アセスメントの必要性と実施する上でのコツ

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#1277 2020/11/30UP
アセスメントの必要性と実施する上でのコツ
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学生時代からアセスメントについての学習や実施を行いますが、何故アセスメントが重要視されているのかを具体的な事例も交えながら説明していきます。
また、アセスメントに苦手意識がある方や上手く出来ないという方に、アセスメントをする上でのコツを私の経験を踏まえてお話させて頂きます。

看護を行う上で必ず必要になるのがアセスメントです。何故アセスメントが必要なのかかというと、看護は患者さん一人一人に合わせて行わなければ意味がないからです。
 アセスメントをするにあたり重要となるのが情報収集です。患者さんの病状は勿論ですが、患者さんの生活背景や性格を知る事がアセスメントに必要になります。何故生活背景や性格まで?という方もいると思いますので、事例も交えながら説明していきます。

  生活背景を情報収集する必要性ですが、一度病気になると完治となる方はとても少なく、継続して服薬をしたり、食事や運動療法等を実施していかなければならない方が多くいらっしゃいます。病院や施設と違い、自宅では看護師や介護士の方が居ない時間を過ごしていく患者さんがほとんどだと思います。
 例えば、2型糖尿病で食事療法が必要な方で、食事を3食コンビニや外食で済ませていた方に、明日からは3食バランスよく自炊してね、と言っても難しいと思います。自炊出来る方なら良いですが、全く自炊した事が無い方や仕事復帰する為時間が無い方もいらっしゃいます。そうすると、上手く治療が継続出来ずに悪化や再発、又は別の病気に罹ってしまうという事があります。このような事例を無くすためにも、患者さんの生活に合わせた継続治療を考え、実際に患者さんが実施出来るようサポートする必要があります。
 また、中にはずっと病院等の施設で過ごす方もいらっしゃいます。だからと言って、此方の都合ばかり押し付けてしまうと、生活していくのにストレスを感じてしまったり、人として尊重されないと、自分は意味の無い存在だと抑うつな気持ちになってしまいます。病気になったと言うだけで患者さんは少なからずストレスを感じています。病気によって麻痺が残るなど今までと全く違う動きをしなくてはならない人もいます。その中で少しでもストレスが少なく、自分自身を尊重できるようにする為には、患者さんが大事にしてきた思いを知る必要があります。
そうして今までの生活に少しでも近付けられるよう工夫する事で患者さんのQOLが高まっていきます。

 次に、患者さんの状態や性格についてお話させて頂きます。何故性格まで?と思う方もいらっしゃると思います。私も最初は病状と生活背景の情報収集で手一杯で、患者さんの性格までは考えられていませんでした。
 私が一年目の半年を過ぎた頃のお話です。担当していた脳梗塞の患者さんで、とても丁寧で穏やかな方がいました。その方の症状は左手の痺れで、入院中の日常生活動作をする上では特に問題点は見受けられませんでした。ナースコールも無く、内服薬も自分で内服し、薬包を手渡しして内服確認を行っていた方でした。私はケアは無く、治療も服薬だけという事であまりその患者さんの元へは訪れず、ケアの多い人や重症の人ばかりを看てしまっていました。そんな時、業務に余裕があり昼食後薬を渡しながら患者さんとお話させて頂く時間がありました。患者さんはその場で内服はせず、少し話しているうちに他の患者さんからナースコールが鳴ったので、後で薬包を取りに来ますねと声をかけ退出しました。5分程で患者さんの元へ戻ったのですが、患者さんは薬を薬包から出すのにとても苦労している様子でした。以前から、痺れにより細かい作業に苦労していた事や、医師や看護師等にはこんな事くらいで迷惑かけられない、と遠慮してしまい言えなかったという事が分かりました。すぐに先輩看護師や医師、薬剤師に相談して患者さんが開けやすいように薬包の調整をしました。また、食器も持ちづらいという事がわかり、食器も変えました。患者さんからは「もっと早く言えば良かった。迷惑かけてしまったけれどとても過ごしやすくなりました。」と言われ、その時に患者さんの性格も考慮して関わる大切さを学びました。
 このように、医療従事者に遠慮してしまい、症状を上手く伝えられない方も多くいらっしゃいます。また、この方とは反対に症状等を過大に伝えてしまう方もいらっしゃいます。患者さんは医学知識が全くない方もいらっしゃいますし、人によって我慢できる痛みや苦痛の範囲も違います。この患者さんはどういう人なんだろう、というのを考えた上で看護を行うと、今までとは違う視点も見えて来るのではないでしょうか。遠慮してしまう人だと分かっていれば、顔色やちょっとした動作の違い等注意深く観察しようとしたりすると思います。何も無いって言っているけれど、生活しづらそうだなと気付ける事が大事だと思います。

