介護の仕事に興味がある、介護業界に転職したいと思っている方に『認知症の方と関わるコツ』をお教えします

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#1093 2020/06/01UP
介護の仕事に興味がある、介護業界に転職したいと思っている方に『認知症の方と関わるコツ』をお教えします
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介護をする上で『認知症の方』との関わりは避けては通れないもの。ですが、認知症の方との接し方がわからないと、なかなかコミュニケーションが取れず、介護する上で一番大切な信頼関係を築くことはできません。
そこで、介護の現場で今実際に働いている私が、これから介護の仕事をしたいと思っている方、転職したいと思っている方に向けて『認知症の方と関わるコツ』を紹介していきたいと思います。

タイトル・概要の通り『認知症の方と関わるコツ』を順に紹介していきます。
(ちなみに、私は今デイサービス【日中利用者様と過ごして機能訓練のためのレクリエーションや体操をする施設。入浴もする。利用者様の送迎付きで職員も車の運転をする】で働いています。利用者様の内、90%の方が認知症を患っています。)

1,『まっさらな状態』はあなたと同じ

認知症の方は『はじめての場所』に強い不安感をもっています。初利用の際など、落ち着きなく過ごされることも多くみられます。職員の立場からすると『いつもの職場』ですが、利用者様にとっては『何をするかよくわからないはじめての場所』であり、ここの認識ができていないと『どうやって早く慣れてもらうか』だけにフォーカスしてしまいます。『楽しく過ごしてもらうことだけ』を考えてしまい、無理にレクリエーションに参加してもらおうとして感情的になる利用者様もいらっしゃいます。そして『次からはもう来ない!』となる可能性も無いわけではないです。
でもせっかく来たのだから、楽しんでもらいたい……そんな矛盾に悩むこともあるかもしれません。
でもよく考えてみてください。
誰だって『はじめて』の経験はありますよね?
これを読んでいる方も転職が『はじめて』かもしれない。介護の仕事が『はじめて』かもしれない。社会人が『はじめて』かもしれない。そう考えると、はじめての場所に来た利用者様と大差は無いはずです。
そんな利用者様を『初勤務の時の自分』だと思って接してみてください。そしてどんな言葉をかけられると嬉しいと感じますか?職員がどんな態度や姿勢だと『ここなら長くいられる』と感じますか?
間違っても最初からあれやれこれやれ、なんて言いませんよね。『来てくれてありがとうございます』『わからないことがあったら何でも聞いてくださいね』といったような受容の姿勢が大切だとわかると思います。例えるなら、初勤務の時のまっさらな状態の自分と、目の前の利用者様は同じなのです。ぜひ『大丈夫ですよ』と声をかけてあげてみてください。
このように、これから介護業界に転職したいと思っている方、介護の仕事をしたいと思っている方は、認知症の方ははじめての場所に強い不安感があるということは覚えておいて損はありません。

2,頭ごなしに否定しない

医学的な観点から、認知症は『脳の病気』とされています。そのため、私たちにはなかなか理解できない行動をすることがあります。
実際に私が経験したものですが……例えばこんな場面、あなたはどう思いますか?
デイサービスでは15時に利用者様たちはおやつを食べます。皆さん喜んでくれる至福の時間なのですが、Aさんだけは違いました。じーっとおやつを見つめたまま、口にしようとしないのです。何分経っても何十分経っても食べようとしない。最初はたまたま好きではなかったおやつだと思い、食べてもらおうとはしませんでした。でもそれが毎回続きました。ご家族様に伺っても『好き嫌いは無い』と言う。ご本人に伺っても『嫌いなものではない』と言う。でもまったく食べようとしないでじーっと見つめているだけなのです。その内、他の利用者様から『気味が悪い』という声があがり、不穏な状態になるのを避けるため、別室でおやつ時は過ごしていただくようにしました。それでもAさんは召し上がらない。
職員としては、カロリー計算などもあるため、なるべく召し上がっていただかなくてはいけない。それでもAさんはじーっと見つめたまま召し上がらない。
食べ物をじーっと見つめているだけ、なんて、私たちにはなかなか理解できませんよね。でもここで『食べなきゃダメですよ』『カロリー計算があるから、食べましょうね』と声をかけても、信頼関係は結べないのです。
Aさんの真相は入浴時に判明しました。入浴時は職員と二人きりになるということもあって、利用者様も心を開きやすいのです。
どうやらAさんは子どもの頃かなり貧しい暮らしをしていて、なかなか甘い物を食べる機会が無かった。でも年に数回はAさんの母親が、家族分のケーキを買ってきてくれてみんなで感動しながら食べていた。その後すぐに母親は亡くなってしまい、親戚の家で引き取られたそうで寂しい想いをしたご経験がありました。だから甘い物を見ると、母親が亡くなった時のことを思い出してしまい、つい悲しい気持ちになってしまうとのことでした。
その後、15時のおやつの時間にAさんとご家族のお話をしてみました。最初はやはり涙を浮かべることもありましたが、最終的には『今は手軽に食べられるから、もう遠慮しなくていいんだもんね』と笑って召し上がってくれるようになりました。
いかがでしょうか?私たちにはなかなか理解できない行動ですが、認知症の方にとっては『意味のある行動』だったりするのです。
もちろん他の利用者様への配慮も欠かしてはならないのですが、頭ごなしに否定しないことは覚えておきたいポイントだと思います。

