これから就職を考えている看護師さんや、病院勤務と育児の両立で転職を考えた時に介護施設が頭に浮かぶ方もいるのではないでしょうか?
この記事では介護施設についての情報提供をすることで今後の職場選びの基準にしていただければと思います。
介護施設での看護師の役割・仕事内容・メリット・デメリットについて紹介します。
1 介護施設とは
一言で介護施設と言っても種類は様々あります。
介老人保健施設・介護老人福祉施設・サービス付き高齢者向け住宅・老人ホーム・デイサービスなど。
公的施設や民間施設が提供しているのか、介護レベルなどにより対象者や提供するサービスも変わってきます。
参考URL:
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000044903.pdf
2 介護施設での看護師の役割とは
病院の場合医療や処置を提供する場であるため、看護師のメインの仕事も診療の補助といった医学的管理になります。
しかし、介護施設の場合介護が目的であるため、メインはご利用者様の健康管理となります。
また、ご利用者様に安心して生活していただくために、ご家族や医師、介護スタッフ、ケアマネージャー、病院やクリニックなどと連携をとっていく必要があります。
そのため、介護施設での看護師としての役割は大きくなります。
3 看護師の仕事内容
介護施設で働く場合の主な仕事内容
・服薬管理(服薬ボックスへの振り分け、残薬数の確認、内服の確認・介助)
・体温・血圧・脈拍などのバイタルサイン測定
・医療処置(吸引・胃ろう・経管栄養の管理、褥瘡処置、軟膏塗布など)
・採血
・緊急時の対応・処置(救急車の手配、家族や医師への連絡)
・家族や医師へのご利用者様の日々の状態・状況の報告
・他職種との連携・連絡・調整(介護スタッフ、理学療法士、ケアマネージャー、栄養師、医師など)
・往診の対応
・施設の安全な環境設定
・医療処置・衛生材料などの在庫管理・補充
・看護記録の記入
・看取り
・感染症予防(予防接種の管理、ご利用者様の部屋の環境設定、必要時面会制限)
・日常生活介助(食事・排泄・入浴・移乗・口腔ケア・爪切りなど)
・病院やクリニックの受診の付き添い
・介護スタッフへの指導
・勉強会の開催
・レクリエーション時の補助
・コミュニケーション
具体的な仕事内容は施設により異なってきます。
4メリットとデメリット
メリット
①残業が少ない
病院は治療・処置が目的となるが、介護施設の場合日常生活の援助が目的となります。
そのため主軸は介護スタッフであり、看護師の役割は介護スタッフへの専門的視点からのアドバイスや処置となり役割分担が明確化されています。
そのため、病院看護師と比べると業務負担も抑えられることから定時に帰れることが多いです。
子育ての両立のワークライフバランスで転職を考えている方にとっては保育園や幼稚園の送り迎えにも余裕を持って行くことができるというのは大きいのではないでしょうか。
②夜勤少ない
施設にもよるとは思いますが、主軸が介護スタッフとなるため病院に比べ圧倒的に夜勤の回数は少ないです。
また、夜間はオンコール対応としている施設もあります。
そのため、規則正しい生活を送ることができるため、自分自身の体調管理にも気を遣うことができ、育児にもしっかり向き合うことができます。
夜勤があるかないかで身体的・精神的負担も変わってきますので、夜勤の有無で転職先を考えている看護師も多いです。
③イレギュラーな出来事は少ない
病院の場合、診療科にもよりますが、急変や緊急入院・緊急手術など様々な出来事があります。
しかし介護施設の場合、既往歴など病気を持っている方は多くいますが、介護施設の目的は介護であり、ご利用者様にとっては生活の場であるため、病院ほどイレギュラーな出来事は
多くありません。
デメリット
①プレッシャー高い
病院の場合医療スタッフの人数が多いため、判断に困った時でも同僚や先輩、医師に相談しながらケアをすることができます。
しかし、介護施設の場合看護師の人数が少なく、また、看護師一人で夜勤に入ることもあり、一人でアセスメント・評価・判断が求められるため責任の重さを感じることがあります。
