呼吸療法認定看護師になるためにはどのようにすれば良い?

会員登録 ログイン
メニュー
#1259 2020/11/12UP
呼吸療法認定看護師になるためにはどのようにすれば良い?
更新情報を受け取る mail このエントリーをはてなブックマークに追加
mail

呼吸療法のスペシャリストとして認められている呼吸療法認定看護師をご存知でしょうか?
救急部、集中治療部、呼吸器病エリアで広く活躍している看護師の多くがこの資格を持っています。今回はこの資格を取るためにはどのようにすればいいのかお知らせしたいと思います。

呼吸療法認定士になるためには?

3学会合同呼吸療法認定士(以下呼吸認定士)という資格をご存知でしょうか?
3学会合同呼吸療法認定士認定委員会が創った「3学会合同呼吸療法認定士」認定制度は、医師、臨床工学技士、看護師、准看護師、理学療法士、作業療法士の中で、それぞれの職種において呼吸療法を習熟し、呼吸管理を行う医療チームの構成要員を養成し、そのレベルの向上を図ることなどを目的としています。
この3学会とは、そもそも日本胸部外科学会、日本呼吸器学会、日本麻酔科学会のことを指しております。医療業界では誰でも一度は耳にしたことのあるような、日本の医療においてなくてはならない重要な学会です。

具体的にはどのような資格ですか?

近年、患者の高齢化が進むと共に、めざましい医学の進歩は高度医療の適応をますます広げており、その結果として重症患者管理の必要性が高まっています。このため、重症患者管理の大きな柱のひとつである呼吸療法の重要性も高まりつつあります。吸入療法、酸素療法、呼吸理学療法及び人工呼吸などの呼吸療法は、今や日常の重要な治療手段のひとつとしてさらなる普及が望まれています。
しかし、このような背景があるにもかかわらず、各医療施設の共通の悩みとして、これら呼吸療法の現場に精通した医療スタッフの不足があげられ、このことが呼吸療法普及の大きな障害となっていると思います。さらに言えば毎日忙しい業務の中で、長期間の講習会や実習に参加することはなかなか難しいです。そして、看護技術にしかり呼吸療法は一生の勉強であり、むしろ認定士になることで呼吸療法に関心をもち、理解を深め引き続き長く勉強することが必要であり、そのための一歩として資格取得があります。
かくゆう私も、救急部を経験した看護師5年目の時に、呼吸器病センターに配属となりました。人工呼吸器管理などの知識や管理方法はわかっていても、自己流の知識であること、日々更新される技術、情報についていくのに必死でした。呼吸療法チームにおける一員としてその能力を発揮するためには、呼吸療法の目的、理論、治療の実際などについて高度な専門知識が必要と考えた結果、この資格取得に向けて動き出しました。また看護師長や呼吸器内科医の先生方が特に資格取得に対して応援してくれている病棟の雰囲気が良かったことも一因でした。

呼吸認定士になるためには、具体的にどのような方法を進めばよいのでしょうか?

少し複雑ですので順に説明します。まず、資格取得のために2日間の講習会に参加するのですが、その講習会に出るための条件があります。まず、看護師実務経験2年以上、准看護師は経験3年以上必要です。そして、認定委員会が認めた講習会に参加し、必要点数12.5点(ポイントみたいなものです)を持つことが絶対条件です。講習会に出るために、事前に講習会に出る、という難しい状況になってきましたが、ここからが本番です。毎年東京で行われていた2日間の大規模な講習会という名の勉強合宿に参加します。朝9時から夕方16時まで、生理学から小児呼吸療法までその道のプロフェッショナルな医師が直接講義をしてくださるので、それらを目の前で受講できます。もちろん試験専用の分厚いテキストが事前に渡されるので、参考にして勉強します。私は、一人で勉強するのが苦手なタイプでしたので、同期を誘い呼吸器内科医の先生に勉強会を開いて頂いて、わからないところを教えてもらいながら勉強していきました。総合病院や大学病院の救急部、ICU、呼吸器病センターなどの医師、看護師、臨床工学技師らは呼吸管理チームというグループを作り、患者さんの全身呼吸管理をすることで診療報酬を加算することが出来るようになったため、積極的に看護師の資格取得を応援してくれました。酸塩基平衡理論など看護師の国家試験ではなかなか出てこないような珍しい問題も多くあるため、理論をきちんと入れてから、解き方を身につける必要性がありました。
また、病院の部署によっては聞いたこともない、使用したこともない、そのような機材に関する勉強もあるかも知れません。このような時は、医療職種の垣根を超えて、臨床工学技士の方にお願いをして勉強させてもらいました。テキストや教科書でわからないことは現場で学ぶのが一番早く効率的でした。やはり経験を通して学ぶのが確実に身になると思いました。そしてこのように1年かけて準備と知識をため込んだところで、年に1度東京で実施されている試験を受けます。私の試験の時は、早稲田大学の講堂が受験会場だったのですが、すべての受験生が1度に集う形になるのでその人数の多さに一瞬圧倒されそうになりました。しかし、テストそのものは過去問やテキストから忠実に出されている形ですので慌てることなく取り組めば、合格への道はそう遠くないと思いました。実際の合格率は毎年変化するのですが、平均で6割-7割とされています。