3,一緒に楽しむ姿勢でいる

認知症の方は脳機能が低下しているため『できること』が極端に少なくなっています。その『できること』の機能を維持するために、日々レクリエーションをします。レクリエーションではできることを探して、一緒に楽しむ姿勢が大切になってきます。
はたからみたら、歌や塗り絵やボール遊びなど、子どもがするようなものだと思う方もいるかもしれません。そこで職員が同様に思いながら、レクリエーションをやっていたらどうでしょうか。利用者様も『こんなのやりたくない』と嫌がってしまいます。でもそうはいっても、なかなか職員自らが楽しむ姿勢を見せるというのも、難しかったりします。では、どうすればいいのでしょうか。
レクリエーションをすると、必ず利用者様の『本質』が見える瞬間があります。例えば塗り絵。何色も色を使い分けてカラフルな作品を描く方。線をいっさいはみ出さず、緻密に塗り上げる方など、多種多様です。その部分を褒めてあげてはどうでしょうか。学校のテストとは違って、どれが正解などはありません。大切なのは『やってみる』という積極的な気持ちと『どうやって完成させようか』とあれこれ手を考えることなのですから。褒められた利用者様はやる気も増して、気持ち良くまたレクリエーションをやってくださいます。そんな状態を『楽しい』というのではないでしょうか。
一緒に楽しむというのは、職員が一方的に盛り上げることではありません。職員が利用者様の本質を見極めて、そこを声かけすることです。そこで利用者様が笑顔になってくだされば、職員だって嬉しいですよね。そしたら今度は『あなたのレクリエーションは楽しいわ』と伝えてくれるかもしれません。職員としても自信が持てて、違うレクリエーションを計画することもできるし、同じレクリエーションを工夫してやることもできます。そして一緒に過ごす時間を『楽しい』ものにしていけば、利用者様にとっても本当のリハビリテーションになります。

4,挨拶に始まり、挨拶に終わる

介護業界に転職したいと思っている方、介護の仕事をしたいと思っている方たちには改めて言うほどでもないですが、挨拶はとても重要です。
認知症の方とはいっても、やはり皆さん礼儀正しい方が多いです。介護者と利用者、の関係の前に、ひとりの人間同士だということは忘れないようにしましょう。
極端ですが、挨拶をしっかりしていれば、認知症の方も職員の存在を覚えやすいです。職員の名前はなかなか覚えられませんが『いつも元気な方でしょ?』というような覚え方をしてくれます。コミュニケーションのきっかけにもなりますよ。

まとめ

1,『まっさらな状態』はあなたと同じ
2,頭ごなしに否定しない
3,一緒に楽しむ姿勢でいる 
4,挨拶に始まり、挨拶に終わる
を、認知症の方との関わり方のコツとして紹介しました。
認知症の方は『感情』がとても豊かです。喜びは何倍にもなって示してくれるので、職員にとっても喜びになります。きちんと気を付けていれば、本当に穏やかな関係を結ぶことができます。ぜひ、4つのコツを頭の片隅に入れておいていただき、介護をしてみてください。きっとあなたの介護が利用者様の笑顔を生み、利用者様のご家族の笑顔を生み、一緒に働く同僚の笑顔を生み、どんどん広がっていきます。応援しています!

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