介護施設に勤務することを考えて「介護経験がないから技術が心配…」などと動きに関する技術を心配している人が非常に多いかと思います。
もちろん介護施設に勤務するには技術は必須です。
ですがこうした技術は回数をこなして慣れていくものなので、いつの間にか自然と技術が身についています。
今回はこうした技術ではなく、意外とできていないスタッフが多い“心の介護技術とコツ“についてご紹介します。
【1.介護施設の種類と特徴を知ろう】
介護施設の種類は主に13個になります。
・介護付き有料老人ホーム
介護付き有料老人ホームには要介護1~5の方が入居しています。
特徴としては、利用者によって介護度が異なるため食事、清掃、洗濯、生活支援サービス、入浴、排泄介助、介護サービス、リハビリ、機能訓練、レクリエーション、イベントといった幅広いサービス内容があります。
介護度が異なる利用者さんが居ることから排泄介助や入浴介助といった“介助“が必要な利用者さんも居れば、ほとんどスタッフの手を借りない自立している利用者さんも居るため毎日が同じ仕事内容とは限りません。
・住宅型有料老人ホーム
住宅型有料老人ホームには自立、要支援、要介護の方が入居しています。
特徴としては、介護が必要になった場合訪問介護や通所介護などの在宅サービス事業者とサービスごとに入居者個人が契約をして介護サービスを受けることです。
ですがサービス内容などは介護付き有料老人ホームとあまり変わらないです。
・グループホーム
グループホームは要支援2以上で原則65歳以上の認知症高齢者が入居することができます。
特徴としては1ユニット5~9人程の利用者さんしか居なく、料理や掃除などの家事をみんなで分担しながら共同生活を送っています。
家で過ごしている環境に凄く近いため、利用者さんとスタッフの距離は家族並に近いです。
・特別養護老人ホーム
特別養護老人ホームへの入居基準は要介護度3以上になります。
特徴としては介護度3~重度の認知症の利用者が多く居るため毎日が同じ流れになります。
介助を必要としている人がほとんどなので排泄介助や入浴介助など、基本的に毎日決められた時間に行います。
・介護老人保健施設
介護老人保健施設は退院後すぐの在宅生活が難しい要介護1以上の方を対象に在宅復帰を目指している介護施設です。
特徴としては、3~6ケ月と入居期間が決まっているということです。
食事、入浴、排泄などの身体介護はもちろん医師や看護師による医療的管理や理学療法士などによるリハビリが提供されているのも特徴です。
・介護療養型医療施設
介護療養型医療施設は医学的管理が必要な要介護1以上の方を対象にした介護施設です。
特徴としては、入居者100人に対して3人の医師が配置されていて、淡吸引やカテーテル、経鼻経管栄養などの医療的ケアが充実しています。
個室もあるので入居者は1人の時間を過ごすことも可能です。
・サービス付き高齢者住宅
サービス付き高齢者住宅は60歳以上の方が入居することができ、相談員が在駐しているため安否確認や生活相談サービスなどが受けられます。
特徴としては、夫婦や独居の方など衰えによる生活不安な方が入居できることです。
介護を必要としていない自立者でも入居が可能です。
・健康型有料老人ホーム
健康型有料老人ホームは自立している高齢者を対象とした食事サービス付き施設です。
特徴としては居室は1LDKもしくは2DKの間取りで、温泉やスポーツジムなどが完備されているため1人暮らしの環境で毎日過ごすことができます。
自立していることで介護スタッフによる誘導や介助などは一切ありません。
・高齢者専用賃貸住宅
高齢者専用賃貸住宅は高齢者のみを賃借人としていて、住宅の構造や設備等の基準をクリアしている賃貸住宅になります。
特徴としては見守りや家事援助サービスがあるので「自立はしているけれど滑りやすいお風呂掃除が苦手…」という方は家事援助サービスを利用できるため利用者はもちろん、その御家族も安心して住まわせることができます。
・高齢者向け優良賃貸住宅
高齢者向け優良賃貸住宅は民間事業者や公団などによって設置・運営していて、都道府県単位で認定された賃貸住宅になります。
特徴としては60歳以上の方が入居することができ、バリアフリー仕様になっているので凄く生活しやすくなっています。
また、緊急時対応サービスや安否確認サービスなどもあるので安心して住むことができます。
・シニア向け分譲マンション
シニア向け分譲マンションは所有権を有し、売却や譲渡、賃貸や相続などが可能なマンションです。
特徴としてはただのシニア向けマンションではなく、家事援助サービスや温泉、プールなどがあります。
もし介護が必要になった場合は在宅サービスを利用することができるため一生ここに住み続けることができます。
・軽費老人ホーム
軽費老人ホームは自立した生活に不安を感じていたり、身寄りのない高齢者が自治体の助成によって低価格で入居できる施設になります。
特徴としては60歳以上で自分で身の回りのことができ、月収34万円以下という要件があることです。
夫婦で入居する場合は、夫婦のどちらかが60歳以上であれば入居可能です。
・ケアハウス
ケアハウスは自治体から助成を受けて運営しているため比較的低料金で入居することができる施設です。
特徴としてはスタッフによる安否確認や生活相談サービスがあり、介護が必要になった時は外部事業者の在宅サービスと契約することができます。
介護型は介護度1以上が対象になっています。
【2.利用者との上手な接し方について】
現在約13個の介護施設がありますが、その中でも多く存在している介護施設は特別養護老人ホームやケアハウス、グループホームや介護老人保健施設です。
あとは人気のある通所介護事業所(デイサービス)です。
これらの介護施設は利用者さんとのコミュニケーションが非常に重要になります。
