みなさんは正しい介護の技術をご存知ですか?
正しい技術ができていないと毎日の業務で苦労します。
また、場合によっては利用者さんのことを不快にさせてしまうことだってあります。
今日は介護施設で働くには必須の技術とコツを分かりやすくご紹介します。
【1.体位交換】
体位交換とは、着替えやオムツ交換、自力で寝返りを打つことができない利用者さんに行ったり、褥瘡や床ずれなどの血行障害等を防ぐ目的のために行うものになります。
利用者さんの身体状況によってはベッドから車椅子への移乗時にも体位交換の動作を行う場合もあります。
ショートステイや特別養護老人ホーム、老人保健施設などに勤める場合体位交換は毎日行うので必須の技術になります。
体位交換の正しいやり方はこちらです。
①介護する人が寝返りをする側に立ち、ベッドに片膝をつく
②利用者さんの両膝を片足ずつゆっくりと立てる
③利用者さんの両腕を胸の前で組む
④利用者さんの頭を少し下げて視線を寝返りする側に向けてもらう
⑤膝と肩を支えながらゆっくりと手前に引く
体位交換のコツとしては利用者さんとベッドの接地面積を小さくすることです。
接地面積を小さくすることで介護をする人よりも大きな身体の利用者さんでも簡単に無理なく体位交換をすることができます。
【2.起き上がり介助】
起き上がり介助とは、食事やトイレ誘導などでベッドから利用者さんが起きなくてはならない時に必要な技術になります。
介護用語でいうと“離床“です。
全介助が必要な利用者さんの正しい起き上がり介助のやり方はこちらです。
①寝返りをする方向とは反対側に利用者さんの身体をずらして腕をつくスペースを確保
②起き上がる側に寝返り介助を行い、利用者さんの身体を横向きにする
③介護をする人は利用者さんがベッドの端に座った時に身体を支えられる位置に立つ
④介護する人の腕を利用者さんの首の下から差し入れてもう片方の腕は利用者さんの膝に添える
⑤利用者さんの両足をベッドからおろす
⑥利用者さんの上半身を起こして肘立ちの状態にする
⑦てこの原理でお尻を軸にして頭が孤を描くように起こす
⑧ベッドの端に利用者さんが深く座ったら倒れないようにしっかりと支える
起き上がり介助のコツとしては適度なスペースを作ることです。
しっかりとスペースが作れていないと身体を横にした時や上半身を起こす際にベッド柵等に利用者さんの顔や頭をぶつけてしまうので注意が必要です。
【3.移乗介助】
移乗介助とは、ベッドから車椅子、車椅子からベッドに移る際に必須となる技術です。
車椅子を利用している利用者さんが居る介護施設であれば毎日何十回、何百回と行う動作になります。
起き上がり介助と移乗介助は基本的にセットだと思ってください。
車椅子からベッドに移る際もやり方はほとんど同じです。
では、移乗介助の正しいやり方はこちらです。
①利用者さんの両足が床につくようにお尻をずらし浅めに座ってもらう
②利用者さんの両腕を介助する人の肩に回す
③介助をする人は足を大きく開いて重心となる腰を低くし、両腕を利用者さんの背中に回す
④介助をする人の肩を利用者さんの胸に近づけて前傾姿勢で立ち上がる
⑤介助をする人は車椅子に近い方の足を軸に車椅子に向き合うように方向転換する
⑥利用者さんにアームサポートを掴んでもらいながらゆっくりと座らせる
⑦フットサポートを下ろして利用者の両足を乗せる
移乗介助のコツとしてはベッドよりも車椅子の座面を低くすることです。
そうすることで利用者さんを抱えたままスムーズに移乗介助を行うことができます。
【4.オムツ交換】
オムツ交換とは、その名の通りベッド上で行うオムツの交換になります。
夜勤のある介護施設の場合、日中はパットだけだけど就寝時はオムツという利用者さんも中には居ます。
そのため夜勤のある介護施設の場合夜勤中のオムツ使用者は半数以上居ると思った方が良いです。
スタッフのオムツ交換がいい加減だと尿失禁や便失禁の原因となり、着衣交換が必要となって仕事量も増えます。
正しいオムツ交換・オムツ当てをすることで尿失禁や便失禁を防ぐことができ、利用者さんはもちろんスタッフも仕事量を抑えることができてお互いに良い気持ちになります。
では、正しいオムツ交換のやり方はこちらです。
①広げたオムツの中心を利用者さんの背骨に当てる
②腰の中心から左右にオムツを伸ばしておく
③利用者さんの腰の下にオムツを差し込む
④腰の下に差し込んだオムツを広げる
⑤仰向けになってもらう
⑥奥側からオムツを引き出す
