訪問看護師を目指す時には、訪問看護師と病院看護師はどんなところが違うの?と疑問や不安を持つ人も少なくありません。そこで今回は、どんなところが違うかというポイントも含め、訪問看護師になるためのヒントをご紹介していきます。
訪問看護師は、在宅医療を担う看護師のことです。
病院看護師は病院で働きますが、訪問看護師は、患者さんや利用者さんのお宅を訪問して働くのです。看護師という立場は同じでも、働く現場が異なるので、看護師としてのケアのやり方などには違いが生じます。またそのケアのやり方に戸惑いを覚える人もいます。しかし、今は入院しても在院日数を減らす傾向にある医療現場で、在宅療養をするには訪問看護師のかかわりは最重要事項です。そこで今回は訪問看護師になる方法とそのためにはどのようなことを心掛けるべきかということをご紹介していきます。
・訪問看護の現場には、医師がいない
例えば病院で働くときには、医師が常に院内にいるので、もしも状態が変化したら?指示を仰ぎたい時には医師に直接電話をして確認をすることも可能です。
だからこそ病院で働く場合には、看護師として安心して勤務できると考える人も少なくありません。
しかしながら訪問看護の場合はどうでしょう。利用者さんのお宅に行きますが、そこには利用者さん、家族がいるだけで医師はいません。もしも熱や血圧を測り異常があったらどうするべきなのでしょうか。何か疑問点があったら誰に相談するべきなのでしょうか。そこには医師はいないのに。
そんな不安があるので、病院の看護師は安心して働くことが出来るからいいけれど、訪問看護師になるのは不安という人も少なくありません。しかし利用者さんにもそれぞれ主治医というのはいるのですね。その主治医というのは、もちろん病院の勤務医であることもあれば、在宅診療を中心に行っている医師である場合も。また遠方の病院の医師が主治医であることもあれば、すぐ近隣の病院の医師が主治医であることも。そのため何か問題があれば、利用者の主治医に相談するということが可能です。
例えば、外科などで手術中のため主治医が対応できないということもありますね。また病院によっては、医師に直接電話をしないでほしいというところもあります。しかしながら、訪問看護師というのは、主治医から訪問看護指示書というものをいただいてケアを提供しているのです。そのため、基本となるのはすべて医師なのです。報告するべき相手も医師なのです。
これを念頭に置いて常に訪問看護師として動いていれば、こんな時どうしよう、今こんな状態をどうしたらいいかというときには、自然と医師に相談する、報告をするという風に考えることが出来るでしょう。また病院の地域連携室を通して医師に連絡を取ってもらうということもできるでしょう。
このような訪問看護師の仕組みを理解していれば、働くときの不安が少なくなるのではないでしょうか。そしてもっと自信をもって地域で訪問看護師として働くことが出来るのではないでしょうか。つまり訪問看護師になるためには、もう少し訪問看護師の仕組みなどを理解しておくことが大切です。
・訪問看護師以前に人として
訪問看護師は、在宅に訪問してケアを提供しますね。
独居のお宅の場合、私たちが鍵の在処を教えていただき、伺ったタイミングで玄関から入るということもありますが、通常の場合は、ベルを鳴らして訪問したことを知らせた上で、室内に入っていくことが大切ですね。
また自室までどんどん入ってきていいといわれても、脱いだ靴をしっかりそろえ、部屋のものに触れたりしないように注意して自室に入っていきます。
しかし訪問看護師の中には、それが出来ない人もいるのです。例えば慣れた家では、ベルも慣らさず声だけちょっとかけてどんどん入っていく人もいれば、靴を脱いだら脱ぎっぱなしという人も。また訪問看護師は常に重たい荷物を持っているのですが、その荷物をバサッと広げてしまう人もいます。
このような態度を第3者が見たらどう思うでしょう。いつもなれているからといって、失礼な態度は許されません。また利用者が声を出して何も言わないまでも、心の中で「この看護師は…」と考えていることもあるのです。そのような利用者のお宅に訪問する、受け入れる気持ちを考えると、決して失礼な態度をとることは許されないのです。
