大学病院といえば、最先端の医療に触れられる場です。そんな現場でバリバリ働くことを夢見て、看護師となる方も大勢いらっしゃることでしょう。
ですが、厳しい現場ゆえに、就職がうまくいくか心配な方も多いのではないでしょうか。大学病院の看護師になるためには、どのような準備が必要なのか、お伝えしたいと思います。
1.これから看護師を目指す場合
〇大学病院の附属の看護学科や看護学部に入学しよう
もし、これから看護学科へ入学して看護師を目指したいと思っているなら、ぜひ付属大学への入学をお勧めします。なぜなら、内部就職者は、本人にとっても、病院にとっても、有利な点が多いからです。
まず、学生時代から、実習のたびに病院内に入り、さまざまな現場の様子を見ることができます。どれだけ体験談を調べたり聞いたりしたとしても、やはり自分の目で現場を見ることには適いません。
就職後、どの科への配属を希望するかを聞いてくれる病院も多い中、学生時代から院内のさまざまな科の様子を見ることができるのは、大変お得です。
「厳しいとは聞いていたけど、なんだか頑張れそう」や「ここで私が働くイメージができない」など、言葉では表せられないような直観を持つこともあります。また、学生生活を送る中で、サークル活動や部活動を通して先輩との交流を持つことがあると思います。
先輩の中からも附属の大学病院に就職する人も出てくると思うので、リアルな経験談を聞かせてもらうこともできます。
また、実際に就職した際には、たとえ同じ科に配属とならなかったとしても、「あの先輩がこの病院のどこかで働いている」と思うだけでも、随分心強いものです。サークル活動には、現役のOBやOG、つまり現役の医師や看護師が度々顔を出してくれることがあります。新卒で就職してからずっと同じ病院で勤務しているのいう医師や看護師も多いため、中には医局長がサークルの打ち上げに参加されることもあります。
このような形で、さまざまな点から病院内の先輩と繋がれる可能性があります。さらに、同級生の中からも一緒に内部就職する仲間が多いため、何かと心強く、一緒に頑張っていくことができます。
また、病院からしても、内部就職者は大変貴重です。ある程度院内の設備や配置を理解していること、特に、電子カルテは意外と病院によって操作が異なるため、就職後すぐにある程度電子カルテが使用でき、情報収集ができることは、結構役に立ちます。
とはいえ、大学の看護学部や看護学科は、比較的学力レベルが高く、受験の時点で結構大変です。そんな方におすすめなのが、付近の看護学校を調べることです。
〇就職したい大学病院付近の看護学校に入学しよう
大学病院は、付近の看護学校からの実習を受け入れていることも多いです。
その場合は、上記のように学生時代から院内に入ることができるため、内部の様子を目で見ることができます。
また病院側も、ある程度の人数が就職することを見越して実習を受け入れていることが多いため、就職先として選ぶ人も多くなります。
入学を検討している看護学校の実習先については、入学説明会などで「実習はどの病院に行きますか」とはっきり確認して大丈夫です。というのも、実習受け入れ先がなく、宿泊を覚悟で遠方の病院まで行く学校や、「この病院に就職する」という約束のもと入学する学校もあるからです。
これらの情報を知らずに入学してしまうと、ただでさえつらい実習が数週間ホテルに宿泊しながらこなさなければならなかったり、就職したい病院があってもその希望が通らなかったりすることもあります。学生期間の半分ほどは実習なので、実習先の情報が気になるのはもっともです。はっきり聞くことは失礼にあたらないので、ぜひ確認しましょう。
ただし気を付けたいのは、前年の実習時の様子や就職人数などによって、実習先の病院が急に変更になることがあることです。ですので、確実にお目当ての大学病院で実習できるとは限らないことを心得ておく必要があるでしょう。
卒業を控え、就職先を探している場合
これから新卒看護師として大学病院に就職することを考えている場合は、外部からの就職者の割合を確認しましょう。そのためには、病院の関係者と連絡をとる必要がありますが、以下の方法をお勧めします。
〇インターンシップに参加しよう
