みなさんは自分が行う移乗介助の方法に対してどの位の自信がありますか?
“移乗介助“というのは介護施設で働く上で必須とも言える技術になります。
今回はそんな移乗介助について正しい方法や間違った方法、やってはいけないことなどを分かりやすくご紹介します。
【1.毎日何十回も行う移乗介助について】
介護施設に勤務すると1日に何十回、何百回と移乗介助を行います。
特別養護老人ホームの勤務ともなると車椅子を利用している方が非常に多く、例えば20人の利用者を2人のスタッフで面倒を見るとします。
早番・遅番・夜勤に関係なく1つの勤務につき少なくても20回以上は移乗介助を行います。
「2人体制の勤務なのにどうして1つの勤務で20回以上も移乗介助を行うの?」と思った方も少なくないでしょう。
早番・夜勤の場合起床介助があります。
利用者をベットから車椅子に移乗し、洗髪や着替えなどを行います。
遅番・夜勤の場合は就寝介助があります。
これはパジャマに着替えた後に車椅子からベットに移乗し、就寝の準備になります。
この起床介助と就寝介助以外にも日中は2時間に1回程のペースでオムツ交換もあります。
自力でトイレに行けない方は必ずオムツ交換があるため、オムツ交換の度に車椅子からベット、ベットから車椅子への移乗介助が必要になります。
こうしたことから特に特別養護老人ホームでの勤務となると1日に何十回、何百回もの移乗介助が必要になるのです。
ちなみに、自立している利用者の多いデイサービスやケアハウス、ショートステイでも必ず何人か車椅子の利用者は居ます。
介護施設に勤務するということは、必ず移乗介助ができなくてはならないのです。
【2.間違った移乗介助の方法をするとどうなるの?】
間違った移乗介助の方法や、力づくで行う移乗介助の方法は自分の腰を痛めてしまうだけではなく、介助される利用者にも負担がかかってしまいます。
「介助する方に負担がかかってしまうのは分かるけれど、どうして介助される利用者にも負担がかかるの?」と疑問を持った方も居るでしょう。
実は間違った移乗介助の方法や力づくで行う移乗介助の方法だと、介助をされる利用者側は力の入りにくい部分にスタッフの手が食い込んでしまったり、骨を押されたりと苦しい思いをします。
もっと分かりやすく言うと、移乗介助の下手なスタッフに介助をされる利用者は毎回体が痛くて苦しい思いをしているということです。
正しい移乗介助ができていないと最悪の場合利用者の表皮剥離やアザ、骨折の原因にもなります。
もちろん利用者だけではなく、間違った移乗介助の方法を続けているとあなたの腰にも負担がかかりヘルニアになったり、腰痛が原因で介護の仕事を続けることが難しくなります。
こうしたことから介護施設で働くには正しい移乗介助の方法を知る・行うことが大切です。
【3.正しい移乗介助の方法とコツ:準備編】
移乗介助をするには必ず“準備“が必要になります。
その準備とは、フットサポート・レッグサポートを上げるまたは外すことです。
これが下がったままでは利用者を移乗する時に非常に邪魔です。
この準備を忘れたり、怠ると利用者の転倒や怪我の原因になります。
利用者の体に合わせてアームサポートやサイドガードを上げても問題ありません。
ただ利用者を移乗させるということではなく、転倒や怪我をさせないための準備です。
これらの準備ができたら、最後の準備に取り掛かります。
最後の準備は車椅子とベットを近づけることです。
ベットから車椅子、車椅子からベットへの移乗介助に関係なく、どちらの移乗介助でも車椅子とベットを近づけることが大切です。
車椅子とベットを近づける理由としては転倒防止はもちろんお互いに負担をかけないためです。
利用者が車椅子に乗っているということは脚に力が入らないもしくは自力で歩行ができないからです。
脚に力が入らない利用者を抱えて移乗させるとなると当たり前のことながらスタッフに負担はかかりますし、利用者にも負担がかかります。
この負担をなくすためにもベットと車椅子を近づける必要があるのです。
ちなみに、ベットと車椅子の距離が近すぎると利用者が車椅子やベットに足をぶつけてしまう原因になるので、移乗介助の際はベットと車椅子の間にこぶし1個分をあけるとやりやすいです。
