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#1029 2020/03/30UP
「初めての医療現場」を就職対象として検討されている方へ
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私は高齢者デイサービスから、経験のなかった医療ソーシャルワーカーへ転職しました。私の経験が、これから医療現場の就職も考えてみようと思えるきっかけとなれば幸いです。

私は5年間勤めていた高齢者デイサービスを退職し、200床以上の総合病院に転職しました。デイサービスの利用者だけでなく、地域の方にもっとできることがあるのではないか、と感じたことが最初のきっかけです。

MSWをしていた大学の同期や、デイサービス時代に知り合った看護師のアドバイスを頂きながら、まずは職場見学を始めました。
地域で働いていたとは言え、介護現場からは医療の評判など皆無に等しく、ひとまず自宅近くの病院で募集のかかっているところにアポイントメントを取りました。
最初に見学した病院では、見学を担当して下さったMSWさんが親身に話を聞いて下さり「まずはいろんな病院を見て回った方がいい。就職活動の時くらいしか見学のチャンスはないよ」とアドバイスを頂きました。疑い深い私は「ああ、これは遠回しに不採用の話なんだな」と感じていましたが、自分自身の経験にもなるだろうと思い、急性期病院や療養病院の違いも知らなかった私は、アドバイスの通り他に3か所見て回りました。

就職活動の中で、私が重要視した内容は

・給与面(前職より下がらないことが絶対条件でした)
・環境面(職場の雰囲気、仕事内容など)
上記を踏まえながら見学を進めました。見学した病院の特徴は、おおまかに分けて以下の通りです。

・超急性期病院でMSWも人数が多いが、入れ替わりが激しい
・慢性期病院で落ち着いているが、職員同士で派閥がある
・法人内の他施設が充実している急性期病院だが、トップダウンが激しい

インターネット上や求人票を見比べ、条件を横並びにし比較していくと、それぞれメリット、デメリットがあり悩ましいところでした。その中で私が決めた職場は、案内して頂いた職員が他スタッフとすれ違う際、快い挨拶と近況を伝え合う病院でした。その病院の募集要項には「MSWとしての経験年数5年以上」「200床以上の病院での勤務経験」とありましたが、ダメで元々、と電話をかけてみたところ、嫌がられることもなく受け入れてくださったことも好印象でした。他より給与は少なめなものの、前職の給与水準は維持されていたので思い切って飛び込んでみることにしました。

転職してからは、医療用語との格闘、毎日入れ替わる患者、その家族との時間調整、他スタッフとの距離の取り方、医師への挨拶の仕方など、初めてのことづくしで手に汗握る毎日でした。前職の杵柄で、介護保険の申請方法や、ケアマネジャーとの連携が出来ていたことが救いでした。毎日が飛ぶように過ぎていき、気づけば4年が過ぎていました。その間に人員も入れ替わり、新卒の後輩も入職しました。他スタッフとの連携も進み、職場の良し悪しも見えてくるようになりました。
実際に働いていると見えてくるものや、同業種で転職する際にはポイントを押さえて情報収集することができますが、私のように異業種からの転職、または新卒での入職となると何をどう見たらよいか判断しにくいこともあります。私からは「医療現場での経験がない方へのアドバイス」として、以下のポイントを挙げさせていただきます。

1.病院のホームページをチェックしましょう

インターネット上は数多の求人サイトがあり、多数の求人情報が溢れています。情報にも新旧があり、随分前から更新されていない情報もあります。検討している病院のホームページをチェックして、採用情報の内容を確認しましょう。もちろん病院のホームページ内容にも実際の募集状況とのタイムラグがある可能性も踏まえた上で、可能な限り事前の情報収集を行います。給与面だけ見ると高額であっても、実は夜勤制であったり、退職金制度がない場合もあります。複数での情報を比較していくことが必要です。

2.事前見学は必ず複数行いましょう

病院見学は、直接職場の雰囲気を感じることができます。中には見学なしで面接して頂ける職場もあるかと思いますが、病院側に断られることがなければ積極的にお願いしてみましょう。冬場の感染症が盛んな時期であれば遠慮される場合もありますので、無理強いはせず、可能な範囲で構いません。
また、時間に余裕があれば、第一志望の病院だけでなく、近隣の病院も見学することをお勧めします。行く気もないのに見学だけすることに抵抗を感じる方もいらっしゃることと思いますが、前述した通り、自分に合っているかどうかは経験してみないと分かりません。また、比較対象があることは第一志望を客観的に捉えることもできます。更に言えば、他病院を見学した経験が、入職後に活きてくることもあります。私自身、入職後に見学させて頂いた病院の方とお会いすることもありますが、今の仕事に誇りを持っていれば気まずくなる必要もありません。見学していて損することはなく、得することばかりです。

3.インターネット上の「評判」は半信半疑で

病院名で検索すると、様々な評判が掲載されています。好印象の意見もありますし、否定的な意見もあります。全てが嘘とは限りませんが、全てが本当とも限りません。否定的な意見を見るとついネガティブに考えがちですが、真実はあなた自身が判断するしかありません。十人十色の意見があることを踏まえ、閲覧するようにしましょう。

現在、私は病院の地域連携室に所属し、退院調整を主な仕事として患者さんとの面談を行っています。私が過去に経験した職場はいずれも少人数であり、誰かが退職するとなると一大事でした。病院となると職員数も大規模になり、そういえば最近あの人見ないな、といった感覚で退職に気づくことも頻繁です。
身近なスタッフの退職話を聞くと、喪失感とともに「自分も転職しようかな」と感じてしまうことがあります。私自身、流されやすいタイプだからかもしれませんが、退職者が重なって大人数が抜けてしまう、ということも過去にありました。重ねて仕事でのストレスを感じると、転職がいいことだらけのように感じてしまいます。
そんな時、私は改めて考えることがあります。
・どこに行っても不満はある
・今ここでできることを全てやり切ったのか
「他の職場はもっと恵まれている」と考えることもありますが、手を変え品を変え、ストレスを感じることはどこにでもあります。今感じているつらいことは、少し間を置くと落ち着くこともしばしばです。一旦踏み留まり、深呼吸をして客観的になることも、人生には重要なことです。
また、私自身の想いとして「転職する時は、やれることをやり尽くしてから」と考えています。様々な経験を見逃して転職してしまうと、時間は元に戻りません。反対に、全てやり尽くした経験があると、転職に非常に有用であると考えます。
仕事をするということは給与を得ることも勿論ですが、働き甲斐を得ることが継続する上で最も重要です。就職を検討する上で集める情報には、待遇について記載されていますが、働き甲斐は実際に体感してみないと分からないことばかりです。働き甲斐については求人票からは見えないことがほとんどです。職場見学は、一部とはいえど職場の様子を把握することができるとともに、見学で得た体感を基に、自分自身がその職場で働いているイメージを持つことができます。昔から「百聞は一見に如かず」ということわざがありますが、インターネットが進化した現在でも通用することわざです。あなた自身の夢を叶えるために、あなた自身の糧となる職場を、その目で見つけてください。

まとめ

異業種から飛び込む業界としては、医療業界は敷居の高いイメージがあります。私はMSWとしての転職のため、患者の看護・医療に直接携わることはありませんが、相手が人間である以上、尊敬と尊厳を以て対応することが必要です。ただしそれは医療業界のみならず、どの業界にも必要とされることのため、取り立てて身構えることもありません。全てはあなたの目で見て、感じたことを大切にしてください。

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