現在2025年には4人に1人が75歳以上になると言われていて医療・介護ニーズが急増することが予想されています。
それに伴って訪問看護師の需要は増え、国も病院から在宅へ移行していく方針であることは知っていますか?
看護師としての働く場は病院だけではありません。今注目されている訪問看護師という働き方もぜひ視野に入れてみてはいかがでしょうか。ここでは訪問看護師について詳しく説明していきます。
■訪問看護師って何
訪問看護師とは、看護師が自宅に出向いて「病気や障がいがあっても住み慣れた家で暮らしたい」という利用者様の思いに寄り添って看護を行う看護師のことです。
訪問看護の対象となる利用者様は小児から高齢者、精神的な疾患を抱えた方など、あらゆる年代と疾患を抱えた方がいらっしゃいます。病気や障がいがあってもその人らしく自宅で生活したいという方をお手伝いする役割を担っています。
■訪問看護師になる方法。どんな経験が必要?
訪問看護師になる方法は、基本的になりたいと思ったら、訪問看護師の求人は多く募集されているのでまずは自分の住んでいる地域の求人を探してみるのがいいと思います。
訪問看護師は利用者様の自宅に出向き、基本的に1人で業務を行うため、病棟での経験があるほうが望ましいという見方がまだまだ強いです。
訪問看護での必要な看護技術は、基本的にはバイタルサインの測定や入浴介助、食事介助、おむつ交換、体位交換などの日常生活援助が多いです。そして寝たきりの利用者様も多いので排便のコントロールが必要な方が多く、下剤の投与や摘便、浣腸などの便処置も多いです。また医療処置だと血糖測定、インスリン注射、吸引、点滴、人工呼吸器や酸素の管理、ストーマ管理も必要になります。これらの技術を訪問先で、場合によっては1人で行うことを考えると病棟での経験を積んでおくことをお勧めします。
しかし、訪問看護は病院と違う視点で看護を展開しなければならない側面もあります。
訪問看護は、24時間管理されていて医療資源が十分にある病院とは全く異なる環境での看護です。
訪問先の家族の介護力、介護環境によって利用者様の生活や介護・看護の状況は大きく変わってくることもあります。例えば、病院では24時間365日、2,3時間に1回の体位交換当たり前に行われていますが、訪問看護では介護できる家族が仕事や睡眠などの理由により2,3時間に1回体位交換を行うことが難しいといった場合があります。その場合訪問看護では褥瘡予防のためにエアマット使用し、頻回な体位交換を行わずして褥瘡予防する、といった場合もあります。
このように訪問看護では利用者様の介護環境が全く違うので、利用者様ご家族の介護負担や自宅の環境を考えた介護方法を提案することも必要です。病棟での経験が大事ではありますが、訪問看護に興味がある人は、ある程度病棟で技術の経験を積み看護技術を習得したら、まずは訪問看護を経験し、訪問看護のアセスメントの視点を学ぶというのも大切な考え方かもしれません。
また数は少ないですが新卒や看護師歴1,2年目から訪問看護師を募集している訪問看護ステーションもあります。技術や経験不足の新卒看護師を一人前に育て上げるまで、新人教育をする大変さから新卒を募集していない訪問看護ステーションも多いです。しかし、新人看護師を雇うメリットとしては早くから訪問看護の体制に慣れることで訪問看護を専門とする優秀な人材を育てられるのではないかという考えから新人を募集している訪問看護ステーションあります。また国の動きとして訪問看護師の育成に力を入れているので今後経験の浅い看護師であっても訪問看護師で十分働けるスキルを身に着けられる教育体制をつくるように整備している動きもあります。今後は経験の浅い看護師であっても訪問看護師を行う方が増えていくのではないかと考えられますので、新卒や経験の浅い看護師でも訪問看護師としての需要はあることが分かります。
そして、訪問看護師には2種類あって、①病院や施設併設の訪問看護事業と②訪問看護ステーションがあります。
①病院や施設併設の訪問看護事業については、病院や施設の部署の一部として訪問看護を行っているパターンです。
運営が施設や病院であるため福利厚生が充実している、教育体制がしっかりしているなどのメリットが挙げられます。しかし、訪問看護を希望していたとしても病棟配属になってしまうこともあります。なので絶対に訪問看護しかやりたくない、といった場合には不向きな選択肢の可能性もあるので注意が必要です。
