医療ソーシャルワーカーとして就職する際にみなさんに備えてもらいたいこと~私の経験から~

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#1072 2020/05/11UP
医療ソーシャルワーカーとして就職する際にみなさんに備えてもらいたいこと~私の経験から~
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医療ソーシャルワーカーとして新卒や転職等を機に就職し、これから医療現場で働く人に事前に備えてもらいたいことを4項目にまとめて、私の経験からお伝えさせてもらいます。

医療ソーシャルワーカーとして就職する際にみなさんに備えてもらいたいこと~私の経験から~

医療ソーシャルワーカー(以下、MSW)として新卒や転職等を機に就職し、これから医療現場で働く人に事前に備えてもらいたいことを私の経験からお伝えさせてもらいます。もしかしたら、みなさんにとっても当たり前のことかもしれません。大切なことなので当たり前のことでも伝えたいと考えています。この記事を通じて少しでも参考になってくれれば幸いです。

・「人」と関わる仕事だということを考える~受容する力~

MSWは「人」と関わる仕事です。人にはそれぞれ抱えている生活背景があり、支援を行うにあたって把握することで、支援のニーズを見つけていきます。性別・年齢・生い立ち・現在の家族構成・障害や疾患の有無・利用している社会的なサービス(医療・福祉・行政等)等が挙げられます。そのため、就職するにあたって事前に把握しておくべき法律や制度は多岐になってきます。
私自身も、実際にケースを担当して関わった人は未成年の年代から高齢の方まで年齢層だけでもかなり幅がありました。児童福祉法や障害者総合支援法や介護保険法等に関わる様々な制度、都道府県・市町村レベルで行っている様々な制度について把握し、支援内容に合わせて活用していく必要があり、ケース担当を新規で抱えれば抱えるほど知っておかないといけないことがあることに改めて気付かされました。就職してから、少しずつ把握していこうと思っていると次から次へと相談があるケースに対応できなくなってしまいます。就職が決まったら事前に支援で必要な法律や制度等の知識を持っておくことをお勧めします
当たり前のことかもしれませんが、私は転職前とMSWとして就職するまでの空白期間がなく、年度末退職、年度始まりで就職をすることになったこともあり、日々の慌ただしさに追われて思うように事前準備が出来ず、働き始めてから大変苦労しました。
また、社会の変遷による歴史的な背景や働く地域の地域性を知ることで「受容する力」を少なからず持つことができます。私は、疾患に対する周囲の人たちの考え方や医療機関で治療をすることについての周囲の人たちにどれくらい理解があるのかを歴史的な背景や働く地域の地域性から参考に知るきっかけを得ましたが、小中高や大学での勉強をもっとしっかりしておけば支援にも活かせたことは多くあったと振り返っています。様々な分野についての視野を日頃から広く持ち続けることも「受容する力」を養ってくれます。

・多職種の人達が関わる仕事だということを考える~報連相~

医療現場では医師・看護師・薬剤師・作業療法士・理学療法士・言語聴覚士・臨床心理師・臨床検査技師・医療ソーシャルワーカー・医療事務・管理栄養士・清掃員等…管理職・正規職員・非正規職員さまざまな職種、役職の人が医療機関を利用される方への治療、支援を行います。そのため、各々の専門分野で専門性を発揮することになります。
MSWとして1人の患者さんの支援を行う時には様々な職種の人を関わることになります。様々な職種の人達の価値観を汲み取りながら、支援目標を共有し支援を行っていく調整役の役割が求められることになります。時には意見が食い違う、支援目標を見直す、修正することもでてくるでしょう。日頃から欠かせなくなってくるには「報告・連絡・相談」の「報連相」です。私も就職してからこの「報連相」が大事であると上司から何度も何度も指摘を受けました。日頃の多職種の人達とのコミュニケーションが支援にも影響されてきます。また、MSW同士が抱えているケースについて意見交換をする、様々な職種の視点から支援を振り返る、意見をもらうことを積極的に行っていくこともより良い支援に繋げることができます。
MSWが1人で抱え込んでいても効果的な支援は期待できません。多職種の人達が関わることで支援がより良い内容になっていくことを知っておいてください。

