看護師の免許を取得していると、病院の病棟勤務だけではなく、驚くくらい多種多様な仕事があります。就職・転職を検討している方や、病院で働いて「看護師に向いていない」と感じる方へ向けて、ここでは、病棟看護師以外の看護師の職場をご紹介します。
看護師は、看護師の資格や経験を活かして、様々な職場で働くことができます。
今、就職や転職を考えている方や、病棟や救急指定病院等の外来で働いていて「向いていない」「合わない」などと感じる方は、一度、別の職場を検討してみてはいかがでしょうか。
ここでは、保健師・助産師・ケアマネジャー・養護教諭などステップアップした資格を持っておらず、看護師免許だけで就職できる、病院以外の職場をご紹介します。
【クリニック】
まずは、クリニックです。一般病院の外来に近いですが、比較的に緊急の対応は少なくなります。夜勤がなく、残業も少ないので、家事や育児とのバランスが取りやすいのが魅力です。また、日曜日・祝日がお休みのところがほとんどなので、友人や家族と休みを合わせやすいというメリットもあります。不規則な生活や夜勤がきついという人には、クリニックはオススメです。仕事内容としては、処置や医師の介助がメインなので、病棟のような患者のケアや移乗などの力仕事はほとんどありません。また、病院のように入退院の対応・急変や看取りがない…という点でも、病棟勤務などの合わない人には向いているかもしれません。ただし、一言にクリニックと言っても、様々な診療科があります。科によって、必要な専門的な処置や検査の介助が異なる為、全く経験のない科だと一から勉強が必要です。
【介護系の施設】
現在、日本では超高齢社会であり、今後さらに後期高齢者の人口が増加する為、介護関連の施設はどこもマンパワーが不足しており、とても需要が高いです。ケアや体調管理がメインなので、力仕事は多く、医療処置に介護も加わりますが、病院よりも比較的落ち着いて仕事ができます。高齢者やその家族との関係を築くのが得意な人や、コミュニケーションが好きな人には、向いている職場です。
介護関連の施設には・・・
・介護老人保健施設(老健)
・有料老人ホーム/特別養護老人ホーム(特養)/軽費老人ホーム
・デイサービス
・訪問入浴
・ケアハウス
・サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)
・グループホーム
・・・など、多くの職場があり、そのぶん選択肢も多いのが特徴です。
医療処置の程度は、施設の種類ごとに異なります。介護施設の中では、老健は医療処置が多めで、病棟勤務の内容に近い為、「看護技術を忘れたくない」「医療処置の多いところで働きたい」という方は、老健が良いでしょう。反対に、「医療処置が少なく、介護が多いほうがいい!」という人は、その他の施設の方が向いていることと思います。
【訪問看護】
訪問看護ステーションで働きます。訪問看護は、一般病院やリハビリ病院、老健などに併設していることもあります。マイペースに一人でコツコツ働きたい方や、患者さんと一対一でしっかり向き合いコミュニケーションを取りたいという方に向いています。また、オンコールはありますが、夜勤はありません。基本的には、一人で利用者さんの自宅へ訪問し、看護するので、一通りの看護技術が自立してできることが前提で、その場で誰かの指示を仰ぐこともできない為、迅速で的確なアセスメント能力や判断力が求められます。また、利用者さんの自宅にある限られた物品を使用するなど、知識や技術に加えて、様々な創意工夫や応用力が必要になります。大変ですが、とてもやりがいの感じられる職場です。臨床経験○年以上といった条件のあるところもあり、実際にもある程度の経験があった方が望ましいですが、今後さらに日本が在宅医療に力を入れていく中で、訪問看護師はとても必要とされています。ですので、最近では、未経験や新卒を積極的に採用する職場が増えてきていて、転職しやすくなってきています。
【子ども系の施設】
子どもと関わることのできる看護師の職場は、小児病院・病院の小児科だけではありません。小学校・中学校・高校の保健室で働くには、養護教諭の資格が必要ですが、保育園・乳児院・児童養護施設・大学の保健室…などの職場では、看護師免許だけで働くことができます。その職場の勤務時間によりますが、基本的に夜勤はありません。病気や怪我のある子どもの処置やケアをする病院とは異なり、健康な子どもの体調管理がメインの仕事です。子ども好きの看護師にはオススメの職場です。
【健診・検診センター】
採血・血圧測定・心電図検査などを行うお仕事です。日勤のみで、力仕事もほとんどありません。ルーティンワークの好きな方には向いています。採血は、正確さとスピードが必要なので、臨床経験○年以上の条件や、健診・外来の経験のある方が採用されやすい傾向にあります。
【献血センター】
健診・検診センターと同様に、ルーティンワークの好きな人、採血が得意な人にオススメです。献血ルームや、移動献血バスなどで出張して、献血用の採血を行い、採血中・採血後の体調を管理します。
