転職を考えるとき、どうしても焦って決めてしまいがちですが、自分の求める条件が曖昧なまま転職活動をすると、理想通りの職場にめぐりあえず、結局転職を繰り返すことがあります。転職活動を始める前に、まずは自分自身の求める条件を明確にしましょう。そして、自分自身の求める条件が分かったら、就職斡旋会社の力を借りてみましょう。
まずは、転職の際に、どのようなポイントに絞って条件を検討すればよいかについて考えていきましょう。
〇正社員かパートタイマーか
まずは、正社員として転職するのか、パートタイマーとして契約するのかを考えましょう。
正社員になるメリットとしては、昇進を目指せること、賞与がもらえる可能性があること、一方的に解雇されることがないことなどが挙げられます。一方デメリットとしては、1ヶ月のうち大半が仕事になること、病院によってはサービス残業や休日出勤が余儀なくされたり、教育や委員会などの業務が増えたりすることなどが挙げられます。
パートタイマーのメリットとしては、仕事量を自分で調節できること、サービス残業や休日出勤、教育や委員会への参加が必要ないことなどが挙げられます。一方デメリットとしては、昇進や責任の重いポジションは任されにくいこと、賞与がもらえないこと、正社員の人数が確保されるなど人手が確保できたら契約が終了となる可能性があることなどが挙げられます。また、看護師のパートは比較的高時給なので、家族の扶養内で抑えるためには綿密に計算して勤務する必要があり、結局1週間のうち2日程度しか勤務できないということにもなりかねません。
今後の妊娠・出産や、子どもが小さいことだけを理由にパートタイマーの選択を考える方もいらっしゃいますが、必ずしもその必要はありません。正社員であれば、産休・育休は取得できますし、院内保育所が設置されている病院や病児保育の斡旋がある場合もあります。自分のこれからの人生において、仕事とプライベートの両立のバランスをどのように考えているのかをいちばんに考え、正社員かパートタイマーかを検討しましょう。
〇夜勤が可能かどうか
看護師の仕事には、大きく分けて「日勤」と「夜勤」があります。転職をすると、新しい職場の仲間内でシフトを組み、仕事を進めていくことになります。基本的には、シフトはメンバーの希望を寄せ合って決定していきますが、仕事に慣れ一人前から中堅として動けるようになるまで、あるいは新しい就職者が入るまで、シフトの希望をなかなか伝えづらいのが現状です。しかし、プライベートでの役割によっては、どうしても譲れないときもあると思います。
例えば、子どもの世話や送り迎えが挙げられます。同居する家族や近くに住む家族の協力が得られるのであれば、世話や送り迎えを依頼することもできるでしょう。しかし、協力を依頼できる状況にない方も大勢いらっしゃいます。このような場合に、いつ夜勤になるか分からないといった勤務形態で仕事を始めてしまうのは、大変危険です。また、夜勤がないことを条件に契約したとしても、安心できない可能性があります。そこそこ大きな病院での話になりますが、夜勤をしないという口約束で契約したものの、その話が人事部で止まっており、仕事内容に慣れたころに夜勤のシフトを組まれてしまった、そのままずるずると勤務を続けている、ということがありました。契約書に明確に「夜勤には携わらない」と記載されていない場合は、口約束のみで了承してはいけません。少し言いにくいかもしれませんが、契約書に一筆記載していただくことを提案しなければなりません。そこまでしていても、夜勤の打診が来ることがあります。ですので、そもそも夜勤のないような職場を選ぶこともひとつの方法です。健診センターや、クリニックなどが挙げられます。