 これらを踏まえた上でのアセスメントのコツですが、一番は沢山情報を集める事です。一般的な平均値と比べるだけではなく、この人は元々どうだったかという事が分かればアセスメントしやすくなります。例えば、元から収縮期血圧が70台の方がいたとして、今回測ったら130だった、という事があると思います。平均値でしたら収縮期血圧が130というのは問題ない範囲ですが、普段の70という値からは大きく逸脱しています。そうすると患者さんの身に何かが起きているというのではないかという事が考えられます。では、血圧が上がる時はどのような状態が考えられるか、それをもっと明確にする為に他に何を看る必要があるのかと繋がっていきます。そして全てを観察し、それらをまとめて考察し結果にたどり着く、この過程がアセスメントになります。情報が少ないと、予想が多くなり間違ったアセスメントになってしまったり、そもそもアセスメントが出来ないという状態になってしまいます。
 勿論その場でわからないことや判断に困ることがあると思います。その時はすぐに調べたり、先輩や医師に一緒に看てもらう事や、時には患者さんやご家族に普段と違う所はないかと聞く事も必要です。看護は看護師だけでやるものではありません。また、看護師よりも身近にいるご家族、何より患者さん本人が一番自分の状態を理解しています。人と人との関わりですので、患者さんによってはこの人には話せるけど、この人には話せないという事もあります。チーム医療の中には、医師や看護師や薬剤師等医療従事者だけでなく、患者さん本人やご家族も入ります。チーム全体と関わり、情報を集め、集めた情報を整理して患者さんに必要な事を導き出すとアセスメントはやりやすくなります。そして、そうしてたどり着く結果は根拠が多いものになる為、看護計画も患者さんの個別に合わせた物が出来上がります。
 しかし、一度に全てを知ろうとすると大変ですし、情報を取られる患者さんにも負担がかかります。ですので、見てわかる情報と聞かなければならない情報と分け、その中でも今すぐに知っておかないと患者さんの安全に関わることは何かを考えて情報を取ると患者さんにも、自分にも負担が少なくなります。
 また、患者さんの病状はその都度変わっていきます。新たに分かった情報をどんどん追加していき、以前とどう変化したかを比べる事で分かることも増えていきます。その為に毎日患者さんの状態確認を行っている訳です。全ての行為には意味があり、繋がっていますのでどれか一つが抜けていたり足りないと看護は成り立ちません。アセスメントも大事な看護の一つですので、是非沢山考えてアセスメントを実施していってください。
 私の経験はほんの一部ですし、足りない所もあるかと思います。看護は十人十色です。人と違うからと言って自分が間違っている訳ではないと思います。しかし、何故そう考えたのかという理由を人に説明する為にもアセスメントは必要なのだと思います。少しでも皆さんの看護の参考にして頂ければ幸いです。

まとめ

看護を行う上で、アセスメントは患者さんの個別性を考え必要な看護を考えるものになります。そして、アセスメントを行う上で重要なのは情報収集です。情報が少なければ、アセスメントが出来なかったり、間違ったアセスメントになってしまいます。情報収集は一人でやるものではありません。医師や薬剤師やリハビリ療法士等にしか気付かない点もあります。患者さんの性格によっては、症状を言えなかったという事もあります。医療従事者全体で情報共有をすると、見えて来なかった部分も見えてくるようになります。情報を踏まえた上で考察した結果が根拠あるアセスメントになると思いますので、是非沢山情報収集してみてください。

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