・地域について考える~パイプを作る~

医療機関でのMSWは医療機関内だけに留まらず、地域の社会資源との関わりが地域生活に向けた支援では欠かすことはできません。MSWは地域生活と医療をつなぐ役割を担うことになりますので、院内外でのカンファレンス等の支援活動も必然的に多くなります。また、地域で生活をしている人たちへ医療機関や疾患、社会資源や、制度に関わる情報を知る機会、学ぶ機会を提供することで啓発活動を行っていくこともMSWの役割として求められてきます。
啓発活動は1度の取り組みで終わりません。個々の取り組みを長い時間かけて積み重ねていくことで地域での様々な人たちに知る機会、学ぶ機会を通じて地域生活と医療がより太いパイプで繋がっていき、治療や支援がより効果的で良い内容になっていきます。パイプが太くなるか、細くなり切れてしまうのかはMSWの働きに関わってきます。
多くの人たちと名刺交換をして知り合うことが支援の選択の幅が広がり、その人に合った支援に繋がります。私も研修会や学習会で名刺交換を行っていくなかで、その後の支援に活かせたケースが多くありました。多くの人たちと知り合い、パイプを良質でより太く頑丈なものにすることができます。

・自分自身について考える~初志貫徹~

MSWとして、1人の人として自己覚知を行うことは支援活動を行うにあたってまず自分自身で知っておくことが大切になってきます。自分の強みは何か、弱いところは何か、強みをどのように活かせば効果的な支援が行えるのか、弱みをどのようにフォローすれば補えることができるのかを知っておきましょう。
私自身も支援を行っていくなかで、自己覚知を行ってきたつもりでしたが、何度も上手くいかずに壁にぶつかってしまいました。壁にぶつかったままの状態にしてしまうとバーンアウトしてしまう危険があります。私もそんな経験をしてしまいそうになりましたが、客観的に今の自分がどんな状態になっていて、どのように対処すれば良いのかを知ることで危険を脱することが出来ました。これは1人でできる作業ではありません。同じMSWの人や他の職種の人に話を聴いてもらう、アドバイスをもらえる場に参加することで自分自身を客観的に見つめ直すことが出来ました。主観的に自分自身を知るだけでなく、客観的にも見てもらった自分も合わせて知ることが自己覚知になります。
支援を行っていると忙しさに任せて自分自身のことを忘れてしまいがちになりますが、忘れたままにしてしまうと気がついた時には自分を見失ってしまいます。就職を決めた時の初心の気持ちに時々振り返って自分自身を見つめ直す作業も行ってください。

・おわりに

4項目に共通して言えることは「日々の学びを大切にすること」です。日々の支援や自分自身の生活のなかで学びを積み重ねていくことがMSWとして成長する基礎になります。基礎をしっかり作っておくことがMSWの専門性をさらに高めてより良い支援を行うことが出来ることに繋がります。
伝えていることは難しいことではありませんし、当然のことをどうして伝えようとしているのか、と思うかもしれません。実際経験すると想像以上に大変です。私が経験して身を持って経験したことを今回お伝えすることで改めて私も含めてみなさんにも考えて頂ければと考えています。
MSWとして就職する際にみなさんに備えてもらいたいことを4項目にまとめてお伝えさせていただきました。今後、みなさんが専門性の高いMSWとして各現場でご活躍されることを願っています。

まとめ

医療ソーシャルワーカー(以下、MSW)として新卒や転職等を機に就職し、これから医療現場で働く人に事前に備えてもらいたいこととして、
・「人」と関わる仕事だということを考える~受容する力~
・多職種の人達が関わる仕事だということを考える~報連相~
・地域について考える~パイプを作る~
・自分自身について考える~初志貫徹~
4項目にまとめてお伝えしました。
4項目に共通していることは「日々の学びを大切にすること」です。
MSWとしての基礎を日々の積み重ねでしっかりと作っていくことがMSWの専門性をさらに高めてより良い支援を行うことが出来ることに繋がります。

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