私が思う、看護師のアセスメントとして大事なこと

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#1223 2020/10/07UP
私が思う、看護師のアセスメントとして大事なこと
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多くの看護師がアセスメントを苦手としていますが、あなたはアセスメントが出来ますか?看護師がアセスメント出来ることで、治療の幅も広がると考えたことはありますか?
今回はそのアセスメントについて、私の経験した事例も含めて看護師のアセスメントで大事だと思うことを共有します!

みなさんは、看護師として多忙な業務をこなす中で、疾患だけでなく患者一人一人の個別性まで考えられていますか?
入院時のアセスメントはテンプレートだけになっていませんか?患者を受け持つ中で、ナースコール対応や薬剤の調整、検査出しなど、勤務中は常に多忙で、正直患者個々の既往歴まで目を向けられていないのが現状だと思います。

そんなことを言っている私も、三次救急病院のICU看護師として勤務していますが、今回入院の原因となった疾患についての理解を深めたり、不安定なバイタルサインをアセスメントすることで精一杯なこともあります。
ICUでは常に多くの薬剤を使用している分、点滴作成だけでも時間がかかったり、呼吸器や透析、補助循環装置などの医療機器管理も必要であり、十分に観察出来ているか不安になることもあります。確かに看護師だから医師のようにアセスメントは不要、医師と同じレベルでのアセスメントは苦手と思っている方が多いように感じます。
でも、チーム医療として患者を見ていますし、医師だけでなく看護師もアセスメント出来ることで、より早期の治療開始となると思いませんか?医師と同等なアセスメントは必須ではないですが、十分なアセスメントで患者の今後の治療を大きく左右することになるのは明確だと思います。今回は、私がICU看護師として経験した事例を踏まえて、普段どのようにアセスメントしているか、事例を通してお伝えします。もちろん特殊部署でのアセスメントのため、皆さんの部署とは異なる可能性もありますが、アセスメントの重要性について考えるきっかけになっていただければ幸いです。

私が看護師として働き始めて2年目の夏。心臓血管外科患者の受け持ちを開始し始めて間もない時期でした。その日は心室中隔欠損症患児の、パッチ閉鎖術後入室を受け持っており、常に緊張している状態でした。
術後ICU入室時の血圧はカテコラミンや血管拡張薬使用もあり安定した状態で入室していましたが、18トリソミーなどの既往もあり、様々な合併症も懸念されるため、入室直後は多くの医師が部屋にいる状態でした。入室から30分程度経過すると、無刺激でも徐々に血圧のベースが低くなり始めました。術直後であり、血圧変動はあるものの、原因をアセスメントしようと考えているうちに、H R 60台まで低下。すぐにスタッフコールで医師や看護師を招集しました。

このような事例は、疾患は異なるとは思いますが、術後患者では起こりうる事例ですよね?さてここで皆さんに質問です。
この事例で、皆さんは血圧低下の原因はいくつ考えられますか?
単純に、カテコラミンの流量が患児にとって不十分だったこと、挿管中であり鎮静が深すぎるなど、薬剤による原因も考えられますよね?他にも、術後のためL O S(低心拍症候群)や心タンポナーデなども瞬時に考えられましたか?他には術中の人工心肺使用による影響はどうでしょう?このように急変対応ともなると、経験が浅い看護師は特に、冷静にアセスメントが出来なくなるでしょう。もちろん私も恥ずかしながら、始めはその場で硬直してしたり、不十分なアセスメントでスタッフ招集以外にどう対応したら良いか分からず思考が停止していた時期もありました。ですが、血圧低下を医師と共に考えられれば、その分患者対応も早くなりますし、他の患者を受け持つ際にも、同じような視点も加えて、より深い看護ができるようになると思います。もちろんすぐに実行に移すのは難しいですが、受け持つ前に可能性を考えてイメージトレーニングしておくのも良いと思います。

上記の事例では、心タンポナーデが原因で血圧低下を来たした事例でした。
H R60台に低下した際にはすぐに、隣の部屋から訪室した医師が心臓マッサージを開始しましたが、私は受け持ちとしてその横で患児の全身状態を観察、報告をしていました。その中で、心嚢ドレーン排液が低下していることを発見、心タンポナーデも考慮しただちに医師へ報告しました。
看護師の皆さんなら分かるように、血圧低下一つをとっても対応は変わりますよね?例えば循環血液量低下や出血性のショックによる場合は、メイン輸液や輸血などの急速投与、カテコラミン増量で対応することもあります。しかし、今回の場合は心タンポナーデのため、このような対応をしたところで血圧は戻りません。すぐに執刀医師により開胸、洗浄をしたのですが、心嚢内に血栓が多量にあり、それが原因となったとのことでした。

この事例のように、看護師として働いていると、常にアセスメントを必要とする場面に直面することと思います。机上の勉強だけでは習得出来ないし、その時に対応していた他スタッフの対応を見て学ぶことも多いでしょう。
今回の事例は、心臓血管外科受け持ち開始直後であったため、自分のアセスメントでは不十分だと思い、すぐに同僚へ共有し患者の観察実施、他スタッフとともに原因を考えることが出来ました。

このように、アセスメントは、誰か一人の力でやり遂げなければいけないものでもないと、私は思います。もちろん、看護師一人一人が十分なアセスメントが出来ること以上に良いことはありません。
しかし急変時は、私たち看護師だけでなく、医師も経験がなければ緊張します。その中で、どこまで冷静に考えられるか、どれだけ注意深く観察出来るかでアセスメントも変わってきますし、患者のその後の状態も変わってきます。もちろん急変はないに越したことはありませんし、急変を望んでいるスタッフもいません。普段の観察時から、小さな変化を逃さないよう注意して観察し、急変とならないよう注意深く観察出来ることが理想です。
ですが今回の事例を見て、皆さんはどう思いましたか?
十分に観察出来ることも大事だけど、そこまでの知識を持ち合わせているとも思えないし、やっぱりアセスメントって難しいな・・・と思った方も多いのではないのでしょうか?恥かしながら執筆している私も、まだまだアセスメントに自信がある訳でもありません。日々参考書で勉強したり、医師の記録や他スタッフのアセスメントを読んで考え方を学んだりと、身近なところでもアセスメントの練習が出来ると思います。また、今回は急変時のアセスメントとして事例を挙げましたが、睡眠導入剤を検討すべきか、この看護計画をこのまま継続していいのか、患者の状態について家族はどう思っているかなど、アセスメントする対象は多量にあります。もちろんどのアセスメントも、考える看護師によって、注目すべきポイントが異なりアセスメント方法が変わることもあります。逆に、問題によってはどのアセスメントが正しいという正解もありません。そんな中で十分なアセスメントは困難だと思うかもしれませんが、多方面から知識を学ぶ努力をし、まずは患者の状態について考えるということから始めてみませんか?

まとめ

どんな看護師でも、初めから完璧なアセスメントはできません。そのアセスメントが必ず正しいという保証もありません。しかし、看護師が十分なアセスメントを出来ると、治療の幅はかなり広がります。まずは机上で知識を学ぶ努力をし、患者の状態について考えることから始めてみることが大事だと思います。この事例が例え一人の看護師でもお役に立てれば幸いです。

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