資格取得後はどう変わる?

こうして晴れて合格すれば、無事に呼吸認定療法士の資格を手にすることができるのです。この資格を持てば看護師としてどうなるのか?まず私の一番大きな変化としては、看護師として大きなスキルアップにつながり、自分の強みを持てたことです。患者さんに対して正しい知識のもとに看護援助の実践ができますし、当時私は新人教育へも関わっていたのですが、後輩への指導も自信を持って出来るようになりました。さらに嬉しいことに同僚や後輩も私に続いて積極的に呼吸認定療法士の資格を取得するようになりました。そして、最後になりますが専門的な資格取得をしたことで、毎月の基本給与が向上しました。すべての病院で給与アップにつながるかは断言できませんが、努力を認めてくれる職場であれば、モチベーションも高まります。また、呼吸器病棟、呼吸器外来、ICUなどで呼吸管理を行う看護師であれば、医師や臨床工学技士らで呼吸管理チームを作ることで、診療報酬の加算にも貢献することができます。個人の技術向上には有益であり、取得後もさらに積極的に看護業務に関われると思います。さまざまな医療資格者が受験することができる呼吸療法認定士ですが、看護師の有資格率が最も高く53.2%で次いで理学療法士の30.7%となっています。もともと看護師の保有率が高いせいもあり、有資格者の7割が女性です。そして、実際に資格取得に関してかかる費用です。私は地方在住者ですので、東京までの渡航費が追加でかかりました。それらを含めて受験料や講習会代金、合計10万円でした。関東近県ですと、テキスト、受験料、講習会代金のみで三万円程度だと思われます。

資格取得後は?

先ほども話しましたが、医療知識、技術は日々進化するので、この認定後は5年毎に認定の更新を行うことになっています。1度目の資格取得から5年の間に、委員会が認めた学会や講習会への参加や学会発表を行い、更新に必要な単位である50点を集める必要があります。5年の間に学会などでの論文発表、全国学会への参加や自分の住むエリアで開かれる講習会への参加を意識をすることが大事です。資格補習者の居住地域に関しても、やはり首都圏である関東地方に有資格者が多く、都道府県別では東京都、大阪府、神奈川県の順になっているのが現状のようです。5年毎の認定資格の更新のために必要な単位が取得できる学会、講習会の開催も東京都、大阪府に集中しています。取得後の継続したスキルアップが可能であり、周囲に環境が整っているということが資格取得や資格保有状況に影響していると考えられます。首都圏などが有利な状況にあるのは当然ですが、各県にも委員会が認めたグループがそれぞれ講習会、セミナーを運営しているので十分資格を取得する環境はあると思われます。一度取ったら、講習会への参加や意識的な勉強をし続ける必要がありますが、一生の財産と言えると思います。

まとめ

いかがでしたでしょうか?呼吸療法認定看護師についてご理解頂けましたか?呼吸、循環管理は看護師として歩んでいく中でどの分野にも通じる非常に重要な領域です。このような資格を取ることで自分の看護のレベルが向上すると共に、患者さんへのケアがより良いものになるという相乗効果があることは最大のメリットですよね。

こんな記事/動画も見られています

 

こちらの本が読まれています

意見をメールする 更新情報を受け取る

バックナンバー

 

【看護師お役立ちコラム】への応募・問合わせ

名前【必須】
電話番号
Eメール【必須】
Eメール(確認)【必須】
問合わせ・応募内容
【必須】

 

Facebook Twitter email
看護師の転職・求人。病院を動画で確認!ミスマッチを防ぎます Pagetop