つまり訪問看護師になるためには、訪問看護師という以前に、人としてどのように対応するべきなのかということをよく考えて訪問する必要があるのです。さらに自分がお客様として訪問する場合には、どのようにふるまうべきかということをよく考えて訪問する必要があります。
著者である私は現在訪問看護師として働いていますが、訪問し自宅に伺う、そして寝食をするスペースまで入り込んでいくということを考慮して、訪問をする際には、手洗いをすることは必須ですが、必ずエプロンをする、また靴下を交換する。さらに訪問前にペットのいるお宅を訪問した際には私たちの制服にペットの毛がついている可能性が高いので、コロコロクリーナーで制服の汚れを取るということまでやっています。
そこまでして初めて訪問看護で利用者さんのお宅に伺うのです。やはり第3者が自宅に行くということに抵抗を感じる利用者さんもいます。そのため、私たちは人としてどのように接するかということを常に考えてふるまう必要があると思っています。
・看板を背負って歩く
病院で働くときって、院内だけ、病棟だけが仕事の場所になります。そのため病棟に入院中の患者さん、その家族、さらに面会者だけがかかわる人ですね。
自分のユニフォームに名札がついていたとしても、あまり気にする人はいないのではないでしょうか。
しかし訪問看護師の場合は、利用者のお宅まで車で移動するということが少なくありません。場所によっては、自転車やバイクで移動というところもあるでしょう。車で移動する場合、社用車での移動になりますが、その場合車の側面には大きく事業所名がかかれていることが多いです。
つまり私たちは、常にここに所属する人間であるということをみんなに伝えながら歩いているのです。
私たちはハンドルを握り運転していると、つい自分の車の感覚に陥ってしまうこともあります。しかしながら、周りから見ると事業所名が入っているので、すぐにわかるのです。そのような意識を持っていると、常に交通マナーは守らなくてはいけない、飛ばしすぎや迷惑運転はダメだという意識が働きますね。自然と優良運転者になるのです。
このように私たちは運転をして移動するということが、事業所の看板を背負っているということにつながることがわかります。ハンドルを握ると人がかわるという人も時々いますが、一社会人として、また事業所の看板を背負っている訪問看護師としての意識が重要です。
ここまで訪問看護師になるために必要なことを見てきました。
まずは訪問看護師になる以前に、人間力を磨くこと。例えば、人としてどのようにふるまうべきなのか、社会人としてどのような訪問マナーが必要かということをしっかり勉強するべきです。
次に大切なことは、訪問看護師として働く場合、常に看板を背負って歩いているということを意識しなくてはいけません。
病院にいる時には、その他大勢の中の一人でしかなかった看護師であっても、訪問看護師の場合は、一人一人が独立して訪問していくため、事業所の看板を背負って歩いているということを意識することが大切なのです。
最後に訪問看護師になるには、決して不安を感じなくてもよいということです。病院であれば医師がいるけれど、在宅の中には医師はいないと思う看護師も多くいて、不安も大きく感じています。しかしながら、在宅医療を行う上で医師との連携を図ることはとても重要なことです。またどの利用者にも主治医がいるので、何かあった時には必ず相談することはできます。そのため強い不安を感じる必要もありません。
訪問看護師になるための方法をご紹介しました。病院で働く場合と、在宅で働く場合では少し看護師の働き方が違いますね。そのため、不安の感じることも多いかもしれません。しかしながら、不安ばかりを強く持つのではなく、前向きに取り組んでいくこと、そして訪問看護師になりたいという気持ちを強く持つことが大切だといえます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。病院看護師の訪問看護師の違いにも言及しながら、訪問看護師になるために必要なヒントをご紹介しました。未知の世界に飛び込むことは簡単ではありませんが、基本的には看護師の基本が出来ていれば問題ありません。自宅に訪問する、医師がいないという不安もありますが、これからの在宅を担う訪問看護師の世界に飛び込んでみませんか?
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