オーバートリアージはやって損することはない。

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#1215 2020/09/29UP
オーバートリアージはやって損することはない。
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これから先の医療は高齢者医療も多くふくまれます。
自己の症状を具体的に表現することも出来ない患者さんが沢山います。医師は何か異常があったときの診察は行いますが、それに一番先に気が付くのは看護師です。看護師の能力によって重篤な症状を見抜けるかどうかが決まります。今回は経験を含めたアセスメント方法を確認していきたいと思います。

アセスメントの重要性

看護師は医師の指示に基づいたことを実施すればいいわけではありません。患者に一番近い存在の医療従事者は看護師です。普段と何か違う、何か困っている様子だ?と気が付くのは看護師です。医師は回診時に患者の病態を観察しますが、細かいことまで把握するのには限界があります。医師がきちんと治療できるように、病態をいち早く発見し異常を見るけるためには看護師の力が必要になってきます。あれ?おかしいな?だけではなく、ここがこのようにおかしいから医師に報告しよう。と思うスキルを身に着けておく必要があります。ネットの書き込みなどで、看護師をやってみてきつかった。ルーチンワークだ。患者の世話係のようにつかわれてやりがいがないなどのコメントを見ますが、そのように感じている人はもう一度看護感を見直してみましょう。きちんとプライドをもって、今日一日患者さんの安全を守るという認識のもと仕事をすると、気持ちも変わってくると思います。看護師のアセスメント能力で患者さんがその人らしく生きることが出来るといっても過言ではありません。

高齢者医療

ここ最近の入院患者の高齢化は病院勤務であれば実感することが多いと思います。問診やトリアージを外来で行ったり、病棟でムンテラをとる場合でも、時間がかかったり、よくわからないことを言っていたりして、読み取るのに時間がかかった経験を皆さんもしているのではないでしょうか?高齢者は話もゆっくりですし、疼痛部位を聞いても、この辺とか、あっちもこっちも痛いといい、いったいどこが痛いのかわからないことも多々あります。認知機能が低下しているだけではなく、沢山の薬剤を服用しており、症状や疾患を見つけるのがとても困難なのです。これから先はこのような患者さんが沢山増えていくため、きちんと看護師がアセスメントすることが必要になってくるのはお分かりいただけたと思います。

患者アセスメントの基本:患者アセスメントの基本は、救急外来のトリアージでも行われるABCDE評価になります。それから、高齢者に多い脳卒中スケールについても簡単に話をしていきたいと思います。

アセスメントの基本であるA

AirWay気道の事ですね。息をしていれば気道は開通しています。呼吸が苦しそうだったり、ゼーゼー・ヒューヒューなどの呼吸音が話していて聞こえたら、気道が閉塞しかかってるのではないか?と疑問を持ちましょう。そうすると開口してもらい、喉の状態をみて発赤や、斑点などがないかを確認したり、首元に手を当てて、甲状腺が腫れていないかどうかを確認したりしましょう。簡単に観察することで、異常に気が付くと思います。

B:Breating

呼吸のことですね。
Aの気道で異常がみられたなら、呼吸状態を観察してみましょう。胸郭の上りは左右対称ですか?胸はきちんと上がっていますか?これは目視で行うことが出来、道具を使用しませんよね。とても簡単に出来るアセスメントです。次に聴診器を使って、呼吸の音を5点聴診・もしくは3点聴診してみましょう。ラ音や捻髪音、狭窄音などは聞こえませんか?新人看護師によくある疑問は、「ラ音なのか、なんなのか分かりません。」と言われます。それでもいいんです。何か異常な音が聞こえたかどうかが重要なんです。異常な音が聞こえたなら、どの部位で聞こえたのかをきちんとメモしておきましょう。前胸部?側胸部?背部?ついでに、臥床して?座位時?などもメモをしておきましょう。一般的に呼吸が苦しい人は、無意識のうちに前屈になります。これは横隔膜を下げて呼吸状態を楽にしようとするからです。つまり起座呼吸をしていると呼吸系に異常がある可能性があるということです。

