色んな病院や病棟があり、それぞれで経験できることも違います。中には急性期病院の忙しさについていけず、退職を考えている方もいるかと思います。でも、他はどんなことをしているの?と分からないこともあるでしょう。そこで、急性期病院以外について気になることをお伝えできればと思います。
回復期リハビリテーション病棟における、アセスメントの重要性について、簡単に紹介していきたいとおもいます。
大まかに分けて、病院には急性期、亜急性期、慢性期があります。看護師としてまず初めに働くことが多いのは、急性期かもしれませんね。数年働いて疲れてしまって退職を考えたり、育児がひと段落した後に、再就職したりする方の多くは、亜急性期や慢性期看護を選択すると、働きやすいかもしれません。
そこで、私が経験してきた亜急性期病棟について、お話ししていきたいと思います。
まず、アセスメントについて簡単に説明したいと思います。看護師にはアセスメントは重要で、看護計画に必要なものとなっています。しかし、多くの看護師はアセスメントが苦手なのが現実。情報収集を行い、それらを分析することがアセスメントになります。
S(Subject)主観的情報患者様の話や訴え、病歴、自覚症状などを記述する。
O(Object)客観的情報医師や看護師など医療関係者が身体診察・検査から得られた情報などを記述する。
A(Assessment)アセスメント上記、SとOの情報をもとに分析・結合、判断・評価し、意見・印象などを記述する。
P(Plan)プラン(計画)上記、S、O、Aの情報をもとにした治療方針や問題解決のための計画を記述。
アセスメントのコツは、現状を知る・原因を知る・今後を考えるの3つになります。
アセスメントが苦手な人は、この3つが考えられていないことが、原因なのでは?と思います。
では、私が実際に経験した事例について、お話ししていきたいと思います。
私は回復期リハビリテーション病棟に長年勤めていました。急性期とは違い、比較的状態が落ち着いてリハビリを必要とする患者さんが、入院してきます。多くの患者さんは、脳血管疾患後遺症や骨折後の診断名でした。しかし、現代は高齢者も多く、認知症や内科疾患を多く抱える方も当たり前のようにいらっしゃいます。高齢だったり、認知症だったり、麻痺が重度の方、歩けない方。多くの方は誰かと一緒に住んでいて、介護をしてもらえる状況にあります。しかし、一人暮らしの方も多くいます。そこで、私たち看護師は、患者さんがいかに安全に・安心して家での生活を送れるかをアセスメントしていかなければ、なりません。リハビリや相談員、医者や栄養士など、他職種とも相談員して入院を支えていきます。
その中でも、看護師は看護計画を立てなければならなく、その計画が悩みです。退院したら、家で座っているだけではないのです。洗濯や家事、雪かき、仕事、犬の散歩、孫の面倒などなど…病気になる前までやっていた役割を継続して出来る様になってほしい!と多くのご家族さまは言います。目標は高く、そのために努力する!とはいいますが、高齢者には限界があります。ですが、現実をみてほしいとは言い切れません。目標に近づけるよう、頑張ります。と説明するでしょう。そうなると、役割を果たすために、看護サイドとして何をすべきか。何をとりいれるべきか。をアセスメントしなければなりません。
そのアセスメントも現実離れしたものでは、目標達成にまでいかないので、そこは看護師の腕の見せ所です。簡単に目標達成できるところから計画を立てていき、徐々に高い目標をおいていく…というやり方が一般的でしょう。そうすることで、患者の成果も目に見えてわかるし、モチベーションも上がってくるので、やる気が出てリハビリが進みます。
私が担当したA氏男性は、脳梗塞後遺症で右麻痺が残りました。既往歴は高血圧、心不全です。もともと薬嫌いのせいで、高血圧であるにも関わらず、薬を飲んでいなかったようです。そのため、脳梗塞となり入院となりました。発症前は、仕事も運転も行っていて、リハビリをすれば元の生活に戻れると思っていたほど、現状理解がされていませんでした。そこで、私たちの初めにやることは、病気について理解してもらうということでした。パンフレットを用いて、高血圧と心臓病、脳梗塞についてを指導しました。なかなか受け入れは厳しかったですが、ご家族の助けもあり、退院までには理解され、運転はしないと決断してくれました。仕事はパソコン作業程度であったので、訓練の一貫しとして、復帰できました。残るリハビリは歩行訓練でした。
入院時は、麻痺が重たく、車椅子を使用していました。車椅子のまま退院する方も多くいますが、A氏の自宅はアパートでエレベーターなしの5階。階段を使ってではないと、自宅に入れません。歩く以外の歩行手段はないのです。なんとしても、歩いて退院してもらう他ありません。
そこで、リハビリスタッフたちに協力してもらい、病棟内でも歩行訓練をできる環境を設定してもらいました。はじめは拒否や文句もありましたが、こちらも屈するわけにはいかないので、諦めず、歩行訓練を行なってきました。歩行訓練を行なっていくと、徐々に改善が見られ、退院間近には誰かが側で見守っていれば、一日中歩いていられるようになりました。
A氏と家族の喜びは、今でも記憶しています。あんなに、頑固でリハビリを拒否していた当初が嘘のように、クシャクシャな笑顔で感謝されました。成果が現れると、人って変わるのですね。
さて、ここまで読めば、アセスメントの重要性についてわかっていただけたのではないでしょうか。
私たちが、日頃みているものは、とても重要なものなのです。
私たちのアセスメントが、患者さんやそのご家族さん人生を変えてしまう…といっても良いくらい、アセスメントは大切なものなのです。
私たちにとっては、いつものことかもしれませんが、患者さんにとってははじめての出来事なのです。
人生を変えてしまうというのは、大袈裟かもしれませんが、それくらいの覚悟を持って、仕事をしてほしいとおもいます。
中には、「そこまで覚悟もたなくても、これまできちんと出来てきたから」と思う方もいるでしょう。
わかります、現に、私も若い頃はそう思っていましたから。
その人の人生なんて関係ないから、ちゃんと退院してってくれれば、それでいい…
と、いつも思って仕事をしていました。
ですが、そんなやる気の無さは、他にもバレるんですよね。
親身になってくれてないと何度も言われ、ようやく気づきました。そこで、1度だけきちんとアセスメントして、看護してみようと思って取り組んだのが、A氏の事例でした。
このときに、本気のアセスメントもいいもんだな…と感じて以降
、人生を背負っているとの覚悟でやって来たわけです。
これは、あくまでも私自身のアセスメントへの重要性になります。それくらい、重要なんだということが、伝わってくれたら、十分かな…と思います。
最後になりましたが、新たに転職する方や再就職する方にとって、イメージが掴みやすくなってくれたら、幸いです。
新たな挑戦に向けて、頑張ってくださいね。
まとめ
長くなりましたが、何が言いたいのか…といいますと、アセスメントに重要なのは、『覚悟』と『責任』ということです。看護師にとっては、何気ない日常でも、患者や家族にとっては、一度しかないチャンスということ。そのチャンスを逃さないように、最低の記憶として残さないように、精一杯やるだけのこと。自分だって、自分のために、頑張ってくれた人の方がいいですよね。
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