の不足とその障害の程度、
関節可動域の制限、
知覚障害や関節の変形、大脳辺縁系や情緒障害などの観察を行っていきます。
これらの観察点をアセスメントした上で病院のみならず、在宅看護でも注意し観察を行っていく必要があります。
まとめ
いかがだったでしょうか。
高齢者の転倒は医療従事者であれば未然にふさげたかもしれないと、悔しい思いをした経験もあると思います。
歩行障害でも高齢者の場合は様々な疾患が隠されたり、発症する可能性があり、体のみならず、精神面での観察やアセスメントが必要なってきます。
この内容から今後高齢者のケアや看護に携わるさいの参考になれば幸いです。
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