厚生労働省が発表したデータによると、2014年に就業看護師数(実際に看護師として働いている数)は約154万人で過去最多となっています。
しかし、増え続ける看護師の影では、潜在看護師も年々増加しているといわれています。なぜ資格を持ちながらも働けない、働かない潜在看護師が増えているのでしょうか。
これには、看護師としての使命感が、関わっているように感じます。
1. 仕事に穴は、開けられない
私は、3人のこどもを出産しました。27歳で出産した1人目は、シングルマザーでの出産でした。この時私の選択は産休明け後退職です。その後8ヶ月間実家で生活をしていました。なぜ、退職を選んのだかその理由をお話します。
私は看護師として、三次救急を担う病院の救命救急センターで働いていました。
その頃子育て世代の先輩は、こどもが熱であっても、入院していても、勤務している方が多くいました。
「見る人いないから、座薬いれて、保育園預けてきた」「人がいないから休むわけいかない」という、先輩達の背中を沢山みていました。この背中から、当時の私は看護師としての使命感を感じていました。「私が休んだら誰が患者をみるの??」このような気持ちが常に職場内に合ったように思えます。そのため、結婚、妊娠すると退職する看護師も多かったです。私もその1人。私はシングルマザーで、こどもを置いてまで仕事に来る自信がありませんでした。つまり、私にはまだ、子育てしながらの看護師人生の使命感とはなにか見いだせずにいたのです。
2. 子育てしながら看護師人生再開
約8ヶ月実家で生活していましたが、ずっとお世話になりっぱなしという訳にもいきません。1人で育てて行くために働く決意を持ちハローワークに出向きました。
ハローワークで、【?自分の家庭環境をきちんと伝えること。】これは凄く重要でした。シングルマザーであること。
両親はまだ仕事をしていること。これらをちゃんと伝えることで、子育て支援が充実した職場選びを支援してもらえます。ここで、第2の看護師人生再開となる病院との出会いがありました。
新しい病院は、保育園が併設され夜勤の時もこどもを預けることがでしました。また、職場内には、子育て世代が多く、子育てあるあるも共有でき非常に働きやすい環境でした。そして、何よりも貴重な出会いがあったのです。子育てを看護師としての仕事にいかす。シングルマザーで4人の子育てをしている先輩Aさんです。
3. 看護をこどもに語る
Aさんは、上は高校生下は小学3年生のこども4人を育てていました。Aさんは、看護師として今日どうだったのか、何を感じたのかという話を毎日こどもたちに話していました。
こどもたちは、幼い頃からずっと母親の看護師人生を聴き育っています。時には怪我や病気もあり、家に置いて仕事をする事も多かったようです。しかし、こども達は、お母さんの仕事への想いを知っています。
「寂しい」という言葉もあったけど、「でも、頑張って。お母さん待ってる人いるんでしょう」という言葉を励みに頑張っていると聴きました。背筋がピンッと伸び常にキラキラしているA先輩は、子育てしながらでも自分次第で看護師人生を続けていけることを教えてくれました。
そして、その背中には、人を育てる使命感と命を守る使命感を感じさせてくれました。
4. 看護師としての使命感を伝える
その後結婚をし、2人のこどもを出産しました。パートナーを得て、子育て環境も変わりましたが、私は産後2ヶ月で直ぐに復帰をしています。転職もしました。現在は看護教員です。もちろん、ハローワークで、家庭環境、子育てしながら看護師を育てる仕事をしたいという気持ちを伝えて、現在の職にあたっています。
看護師として子育てをしながら働ける方法も伝えることで、潜在看護師の減少にも繋がると思っています。看護師基礎教育をしながら看護師としての使命感、自分の人生を豊かにする方法を伝えていく仕事に誇りと責任を持って、今を生きています。
5. 子育て看護師としての原動力
こどもが3歳頃までは、よく病気をして、早退、休みもしました。有給がなくなり、欠勤になった事もあります。
それでも、この仕事を続けたいと思えたのは、看護師としての仕事の魅力だと思います。
看護師の仕事は、多岐に渡り、身体的にも、精神的にもきついこともあります。しかし、それ以上に、命の尊さ、人間の回復力、時に魅せられる奇跡からこの仕事を選んで良かったと思うことが多いです。