新人で就職を考えている看護師の場合、業務に慣れていないためプレッシャーを高く感じてしまうと思うので、適宜先輩看護師に確認していくことが必要となります。
②以外と体力仕事
体力の負担に関してはそれぞれの施設の方針により感じ方は変わってくると思います。
一般的に言われているのは、介護施設の場合入居者の日常生活援助は介護スタッフが担当するため、看護師の体力的負担は少ないということです。
しかし、介護スタッフの人数などが少ない施設の場合、看護師も入浴や排泄介助など身体介をするため体力的負担を感じる場合もあります。
私自身、働き始めてから、病院で働いていた時よりも体力仕事であることにビックリしました。
介護施設=体力的負担がないと考えるのではなく、施設の採用や募集要項の確認をおすすめします。
なかには、そこまで詳細が書かれていないことも多いと思いますので、電話での確認や施設見学の際に具体的な仕事内容の確認をするといいと思います。
③介護スタッフとの考え方の違い
病院で働いてきた看護師にとっては、病院と介護施設での提供する援助・ケアへの考え方の違いに驚いてしまうこともあります。
病院の場合、治療・処置が目的なため、看護師の提供するケア一つ一つには根拠があり、アセスメント・評価・修正などの一連作業が必要となります。
しかし、介護施設の場合、日常生活の援助が目的であり主軸が介護スタッフであるため看護と介護の視点の違いにより疲れてしまうこともあります。
私自身、介護施設で働いていて一番の悩みの種は介護スタッフとの看護師のケアを提供する優先順位の捉え方の違いでした。
もとろん、施設内の安全の環境設定などはしていますが、それでも、安全への視点が抜けてしまいそうな時は随時助言・指導をしていました。
④イレギュラーな休みへの対応
クリニックなどの場合、治療・処置が目的であるため、看護師の人数が一人でも欠けると業務に支障がでるため休みづらいというデメリットがあります。
しかし、介護施設の場合日常生活援助が目的であるため、クリニック同様看護師の人数は少ないですが、提供する医療処置の数も少ないため、子供の体調不良などのイレギュラーな休みへの対応も快く承諾してくれます。
そのため子供の体調不良にも対応してくれる職場で転職を考えている看護師にとっては働きやすい環境であると思います。
⑤スキルアップできない
看護師の役割として医療処置もあるが、介護施設の目的は日常生活援助です。
そのため病院で行われているような、医療や看護に関する勉強会・研修・看護研究といったものもなく、日々の医療処置も単調な物となってしまうため、看護師としてのプライドや仕事優先に働きたい看護師にとっては働きにくさを感じると思います。
病院などで働いてきた看護師が転職を考えている場合は、病院という医療の現場で鍛えられることで、多くの経験を積んできているため医療・看護に関する知識も豊富です。
しかし、これから看護師としての就職先を考えている方で医療に関する知識を学びたい場合には病院などをおすすめします。
施設にもよると思いますが、病院ほど、勉強会や研修、研究論文の作成などもないため、医療に関するスキルアップは難しいのではないかと思います。
しかし、在宅での看護や看取り、高齢者との関わりを学びたい方にとっては働きやすい環境であると思います。
5 仕事探しのポイント
上記内容をもとに今後の職場選びのポイントをまとめました。
①医療と介護どちらを学びたいのか
②仕事と育児どちら優先で働きたいのか
③日勤と夜勤どちらで働きたいのか
④採用や募集要項、実際の業務内容の確認
⑤施設の方針と自身の働き方の価値観が合っているか
まとめ
職場選びをする際に重要になってくることは、何を優先して働きたいかどうかという事だと思います。
私自身優先順位が明確ではなかったため、子育て優先で介護施設を選択したはずなのに、働いてみると、自分自身の看護としてのスキルアップなどを目的にしていることに気が付きました。
しかし、実際に働いて始めて分かることもたくさんあります。
また、家庭の事情など価値観により何を選択するかは変わってくるので、あくまでも就職や転職時の参考にしいていただければと思います。
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