就職・転職をする際に、必ず必要となる最初の壁が、履歴書や職務経歴書などの書類です。ここでは、看護師として、就職・転職を考えている皆さまへ、経歴の書き方や、志望動機・自己PRといった各項目を書く際の大切なポイントをお伝えします!
ここでは、履歴書や職務経歴書の基本的な書き方については省略し、看護師の就職活動に合わせて、ポイントをご紹介します。基本的な用紙の書き方については、用紙の購入時についている説明などをご確認下さい。
【履歴書の書き方】
看護師だけに限った話ではありませんが、就職や転職の際には、履歴書が必要になります。履歴書では、必ず
(1)氏名・生年月日・年齢・住所・連絡先
(2)経歴(学歴・職歴を記載する)
(3)免許・資格
の欄があり、その他には、用紙によって(4)志望動機・(5)自己PR・(6)長所・短所・(7)趣味・特技…などを記載する欄が設けられています。
上記の(1)~(3)は、事実をそのまま記入すれば良いところなので、基本的には特に問題はありません。
ただし、(2)の学歴や職歴に関しては、人によっては、「どこまで書いたらいいのか?」と悩まれる方もいらっしゃるかと思います。
たとえば、社会人を経験してから看護師の免許を取得した方や、フリーターの期間があった方、転職回数が多い方、複数の学校に通っていた方…などです。
・学歴
学歴は、複数の学校に通っていても、基本的には事実をそのまま記入しましょう。ただし、通っていた学校が多く、かつ数か月で辞めてしまった学校などがある場合は、期間の短い学校は省いてよいかもしれません。しかし、<卒業>ではなく<中退><退学>などがあると、面接の際に、「なぜ辞めたのですか」という質問をされたり、「合わないとすぐに辞める人だ」と面接官に思われてしまう可能性があり、注意が必要です。なので、事実を記入した上で、必ず、辞めた理由を前向きに説明できるように準備しておくと安心です。
・職歴
職歴に関しても、同じく注意が必要です。
看護学校や大学を卒業して初めての就職の方は、職歴は<なし>になりますので、簡単です。ただし、高校生や看護学生の際にも、長期でアルバイトをしていた場合には、「学生で忙しい中でも仕事を両立させていた」「一つのところで長く働いている」など、プラスの要素になる可能性があるので、記入しておきましょう。
一方、職歴のある方は、正職員として勤務していた職場について、しっかりと一つ一つ記入しましょう。特に、看護師としての仕事はもちろん、医療・介護に関連する職歴は、プラスの要素になるため、全て記入した方が良いでしょう。別の仕事の経験が複数ある場合には、アルバイト・パートなどは除き、正職員としての職歴のみ記入すると良いです。接客や営業、パソコンスキルなど、他の職種であっても、看護師の仕事のメリットとなる経験はたくさんあるので、経歴の記載はとても大切です。正職員が少なく、看護師以外のアルバイトなどが多い場合には、1年以上(できれば3年以上)と、長期で勤めていた職場を記入しましょう。1年未満の職場がたくさんあるだけだと、学歴の時と同様に、「すぐ辞めてしまう」「仕事が続かない」と思われてしまう可能性があるので、できるだけ長期で勤めていたものをアピールしましょう。
※履歴書は、経歴欄が少なく限られているので、書き始める前にあらかじめ行数を確認しましょう。そして、学歴を記入して余る行数を確認し、残りの行数で職歴をおさめるのか、履歴書と職務経歴書に分けて記載するのか、構成を決めてから書くと、失敗が少なく内容も整理されます。
そして、就職・転職の際に、一番悩むのが<志望動機>や<自己PR>ではないでしょうか。採用する側にとっても、これらの項目が一番の判断ポイントとなるので、とても重要です。
(4)志望動機
就職・転職をする際に、実際の志望動機が、給与の高さや残業が少なそう…といった待遇面であるという場合は多いと思います。しかし、それをそのまま書いてしまうと、「また転職するだろう」「看護師としての仕事への思いがない」「うちも残業あるのに」と思われてしまい、非常にマイナスになってしまいます。したがって、応募した先が<どのような職場なのか><どんな方針や理念なのか><何が学べる・経験できるのか>をしっかり調べ、「自分がそこで何をしたいのか」を簡潔に伝えましょう。今までの経験を踏まえて、「新たにこの分野を学びたい」「経験が活かせる職場だと思った」など、数ある就職先の中で何故そこを選んだのかが相手に伝わるように、前向きかつ簡潔に書き、詳しくは面接で答えられるように準備しておくことがポイントです。
(5)自己PR
自己PRでは、「自分には何ができるのか」「自分はこんな人間だ」という、アピールポイントを書きます。
・初めての就職の場合:
職歴はないため、「自分はどういう人間なのか」「どんな特技や強みがあるのか」をアピールしましょう。ただ、アピールするだけではなく、「こういう強みがあるから、看護師として仕事に活かせる」というように、就職に結びつけて書くことがポイントです。
・前職がある場合:
