実際に体験したアナフィラキシーショックの判別と対応

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#1248 2020/11/01UP
実際に体験したアナフィラキシーショックの判別と対応
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私は以前、東京都内の大学病院の高度救命救急センターに勤務していました。そこでは、様々な症例の患者さんが搬送されてきます。その中でも、アナフィラキシーショックは気道浮腫が起こり、症状が重篤な場合は呼吸困難にまで至り、挿管が必要な事態になります。そんな、誰でも起こりうるアナフィラキシーショックについてアセスメント方法や症例を交えて説明していきたいと思います。

皆さんも日常でアレルギー症状を見たり、聞いたりしたことはあると思います。中には自分がアレルギー物資を持っていて食事や接触するものに気を付ける人も多くいるのではないでしょうか?そもそもアレルギー症状ってなんだろうと思ったことはないでしょうか?アナフィラキシーショックとひとえに聞いても、知っていると聞いたことがあるでは大きな違いがあります。看護師としてアセスメントするうえでも理解しておく必要がありますので、わかりやすく記載していきたいと思います。
アレルギー症状とは、一般的に健康な人では見られない免疫反応による異常な過敏反応です。分類としてはⅠ型~Ⅳ型に大別することが出来ます。その中でも即時型アレルギーと言わるものが、IgE依存症、Ⅰ型アレルギーであり、蕁麻疹やアレルギー性鼻炎、蜂や、食べ物を摂取したときにおこるアナフィラキシーショックなどがあります。アナフィラキシーは全身性のアレルギー反応で、突発的に発症する呼吸や循環系の重篤な状態を意味しており、刺激性アレルゲン(抗原)が過去に繰り返され、徐々に反応が大きくなっていくことにより産生される抗原特異的免疫グロブリン(IgE)に結合すると、自分自身の細胞がヒスタミンやプロスタグランジンなどの伝達物質を局所的に全身に放出し、粘膜物質の増大、毛細血管の浸透性と漏出の亢進、血管拡張および細気管支平滑筋の緊張が著明に低下し、アナフィラキシーショックに至る状態のことを言います。
この文章では、難しくてよくわからないと感じる人も多くいると思うので、蜂に刺された患者さんにの症例をもとに振り替えると、過去に蜂に刺されたことがある患者さんが再度蜂に刺されることで、体の中での異常な刺激が、呼吸をする喉の粘膜を腫れあがらせたり、血管を開いたりする突然の反応を示すことで、呼吸不全が起きたり、血圧が低下して意識を混濁させたりします。じわじわと症状が出るのでなく、短時間で症状が増悪するのでアセスメントと対応が非常に大切になってきます。ではどのような点に注意して看護師はアセスメントを行えばよいかを記載していきます。

アナフィラキシーショックへの対応方法。

①まずは冷静になって、患者の第一印象とバイタルサインを確認しましょう。

切迫した状態に陥っている患者さんをみて焦る気持ちはわかるのですが、確実にアセスメントをして冷静に対応することが大切になってきます。非常時こそ落ち着いて、冷静に動く習慣をトレーニングしておきましょう。アナフィラキシーショックで重篤な場合、咽頭浮腫、呼吸の喘鳴、血管拡張による低血圧性ショック、循環不全による意識障害が起こる場合があります。A(気道)B(呼吸)C(循環)の評価を行い、救急隊員や医師に引き継げるようにしましょう。また一見症状が軽そうな場合においても、急激な進行に注意して絶えず観察を行いましょう。

②アナフィラキシーショックの特徴を把握しておきましょう。

症状の発現までの時間は人によってさまざまですが、通常5分から15分くらいと言われていますが、もっと早い段階で重篤化するケースもあります。皮膚症状が最も頻度が多く、全身に蚊に刺されたような膨隆疹がみられます。また、実際に遭遇したことがない人はわかりにくいとは思うのですが、呼吸器・循環器・消化器・中枢神経などの多臓器症状を呈することも特徴の一つであることも覚えておいてください。