②訪問看護ステーションについては、個人や企業が運営母体で独立して訪問看護事業を行っているパターンです。
仕事量や給与面などの特徴はそのステーションごとに大きく異なります。例えば、小規模の訪問看護ステーションは従業員数5人以下のところも多く、和気あいあいとした雰囲気な職場環境もあります。また対象となる患者層もステーションによって違います。小児や精神分野、老年分野などあらゆるニーズがあるので自分の得意な分野の患者層の多いステーションを探すのも一つの手かもしれません。
■訪問看護師のメリット
①多重業務に追われることなくじっくりと利用者様と向き合えるような看護ができる。
病棟で一人一人の患者さんとしっかりとむきあって看護をしたいと思っても度重なる入退院や検査出し、オペ出しなどの多重業務によりなかなかじっくりかかわることが難しい場面も多いです。しかし訪問看護の場合は利用者様ごとに時間が区切られているため、その中で必要な看護を行う必要がありますが、比較的にじっくりと時間をとって利用者様と向き合えることがやりがいと感じる訪問看護師が多いです。看護師全てが必ずしも病院が適正というわけではありません。今の病院の看護に疲れてしまった、業務に追われてやりがいを見いだせない、という方は、ぜひ訪問看護師に転職するのも一つの選択肢かもしれません
②夜勤がないところもある
病院で常勤の看護師だと夜勤はつきものですよね。夜勤はその分手当はもらえますが、昼夜逆転となったり健康を崩す原因にもなります。一方訪問看護だと夜勤はないところがほとんどです。訪問看護師になったら健康的な生活を送れるようになった、との声もあります。
③勤務日数や時間を選べる
訪問看護師は勤務日数や時間を選べるステーションもありますのでママさんナースにも人気です。
病院より柔軟にシフトを組めるのは魅力的ですよね。
このように訪問看護師はたくさんのメリットがあることが分かります。
■訪問看護師に求められるスキル
①1人でも判断できるような知識と技術
訪問看護師は1人で訪問することもあるので、利用者様の状態を見て今すぐ救急車を呼ぶ必要があるのか、次回の医師の診察まで様子をみてもいいのか、経過観察でいいのか、など患者の異変を察知してあらゆる判断を行っていく必要があります。そして訪問看護は病院のようにすぐに採血データや画像を取ることができたり、詳しい検査をすることが困難です。例えば病院では、貧血症状があるとすぐに検査をすることができますが、訪問看護では貧血の程度を頻回に採血をしてデータを取ることができないため、眼球結膜の色やめまい、立ち眩みなどの自覚症状から判断していくことがあります。このように医療機器に頼らない看護師の五感を使ったフィジカルアセスメントが求められ、その場に応じて対応する必要があります。
②コミュニケーション能力
利用者様が安心して生活するためには家族の協力がなくてはならないのは当然です。そこで自宅での介護を支援するために自分が患者にケアを提供することも必要ですが、家族に指導する場面も増えます。そこで利用者様と家族と良好な関係を保つことによって、介護上の不安やニーズを引き出し一緒に問題を解決に迎えるようなコミュニケーション能力が必要です。
③高い看護ケア力
病院ほどの医療行為をすることは少ないですが、おむつ交換、トイレ介助、食事介助、入浴や洗髪の介助など看護ケアを行う場面が非常に多いです。訪問時間内に素早く丁寧にできる能力を身に着けていきましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
訪問看護師になりたいと思っている方はまず訪問看護に飛び込んでみることが大切です。
ハードルが高いと思わずに、まずは働きながら学んで訪問看護師としての技術・知識を身に着けていきましょう。
訪問看護師には病院とは違ったやりがいや楽しさ、大変さもあります。
また、訪問看護師経験し、再び病院に戻ってきてもその経験を生かせる機会は多いです。
キャリアアップの選択肢としても訪問看護師を考えてみてはいかがでしょうか。
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