⑦利用者さんの足の間からオムツを縦半分に折った状態で引き出して広げる
⑧鼠径部に合わせて左右に1度ずつオムツを引く
⑨オムツの中心を身体の中心線に合わせる
⑩オムツの前側を左右から腰の下に差し込む
⑪下のテープを斜め上向きに貼る
⑫上のテープを斜め下向きに貼る
オムツ交換のコツとしては、利用者さんのことをあっちに向かせたりこっちに向かせたりとゴロゴロさせずにおむつの交換をすることです。
また、鼠径部にオムツをしっかりと当てることで横漏れを防ぐことができます。
最後のテープ貼りでは、きつくしすぎると利用者さんが苦しくなってしまうだけでなくテープが剥がれてオムツのズレに繋がり、反対に緩すぎてしまうとあちこちから尿や便が漏れてしまう原因にもなるので適度なきつさが理想的です。
【5.食事介助】
食事介助というのは、自力で食事を食べることができないもしくは難しい利用者さんに行う技術になります。
介護度が高い利用者さんが居る、多い介護施設では毎食時食事介助が必要です。
食事介助の正しい方法はこちらです。
①利用者さんを安全な体制に確保し、食事用エプロンをかける
②介助をする人が利用者さんの横に座る
③食事の前に水分補給をさせる
④水分の多い食べ物から与える
⑤主食・副食・水分とバランスよく交互に与える
⑥食事を急がせず利用者さんのペースに合わせる
⑦食事終了後に摂取量を確認
食事介助のコツとしては一口は少な目で、利用者さんのペースに合わせることです。
多めの一口で次から次へと利用者さんに与えていては苦しくなってしまいますし、これが原因で窒息なんてことも有り得ます。
食事介助の際は立って介助しては絶対にダメですし、飲み込んだことをしっかりと確認してから次の一口を与えてください。
【6.入浴介助】
入浴介助とは、利用者さんの身体の清潔を保つために行う技術になります。
この時は利用者さんの裸を見ることができるため、普段洋服を着ていて気が付きにくい皮剥けや内出血といった部分を発見できる重要な場でもあります。
入浴介助の正しい方法はこちらです。
①利用者さんの足元からお湯をかける
②洗髪
③洗身
理想的な洗う順番 上半身:顔?首?手先から腕?胸?背中 下半身:足先?ふくらはぎ?太もも?お尻?陰部?肛門
入浴介助のコツとしては①の時に利用者さんに温度をしっかりと確かめることです。
いきなり冷たい水掛けたり、熱すぎるお湯を身体にかけてしまうと利用者さんにとって身体への負担が凄く大きくなります。
また、浴室は床が滑りやすかったり、脱衣所との温度が激しくてヒートショックを起こしやすい等危険が多い場所なので細心の注意を払ってください。
【7.着脱介助】
着脱介助とはお風呂に入る際の洋服の脱ぎ着や、パジャマから私服への着替え、私服からパジャマへの着替えなど洋服を脱ぎ着させる技術になります。
入浴や夜勤のある介護施設では毎日行う必須の技術です。
では、正しい脱衣のやり方と着衣のやり方はこちらです。
・脱衣
①利用者さんを安定した場所に座らせる
②洋服を脱がせやすいように裾をたくし上げておく
③健側の腕を裾から抜く
コツとしては無理矢理脱がせないことです。
無理に腕を引っ張ったりすると利用者さんの腕が洋服に擦れて皮剥けの原因になります。
少しきつい洋服を着ている場合は無理に腕を引っ張らず、擦れそうな部分は手を添えて利用者さんの皮膚が擦れないようにしましょう。
・着衣
①患側の腕から洋服の袖口に手を入れて迎え手をしながら腕を通す
②健側の腕を袖に通す
③頭を洋服に通す
コツとしては患側の腕に無理をさせないことです。
患側の腕を無理に洋服に通そうとすると骨折などの大怪我に繋がります。
なので、着衣する際は患側の腕を優しく持ってスムーズに腕を通すことが大切です。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
普段何気なく行っている術でも、「ここはやっていなかったな…」「○○した方が良いんんだ!」と感じた部分があったかと思います。
介護の仕事というのは集団生活であり、接客業です。
正しい介護技術を身に付けることで利用者さんがより過ごしやすくなるのはもちろん、仕事のやりやすさからスタッフとの関係性も良くなります。
介護で必須の技術は毎日行うものなので“慣れ“ではありますが、間違ったやり方ではなく正しいやり方の技術を身に付けて素晴らしい介護スタッフを目指してください。
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