一方で、夜勤を希望される方もいらっしゃいます。その場合は、病棟で日勤と夜勤の組み合わせで働くだけではなく、夜勤のみのパートタイマーという方法もあります。夜勤は日勤と比べて高時給で手当ても付くため、勤務日数あたりの給与で比較すると、夜勤専従スタッフの給与は大変高額になります。とはいえ、夜勤専従で契約をし続けるのは精神的・身体的にも負担の大きいものですし、労働基準法にも規定があるため、長く続けられるものではありません。どのくらいの期間でどのくらいの給与を希望しているのかも、ひとつの判断材料になります。例えば、少し大きな額のお金を用意する必要がある、数カ月であれば夜勤専従で働けるだけのサポートがある場合は、こちらを選択してもよいでしょう。私の友人の話ですが、正社員を退職後、3か月間のみ夜勤専従パートタイマーとして勤務し、留学費用を貯めたという話を聞きました。期間を限定して、ある程度まとまったお金を用意するためには検討してもよい選択肢でしょう。
〇給与と休日・時間外勤務の関係
転職を考える際にいちばん気になるのは、給与面であるといっても過言ではないでしょう。しかし、給与ばかりに気を取られていると、休日が極端に少ないことに気付かなかったり、時間外勤務の多さが給与に直結していたりすることもあります。例えば、休日が年間100日を切る病院もあります。1年の土日の数を全て合わせても104日ほどになることを考えると、休日の少なさが分かると思います。また、年次休暇や特別休暇に関しても確認が必要です。ご家族がおられる場合や、海外旅行が好きな場合など、毎年何度かまとまった休みが欲しい方もおられるでしょう。夜勤専従を選ばない限りは、仕事を続けていきたいと考えられる方がほとんどでしょう。自分に無理のない勤務形態であることは大変重要なポイントになります。
以上のように、自分自身が転職先に求める条件を検討したあとは、看護師の転職斡旋会社に相談することをお勧めします。転職斡旋会社には、大きく分けて2種類あります。ハローワークと、一般の転職エージェントです。
ハローワークとは、公共職業安定所のことをいいます。ハローワークでの仕事探しにおいて特徴的なのは、就職先である施設や病院、クリニックからハローワークに対して、看護師の紹介料が発生しないことです。昨今、看護師不足が大々的に取り上げられており、紹介料を払っても看護師を確保したいという職場は数えきれません。しかし中には、募集をかけたらすぐに応募が集まるような人気の職場もあります。そういった職場は、一般の転職エージェントにはまず掲載されないので、ハローワークにも一度足を運んでみるのもよいでしょう。
一般の転職エージェントは、星の数ほどあります。大抵の場合、個人情報や希望の職種などを登録後、ほとんど時間を置かずに連絡があります。その後、担当者が決まり、その方との面談で就職先の希望のすり合わせを行い、面接を受ける転職先を絞っていく形になります。会社によれば、面接にも同行していただける会社もあります。転職先の選定においては、担当者との相性が良ければ、こちらの希望をよく汲んでくださり、満足する転職先を見つけることができるのですが、どうしても相性の合わないこともあります。そのため、複数の転職エージェントを検討することが望ましいでしょう。とはいえ、登録から面接まで大変スピーディーで労力を伴うため、同時に登録するのは2~3か所にとどめておいた方がよいでしょう。私もこれまで、2回転職を経験し、そのうち1回は転職エージェントを利用しました。転職エージェントを利用せずに転職した際は、前職に勤めながら、休日に自分だけの力で転職活動を行っていたため、休む暇がなかった上に、病院の情報を細部まで調べきれず、転職してから後悔したことがありました。一方転職エージェントの利用では、計4か所の会社に登録し、そのうち1社の担当者が大変話を汲むのがうまく、予想以上に満足する転職となりました。まずは1社登録してみて、自分自身の希望するポイントを話してみることから始めるとよいでしょう。
まとめ
以上のように、転職の際に考えるポイントは、「正社員かパートタイマーか」「夜勤が可能かどうか」「給与と休日・時間外勤務の関係」の3つです。これらの条件をしっかり考えた上で、ハローワークに足を運んだり転職エージェントに登録したりして、希望に合った転職先を探していきましょう。
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