そして、患者さんや、その家族の笑顔に救われることも多くあります。これまでの看護師人生から、暮らしを守って、命を守りたいという使命感を持つことに繋がったと思います。
そして、少しでも多くの看護師が使命感を持ち続けて働き続けて欲しいとも思います。私の看護師としての原動力は、こども達と看護師として仕事をさせてくださる看護の対象の方々です。今まで看護の仕事を続けてこれたのは、やっぱりこどもがいたからです。
子どもたちに私がどのように映っているかは、分かりませんが、私の看護観は伝えたいと思っています。看護を知らないこどもたちが、看護の魅力を感じ、看護師という職業に魅力を感じることができたら、看護教員としての仕事にも自信が持てると思いながら今、子育てと仕事をしています。
6. 子育て親育ち
子育てをしながら、看護師としての人生を歩みやすい社会環境は、少しずつ整ってきていると思います。
最初に述べたように、子育てをしながら働くためには、「自分の環境、気持ちを伝える」ことがkeyになると思います。また、保育園などは、仕事場よりも自宅に近い方がいいと思います。
急な発熱などに対応するには、職場の近くと思いますが、こどもが急な病気になるのは、健康に過ごす時間より少ないです。子育て中は、ストレスを溜めないように、趣味などの自分の時間の確保も大切です。
そんな時、保育園が自宅に近い方が、自分がお休みの日に預けやすく、迎えにも行きやすいうことを10年間の保育園生活で感じました。
また、大学病院などの大手の病院の方が福利厚生が整っているようにも感じますが、意外と地域密着型病院で中規模病院の方が子育て中の職員が多く、働きやすさを感じることもあるようです。
こどもに軸をおくか、キャリアに軸をおくか、そこは、人それぞれの価値観です。私の場合は、キャリアに軸をおいていますが、それでも、報告、連絡、相談をこまめにして子育てをしています。
こんな風に、報連相が仕事以外でも大事だと思ったり、時間管理、タスク管理を考えるようになったことも、子育てをしているからこそだと思います。
こどもが育つように、子育てを通して親として育って来たかなぁとしみじみ思います。
しかし、まだまだ、こどもからみたら寂しい思いをしているかもしれませんし、(笑)抜けもあります。宿題や、忘れ物チェックなど、抜けなく見るというのはなかなか難しいです。
朝も私や、主人の方が早く出て、帰りも、親の方が遅いことが多いです。しかし、平日の休みの日にできる事を考えたり、こどもとの時間が大切だといつも以上に感じる事もあり、悪いことばかりではないかなと思います。
どう、感じるかは人それぞれですが、私は今の看護師人生に後悔はありません。
7. これからの看護師人生
現在、こども達も成長し、私の仕事がどういうものなかのか、何となく分かってきているようです。
私は実家の近くに家を建て今は仕事を終えた母や、義理の両親に協力を得ながなら仕事をしています。
それでも、保育園の頃に比べると祖父母の所に行くより、自分で何とかするとい自我も芽生えてきて、こどもの心の成長も目の当たりにしています。
またまだ、子育て看護師人生は、続いていきます。親との折り合いもありますが、実家の力を借りるというのはかなり心強いです。
しかし、そうはいかない家庭も多くあります。これから、看護教員として、看護師を育てながら、せっかく得た国家資格の看護師という仕事を諦めず、継続できる社会環境を整えられるような事にも目を向けて行きたいと思っています。
世の中の潜在看護師を看護の世界に戻し、看護師の職業価値が高められるようにしていけたらなと思っています。
まとめ
環境は、人生をかえます。看護師が自分の生活環境で仕事を諦めることがないような社会環境作りが大切だと思います。また、自分にあった職場環境を探すためには、しっかりと自分について伝える力も必要であると思います。看護師は、命を守り暮らしを守る素敵な仕事です。子育てしているからこそ分かる、感じる生活、命についてどんどん伝え、使命感をもった看護師人生をこれからも送って行きたいと思います。
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