【4.正しい移乗介助の方法とコツ:人編】
・全介助の場合
①利用者を前傾姿勢に座らせる
この時前傾姿勢にし過ぎてしまうと転倒、ずり落ちの原因になるので気を付けてください。
②自分の膝を利用者の膝に当て、アシストしながら車椅子へとスライドさせる
この方法は体重が軽い利用者に限ります。
自分よりも体重が重い利用者の場合は、自分の片方の膝を利用者の両膝の間に入れ、利用者の身体を抱えるように持ち上げて車椅子またはベットに移乗させると簡単です。
③深く座り直す
ベットから車椅子に移乗させる場合、移乗させたままでは利用者の座りは浅くずり落ちの原因になります。
後ろから利用者を持ち上げてしっかりと深く座らせることが大切です。
・片麻痺の場合
①車椅子をベットに近づける
この時麻痺側に車椅子またはベットを近づけます。
②健側の手で手すりを掴んでもらい、麻痺側の足を半歩前に出す
利用者の身体から近すぎない位置の手すりを掴んでもらうのがコツです。
あまりに近すぎる位置の手すりを持ってしまうと立ち上がるのに力が入らず苦労します。
③利用者の方や腰に手を添えて上体を起こす
片麻痺とはいえ健側は自由に動かすことができるため利用者のペースに合わせ、サポート程度で問題ありません。
スタッフのペースにしてしまうと利用者は自分のペースを乱され、転倒やふらつきが起きやすくなります。
④真っ直ぐ立ってもらう
転倒防止のために利用者に真っ直ぐ立ってもらいます。
スタッフは万が一を考えて手を添え、支える程度で問題ありません。
⑤健側のつま先を手すり方向に向ける
ベットから車椅子に移乗する場合、利用者が車椅子に座りやすいよう健側のつま先を手すりの方向に向けます。
⑥ゆっくりと腰を下ろして車椅子に座る
この時もスタッフは支える程度で問題ありません。
⑦深く座り直す
全介助の移乗介助と同様、転倒やずり落ち防止のために深く車椅子に座り直してもらいます。
【5.移乗介助時にやってはいけないこと】
移乗介助時にやってはいけないことは大きく分けて3つあります。
1つ目は“ズボンを持つ“です。
自分よりも体が大きいもしくは体重が重い利用者を介助する場合安定させるためにズボンを持ってしまうスタッフが意外と多いですが、どんな状況であれ利用者のズボンを持って移乗介助することはよくありません。
ズボンを持つと当たり前のことながらオムツやズボンが食い込んでしまいますし、皮膚が擦れてしまう原因にもなります。
そしてなんと言ってもやられている方は痛いしズボンのゴムは伸びるしで不快でしかないですよね。
自分よりも体が大きいもしくは体重が重い利用者を移乗介助する自信がない場合は、他のスタッフを呼んで2人体制で移乗介助を行うなどして利用者を不快にさせないことが大切です。
2つ目は“移乗介助のスピードが速い“です。
移乗介助のスピードが速いと利用者は怖いですし、不安でしかありません。
健康なスタッフからしたら速いとは思わない動作でも、介助が必要な利用者からしたら速いのです。
仕事に追われているとつい移乗介助のスピードが普段よりも早くなってしまいがちですが、利用者のことを考えたスピードで移乗介助を行うことが大切です。
3つ目は“勢いよく座らせる“です。
ベットから車椅子、車椅子からベットへと移乗介助をした時に無意識に勢いよく座らせてしまっていたり、体重が重い利用者ともなると「どっこいしょ!」という感じで勢いよく座らせてしまいがちですが、勢いよく座らせる行為は利用者の身体に凄く負担がかかりますし、尾てい骨の骨折や痛みの原因にもなります。
ゆっくりと静かに座らせることが利用者の健康・状態維持に繋がります。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
移乗介助のアレコレについてよく知っていただけたかと思います。
これから介護施設で働くのに移乗介助が苦手な方や不安な方はこれを機に是非お家で家族や友達と練習してみてはいかがでしょうか。
どんな人でも初めは苦戦するものです。
回数をこなして利用者にも自分にも負担のない正しい移乗介助の方法を身に付けていきましょう。
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