③薬歴や既往歴などを本人がいるなら確認、本人が離せない状態であれば、周りの人に尋ねたりしましょう。

原因を特定するためには詳細なアナムネ聴取が必要になってきます。原因としては、食べ物や薬物、蜂によるものが多いですが、中には金属や医療者ではゴム製品などのラテックスも考えられます。さまざまな要因があることを認識しておくことが大切です。

④身体的所見です。

緊急を要する場合には呼吸や循環サインの変化を見逃さないようにすることが大切です。特に意識の混濁や低血圧には注意が必要です。路上で倒れている人で、専門的な医療器具がない場合でも、アセスメントすることは可能です。顔色や皮膚色、橈骨動脈や頸動脈にて脈拍を触診しましょう。すると頻脈や徐脈などの症状がみられるので、安定した状態なのか不安定な状態なのかを判別しましょう。
主なアレルゲンについて覚えておく方が良いと思いますので一例を記載します。食べ物では、卵・乳製品・ナッツ(ナッツは特に症状が急激に出やすいため、子供は注意が必要です。アナフィラキシーショックでは特に注意が必要なので覚えておきましょう。)大豆・小麦・蕎麦・魚介類などです。意外と知られていないかもしれませんが、果物の桃もアレルギー指定物質なので注意が必要ですね。
虫:蜂やアリなどです。
薬剤:ヨード・診断用色素剤・抗生物質(ペニシリン・βラクタム系など)・非ステロイド系炎症薬(NSAIDs)・アスピリン・局所麻酔薬(リドカイン・プロカイン)などです。

あとは手術室看護師にみられるのがラテックスアレルギーですね。ゴム製品を日常で装着することによりアレルギー症状が出てしまうことがあるようです。
最後に対応についてですが、もしそのような状態の患者さんがいたら、まずは原因物質を特定しましょう。エピペンなどを持参していれば、服の上からでも構いませんので大腿部に注射をすることも考慮しましょう。
次に患者の第一印象です。意識があるかないか、を評価します。意識があれば、皮膚の症状(蕁麻疹・掻痒感・紅潮)・全身の浮腫・消化管症状(腹痛・吐き気・嘔吐)・眩暈・呼吸症状(閉塞感や嗄声・喘鳴など)を観察します。それと同時にEMS(119番通報)にコールします。応援を要請したら絶えずABC評価を行います。ABCに異常が見られた場合はそれぞれを補助する対応を行いましょう。
気道が閉塞しかかっていれば、気道確保を・呼吸困難や明らかに異常な呼吸が見られ意識がなくなった場合は補助呼吸を、循環が弱い場合は下肢の挙上、循環がなくなった場合は即時にCPRを行うようにしましょう。救急隊員が来たら、速やかに現状を分かりやすく伝達することが重要です。伝達方法としてはABCDE評価とSAMPLE評価を使用して、順番に説明すると状況がよくわかるので常にトレーニングしておきましょう。ABCDE評価とはA(気道)B(呼吸)C(循環)D(神経学的所見)E(外傷)です。これを順番につたえることで、どの部分をサポートすればよいのかがわかります。SAMPLEとはS(自他覚症状)A(アレルギー)M(薬歴)P(病歴)L(最後に食べたもの)E(ここ最近のイベントごと)です。これを把握することで、その患者の背景を読み取ることが出来、より詳細の情報を得ることが可能になります。
アナフィラキシーショックは誰にでも突然起こるイベントなので、基礎の知識を持って、冷静に分析し、状況を把握し対応することが重要になってきます。救命センターではこのような症例にいつ遭遇しても良いように救命処置を常にトレーニングしています。難しいことはありませんので、BLSやACLSを受講して、反復練習することがスキルを磨くことに繋がります。

まとめ

いかがでしたでしょうか?アナフィラキシーショックとは自分たちの周りで、いつ起こってもおかしくないと認識出来たのではないでしょうか?自分の家族や恋人などが、突然倒れてしまった場合でも、きちんと冷静にアセスメントして初期対応することが大切です。経験を積むことも大切ですが、基本的な学習を、定期的に復習しておくこと事が大切になります。基礎が出来ての応用なので、自己研鑽してみてはいかがでしょうか?アセスメント方法としてはACLS(二次救命処置)を学ぶことは大切なことだと言えます。

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