C:Circulation

循環ですね。これも指先をみると、紫色になっている。手先を触ってみると冷たい。これも道具を使用せずに気が付くことが出来ますよね。循環状態が破綻すると末梢血管は締まって、重要臓器に血流を促そうとします。その為手先が冷たく、紫色になるのです。いわゆるショック状態ですね。ここに気が付くことはとても大切なので、是非患者さんを触ってアセスメントするようにしましょう。血圧計を使用して、血圧の値が低いか高いかも確認してみましょう。きちんとカルテの血圧を比較することが重要ですよ。普段から血圧が高い人や低い人もいるので、差があるのかどうかも確認することが大切です。脈拍も機械に頼るのではなく、きちんと実測しましょう。不整脈はないかな?脈拍は早い?遅い?これだけで、徐脈なのか頻脈なのかをしることが出来ますね。頻脈であれば、迷走神経を刺激するのもよいでしょう(大きく息を吸って、息をこらえてもらう。数秒息を止めてもらったら、はいてもらう)。徐脈だから、頻脈だからと言って焦ることはありません。患者さんの容態が安定していれば、大丈夫です。しかし高齢者では、一般的な傷病者と違い、密に観察することが必要になってきます。安定してそうだから大丈夫は高齢者では当てはまりませんので、きちんと細かく観察することが重要です。

D:Disability

意識とか神経学的所見ですね。これを評価するのにAVPU評価があります。A:Alert意識はありますか?清明ですか?話をすることは出来ますか?高齢者のポイントは、私は誰ですか?「お医者さんです。」「看護師さんです。」ここはどこですか?「病院です。」と言えればいいでしょう。V:Verbal呼びかけに反応しますか?目を開けることは出来ますか?P:pain疼痛ですね。痛み刺激に対して払いのけるような動作をしますか?前胸部をぐりぐりしてみたり、指の爪先をボールペンで押しながら転がしてみましょう。U:unresponsive従命にしたがわない。反応がない。ここでは手を握りましょうではなく「グーチョキパーできますか?」など握るだけでなく指示がとおるかも確認しましょう。このAVPUスケールは簡単で使いやすいので是非覚えてみましょう。

E:Exposure

外傷・全身観察ですね。パッとみて傷や腫脹、打ちみや関節の異常屈曲がないかなどを確認しましょう。高齢者でよくあるのはオムツを着用していることで、異常を見抜けなかったケースもあります。最近のオムツは吸収力がすごいため、なかなかあふれ出ることがありません。実際にズボンを下ろし、オムツを履いていたので中を確認すると、血便がたっぷり入っていたこともあります。高齢者の場合はこのような点にも注意して確認するようにしましょう。
以上が簡単でしたがABCDEアセスメントになります。
続いて、誰でも簡単に使用することが出来る脳卒中スケールについて話をします。脳卒中とは簡単に脳出血と脳梗塞にわけることが出来、脳卒中の割合は8割~9割は脳梗塞です。脳卒中は救急車で受診しないことが多い疾患でもあります。これはいつもと同じ症状とか、そのうち治るといって放置され緊急性がないと判断することが多いからです。time is brain と言われる通り、脳の疾患には時間がとても重要です。発症から4.5時間以内であれば血栓溶解療法を行うことも出来ますし、早ければ早いほど患者の転機は良いです。それを簡単に評価できるスケールがシンシナティプレホスピタル脳卒中スケールです。頭文字をとってFAST(ファスト)と言われます。F:Face顔面下垂、ニコっと笑ってもらって顔面が均等かどうか、一部分が垂れ下がっていないかを確認します。A:ArmDrift、目を閉じて両上肢を挙上させ、10秒保持させます。片方の手が下がったりすると症状ありです。S:speech 呂律不良がないかをらりるれろなど言わせ確認します。 T:time発症時間です。その人が最後に正常と確認できた時間を発症時間とします。症状が出た時間ではないので注意です。このFASTに一つでも異常があれば、脳卒中の可能性があるので、早めに脳卒中の対応が出来る病院、もしくは医師への診察を迅速に依頼しましょう。

まとめ

看護師に対するアセスメントが、如何に重要かを知ることが出来たのではないでしょうか?看護の仕事はルーチンワークでも、雑用でもありません。患者さんがその人らしく生きることを見守っていくこと、予防していくこと、異常の早期発見をし対応していくことが仕事です。看護師の早期発見は、早期治療につながります。普段だれよりも患者さん側で仕事をしていることに対してプライドを持ち、驕れることなく、日々勉強をして、働きましょう。

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