前職がある場合には、「今までの経験が就職先でどのように活かせるか」を伝えることがポイントです。書面での自己PRは、当然のことですが、書いたことのみしか相手には伝わりません。したがって、謙虚さや出し惜しみは必要ありません。積極的にアピールすることが大切です。前職が看護職ではないとしても、看護師の仕事に繋がるように、自分を採用するメリットを感じてもらえるように、書きましょう。看護師は人と関わる仕事なので、企業の接遇研修に参加した経験なども、採用のプラス要素になります。プリセプターや指導者の経験、看護研究、委員会活動、リーダー業務なども、アピールポイントになります。
(6)長所・短所
この欄がある場合には、しっかり自分を分析して、書きましょう。特に、応募する就職先にふさわしいような人物像を意識して書くと効果的です。短所については、マイナスなイメージにならないように、「短所は○○ですが、克服するために具体的に~をしています」というように、直そうと努力していること伝えることや、「○○なことが短所ですが、~の時には、その面が役に立つこともあります」と同時にプラスイメージを伝えることが大切です。たとえば、「マイペース」→「どんな時でも落ち着いて行動できる」など、マイナスイメージのものをプラスに言い換えるように考えると、書きやすくなります。
(7)趣味・特技
この欄のある用紙をわざわざ選ぶ必要はありません。ただし、購入した履歴書に、趣味や特技の欄があるならば、必ず何か書いて埋めましょう。看護に関わるものである必要はありません。空欄を作らないことが大切です。また、これは私の転職時の体験談ですが、趣味に「音楽」と書いていて、実際の面接で採用担当の方に、「うちの病院に就職して合唱部に入ってほしい」と言われ、和やかな雰囲気の面接になり、その場で採用をいただいたこともあります。何が功を奏するかわからないので、素直に記入すると良いと思います。
(8)本人の希望欄がある場合
用紙によっては、給与や勤務時間の希望を書く希望欄が設けられていることがあります。ここには、給与の希望や、残業少なめ、夜勤○回といった条件は書かないことがベストです。何故なら、その希望によってマイナスの印象を与えたり、「残業できない」「夜勤に入れない」などと思われてしまうからです。しかし、だからと言って、空欄では「意思がない」「積極性に欠ける」と捉えられてしまいます。したがって、条件面ではなく、働いてみたい病棟や経験したいことなど、プラスになるような希望を書くと良いでしょう。
【職務経歴書の書き方】
就職先によっては、応募の際に、履歴書だけではなく、職務経歴書を求められることがあります。とはいえ、看護師の職務経歴書は、一般企業のものとは少し異なり、<仕事の経歴と内容が履歴書より詳しく確認できる書類>という程度の書類です。ですので、特に構える必要はありません。「いつからいつまで、どこで、何をしたか」を、過去から順に時系列で書いていきます。つまり、職務経歴書は、就職先の採用担当者が、<その人の経験や能力を書類で最低限知ることができるもの>なのです。したがって、<看護師としての経験をPRできる書類>だということを、意識して書くと、相手にも伝わりやすいものになります。
・在籍期間:入職~退職までの期間がわかるように年月を記入(履歴書と同様)
・勤めていた職場の名称:正式名称を記入(履歴書と同様)
※職場の<病床数>や<種類(二次救急・慢性期…等)>を書き加える
・配属先:○○科 ○床 ○交代勤務
※○交代勤務と記載されていることによって、夜勤に入れる人材だというアピールになります。
・委員会・係活動・看護研究
・担当業務(術前術後の管理、○○検査の介助…等)
・役割(プリセプター・リーダー業務・学生指導…等)
…などを簡潔に記入すると、わかりやすく、「どんなところで働いてきて何ができるのか」が伝わります。また、
・配属先の患者層や多い疾患
・処置やケアの内容
…などを書き加えると、より詳細に「できること」がわかり、自己PRに繋がります。
また、特に職務経歴書を求められていない職場であっても、自己PRのために職務経歴書を用いてアピールしてみると効果があるかもしれません。
補足:転職回数が多く、記入したい職歴が多く履歴書に書ききれない方も、是非この職務経歴書を利用しましょう!
【最後に】
看護師の就職・転職に必要な第一関門である、書類の書き方について、ポイントをご紹介してまいりました。
履歴書・職務経歴書は、見えない相手を書面だけで判断する材料です。
書き方はもちろん大事ですが、見た目も重要です。それぞれ、字の上手い・下手は個人差がありますが、「読んでもらおう」「相手にわかりやすいように書こう」と読み手のことを考えているかどうかは、相手の印象に大きな影響を与えます。まずはどちらも、丁寧に、なるべくキレイな文字で書くように心がけましょう。
まとめ
ご覧いただき、ありがとうございました。
履歴書や職務経歴書といった書類は、面接の前のただの形式的なものではなく、顔が見えない相手の第一印象を決める、大切なものであることが伝わりましたでしょうか?
書類を、しっかりと考え、丁寧に作成することで、面接に向けて自分の頭の中を整理でき、さらに相手への印象も良いものにすることが可能です!
就職・転職の際には、是非、意識して書いてみて下さいね!
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