【産業看護師(企業看護師)】
産業看護師(企業看護師)とは、会社員として企業で働く看護師のことを言います。日勤のみの勤務で、ライフワークバランスを整えやすい職場です。主な仕事内容としては、社員の健康管理がメインで、入力・データ管理といったパソコンでのデスクワークもあります。「病院とは全く違う新鮮な環境で仕事がしたい」「会社勤めがしたい」という方に向いています。
【コールセンター】
健康相談や、医療機器・医薬品などの問い合わせや質問など、医療の知識の必要なコールセンターの仕事があります。保健師資格や保健指導の経験があると尚良いですが、看護師資格のみでも就職できます。電話応対が仕事のメインなので、病院や施設にて対面で患者と触れ合っている仕事とは全く異なる環境になります。高給与の職場も多いので、ベースとなる医療の知識があり、接遇マナー・電話対応の得意な方にはオススメです。
【CRC(治験コーディネーター)/ CRA(臨床開発モニター)】
CRCは、治験業務の全般をサポートする仕事です。製薬会社の新しい薬を、治験として被験者に投与し、効能や安全性の確認を行います。つまり、治験における、被験者側をサポートする仕事です。
一方、CRAとは、治験のモニタリングをする仕事です。CRCに対して、CRAは、病院や医師といった実施者側をサポートします。
【CC(クリニカルスペシャリスト・クリニカルコーディネーター)】
医療機器メーカーの営業担当者をサポートする仕事で、看護師の資格で働くことが可能です。会社によっては、フィールドナースと呼ばれているところもあります。医療の知識を必要とし、看護師の視点で勤務しますが、営業業務もあります。
【地域包括支援センター】
地域包括支援センターは、地域の人々のために、相談を受けたり、介護予防サービスの計画を作成するといった活動を行っています。センターでは、看護師の知識や経験を活かして、働くことができます。医療行為を直接行うことはありませんが、健康に関する不安や悩みの相談に対応するので、医療の知識は欠かせません。また、介護予防としてレクリエーションなどを企画・運営・参加するなど、体を動かすこともありますが、基本的にはセンター内での事務的な作業やデスクワークが主な仕事内容となります。保健師やケアマネジャーの資格保持者が募集されていることもあります。
【イベントナース・ツアーナース】
合宿・修学旅行・高齢者のバスツアー…などの旅行などに同行したり、コンサートやスポーツ大会などの様々なイベントで参加する人の看護や体調管理をする仕事があります。ツアーだと1泊2日~3泊4日くらいの仕事が多く、日給制で単発がほとんどです。中には1週間程度の長期や、海外への同行の求人がある場合もあります。これらの仕事は、看護の転職サイトに登録しておくと、求人を探しやすいです。旅行やイベント好きの方や、いろいろな場所で働いてみたい!という方にはオススメです。ただし、日給は高給ではありますが、泊まりの場合、夜間も参加者の体調不良が生じる場合があり、24時間体制と考えると時給としては少なく感じるかもしれません。また、基本的に、医療従事者が自分だけということが多い為、医師の指示を仰ぐことができず、一人で、初期対応や応急処置を行い、病院を受診するべきかどうかを判断する必要があります。病院へ誰が同行するかや救急対応など、教員や宿泊先のスタッフへの指示を出す必要もあります。さらに、宿泊先の医療物品や持参する物品も、病院と比べると少なく限りがあります。的確なアセスメント能力・判断力・采配力、そして限られた物品で対処する応用力が必要である為、臨床経験3年以上としている求人が多いのも特徴です。
【美容系】
一般的なイメージである医療従事者とはイメージが異なりますが、美容皮膚科・美容外科といった美容系のクリニックで働くことも可能です。日勤のみで、高収入の求人が多い職場です。美容に興味のある方や、給与面第一で転職を考えている方にはとても向いている職場ですが、美容系で働いた場合、看護師の臨床経験としてカウントされないことがあります。
したがって、将来、「また病院で働きたい」「臨床経験を積んでステップアップの資格を取りたい」という方は、そのクリニックが臨床経験として認められるのか確認が必要です。また、美容系クリニックでは、病院によって異なりますが、施術の契約件数や美容コスメの販売ノルマなど、営業業務が必須になることもあります。
まとめ
ご覧いただきありがとうございました。
いかがでしたでしょうか?
こちらで紹介したように、看護師の資格や経験を活かせる仕事はたくさんあります。病院勤務の経験のみで、「看護師に向いていないんじゃないか」「看護師を辞めようか」などとマイナス思考になる必要はありません。同じ看護師でも、それぞれに合う職場があるはずです。是非、転職の際に、ご参考下さい!
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