介護度が低い利用者さんであれば友人や家族と普段接しているようにコミュニケーションを取ることができますが、介護度が高くなればなるほどコミュニケーションが凄く難しくなります。
介護度が高いというのは主に“認知症“です。
誰かの介助が必要な身体状況であっても、認知症ではなく一般的なコミュニケーションが取れれば身体状況に限らず介護度は比較的低いです。
ちなみに認知症というのは物の名前を覚える記銘力や記憶力、年月や時間、場所などの見当識や思考力、判断力などが低下します。
そのため認知症の人は「この人は誰?」「ここはどこ?」などという不安や緊張を常に感じながら生活しているのです。
一般的なコミュニケーションであれば言葉だけでも特に問題はないですが、介護施設では一方的に話すコミュニケーションはあまり望ましくなく、意外にも聞き上手の方が介護施設では利用者さんとの上手なコミュニケーションの取り方・接し方なのです。
介護度が低い利用者さんはもちろんですが、介護度が高い利用者さんほど日頃の悩みや不安を誰かに聞いてほしいと思っています。
なので、初めは積極的に声掛けのコミュニケーションを行い、その後は聞き役に回ると利用者さんと信頼関係が築きやすくなります。
一方的に話すコミュニケーションは利用者さんから「鬱陶しい」「話したくない」などと思われてしまうので注意が必要です。
【3.介護施設で勤務するにあたり必須な介護技術】
介護施設で勤務するにあたり必須な介護技術は大きく分けて6つあります。
この介護技術とは、オムツ交換や移乗介助などではなく介護を行う際に意識しなければならない基本の介護技術になります。
①安全優先
介護施設では介助のスピードはもちろん安全が重要になります。
1人の利用者さんの介助が通常5分で終わるところ、15分以上もかけていては施設内の仕事は一向に終わらず他のスタッフに毎回迷惑をかけてしまいます。
ですがスピード重視で介助をしていては利用者さんの転倒や怪我の原因に繋がってしまいます。
そのため安全を優先し、適度なスピードでの介助が必須になります。
慣れていない初めは時間がかかってしまいますが、慣れてくると何が危なくて何をしたらどうなるのかを想像しながら介護の仕事ができるようになります。
②あくまで“お手伝い“という状況
介護施設には全介助が必要な利用者さんは意外と少ないです。
片麻痺の利用者さんであっても片方の腕や足は動きますし、常に車椅子の利用者さんであっても支えがあれば少し足に力を入れて立つことができることもあります。
こうしたことを無視した介助・介護のやり方はよくありません。
全ての足や腕が動かなくても、動く部分を上手く使わせて利用者さんの動きやすい動作で介助をすることが大切です。
利用者さんが「自分の手を使って移乗できた」「自分の足を使ってズボンが履けた」などと思える介助・介護のやり方が理想的です。
動かせるのにスタッフの都合で何から何までやっていては健全だった部分も衰えて動かなくなってしまうこともあります。
③苦痛や恐怖心を抱かせない
痛い思いや怖い思いは利用者さんの意欲や動作の妨げになります。
例えば異性が居る前での着替え、複数人居る前でのオムツ交換やトイレ誘導の大きな声掛け、無理矢理の着衣交換や勢いの良い移乗など人によって苦痛、恐怖に感じることは異なりますが少なからず「〇〇をされたら嫌な気持ちになる」ということはほとんどの人が同じ考えです。
苦痛や恐怖心を抱かせてしまうと利用者さんと信頼関係が築けないどころか利用者さんの間であなたの悪い噂が広がってスタッフともイマイチな関係になってしまいます。
④声掛け
利用者さんに何かをする時は必ず声掛けをすることが大切です。
スタッフ側は流れ作業のように会話をしながら洋服を脱がせたり、利用者の体を起こしたりなどしてしまいがちです。
ですが認知症の人からするとこんなことをされたら恐怖でしかないですよね。
知らない人がいきなり来て勝手に洋服を脱がされたり体を起こされたり。
認知症の利用者さんでなくてもこれをされたら不快でしかありません。
声掛けをして同意を得ていない状態での介助・介護は利用者さんのことを不快にさせてしまうだけではなく信頼を損ないます。
なので、1つ1つの動作に対して声掛けをすることは介護をする上で必須です。
⑤体を触る時は優しく
介護施設に入居している人に限らず高齢者は非常に皮膚が弱いです。
そして骨も脆いため力加減を間違えたり、普段友達や家族にやっていることをやってしまうと表皮剥離やアザ、骨折をしてしまいます。
なので利用者さんの身体に触れる時はいきなりガッと掴んだりせず、手のひら全体で体に触れる面積を大きくして触ることが大切です。
利用者さんの足や腕を動かす際も片手で行わず、両手で優しく支えながら動かすと怪我等の防止をすることができます。
⑥身体状況や体調に合った介助
高齢者は日によって体調が大きく異なります。
昨日は凄く元気だったのに今日はあちこち痛がっているなんてこともよくあります。
そのため毎日同じ介助・介護方法をするのではなく、その日の身体状況や体調に合わせた介助・介護方法が大切です。
“できない部分を介助する“というスタンスが望ましいです。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
動きの技術より、心の技術の方が意外と難しかったりします。
ですが心の技術も介護の仕事をする上で必須な技術です。
「何をされたら嬉しいか?」「何をされたら不快に感じるか?」を考えながら仕事をすると常に利用者さんのことを考えた接し方ができます。
初めは動きの技術でいっぱいいっぱいになってしまうかとは思いますが、動きの技術同様心の技術も介護職には必須の項目になるので忘れてはなりません。
利用者さんはもちろん同じ職場で働くスタッフから信頼・好かれる介護スタッフは動きの技術と心の技術の両方ができる人です。
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