就職したいと思っている病院が、自分の希望と本当に合致しているのかは、やはり実際に自分の目で見るのがいちばんです。インターンシップに参加すれば、あたかも本当の新人看護師のように病棟に入って、内部の様子を見せていただくことができます。基本的には、どの科を見学したいかと希望を聞いてくれる病院が多いと思うので、自分の希望する科を見ることができます。インターンシップで注意したいのが、開催時期です。春から夏にかけての平日に開催されることが多いため、学校との兼ね合いでなかなか参加できる日程がないことがあります。また、実際に病棟に入っていくため、人数制限があり、人気の病院はすぐに予約が埋まってしまうことがあります。1日でも予定があえば、後回しにせずまずは参加してみることをお勧めします。
〇就職説明会に参加しよう
インターンシップに行きたかったけど、参加人数に限りがあったり、日程調節が難しかったりして、参加できなかったという方には、就職説明会をお勧めします。土日に大都市で開催されることが多い合同説明会は、病院ごとにブースに分けられており、それぞれのブースで病院の上司や先輩の話を聞くことができます。大抵、質問を受け付けてくれるので、就職者の割合だけでなく、他にも聞きたいことを直接聞くことができます。
〇学生課に相談しよう
インターンシップも就職説明会も、参加が難しい場合には、学校の学生課に「この病院に就職したい」と相談する方法があります。過去にその病院に就職した先輩の情報を持っていることが多いため、参考までに教えてもらうことができます。ただし、学生課が把握している内容だけに限られるので、内容も不十分で、信頼性も低いと考えておいた方がよいでしょう。
3.転職する場合
〇就職説明会や見学会に参加しよう
転職者向けの採用試験や説明会は、随時行っているところも多くあります。なので、日程によってはマンツーマンで見学させてくれることもあります。
まずは説明会や見学会に参加し、院内の様子を確認すること、自分のこれまでの経験について話し、どのようなサポートをしてもらいたいと考えているか、どのようなサポートを受けられるかをしっかり確認しましょう。
これまで勤務したことのある科であっても、病院が変われば、処置の方法や使用物品など、戸惑うことは多々あります。経験途中でも転職であれば、まだまだサポートを必要としていることも多いでしょう。しかし、中途採用は、即戦力を求められている場合があります。そのため、プリセプター制度などのサポートを受けることを希望していても、希望通りにならないこともあります。自分と病院の要求することが合致するかどうか、しっかり見極めてから採用試験を受けるようにしましょう。
大学病院の採用試験
大学病院とはいえ、採用試験に大きな特徴はありません。就職したい病院の採用案内を読み、どのような試験方法か、試験内容か、過去の試験結果などを確認しましょう。試験内容として多いのは、専門科目、面接、小論文です。専門科目は、国家試験を合格するレベルであれば問題ありません。また、面接は、自身の看護観や看護師になりたいと思ったきっかけなどから、なぜこの病院へ就職したいのかを確認されることもあります。また、どの科への配属を希望するかを確認されることもあります。採用試験までに、なぜこの病院に就職したいと思ったのか、どの科への配属を希望するかをしっかり考えておきましょう。小論文は、ある程度書き慣れておくと心強いので、学校で添削してくれる教員がいれば見てもらうのがよいでしょう。小論文を添削してくれる予備校もあるので、そちらの利用も検討することをお勧めします。
まとめ
憧れの大学病院への就職が、少し身近に感じられましたか?
大学病院だからといって、特別準備しなければならないものはありません。一般の病院と異なる点は、附属の看護学校があるということです。就職前に、お目当ての病院内の様子を知っていること、上司や先輩、同僚に知り合いが多いことは、結構心強いものです。とはいえ、大学病院は採用人数が多く、外部からの就職者も多くなります。ひとりで飛び込む場合でも、同じ境遇の人は必ずいます。大学病院だからと気負いせず、自分らしく頑張りましょう。
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