地域包括支援センターへの転職をお考えの方へ

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#1004 2020/03/05UP
地域包括支援センターへの転職をお考えの方へ
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地域包括ケアシステムが注目される昨今、「地域包括支援センター」の看護師・保健師として転職をお考えの方もいらっしゃるのではないでしょうか。 今回は地域包括支援センターの業務内容について、簡単にご紹介します。

私は2年間、地域包括支援センターの保健師業務(経験のある看護師ということで採用)を行っておりました。短い期間でしたが、とても貴重な経験をすることができました。 病院などの医療機関での業務を通じて、地域とのつながりや継続看護の重要性を感じる方も多いと思います。そういった方の転職先のひとつとして、地域包括支援センターが挙げられます。今回は実際の業務内容について触れたいと思います。

●地域包括支援センターとは

「地域包括支援センターは、市町村が設置主体となり、保健師・社会福祉士・主任介護支援専門員等を配置して、3職種のチームアプローチにより、住民の健康の保持及び生活の安定のために必要な援助を行うことにより、その保健医療の向上及び福祉の増進を包括的に支援することを目的とする施設である。(介護保険法第115条の46第1項:厚生労働省ホームページより)」 ・・・って、ちょっと難しいですよね。市役所などにより(直営と委託とあるので、公務員というわけではありません) 、地域の高齢者の方が安全、健康に生活できるためのお手伝いを行う施設、ということになります。そのために保健師(もしくは経験のある看護師)、社会福祉士、主任介護支援専門員という3職種の専門家が、それぞれの得意分野を活かしていくのです。

●具体的な業務内容は?

保健師の一番大きな役割は「介護予防ケアマネジメント業務」です。なんのことでしょう?私も入職するまでは全く見当もつきませんでした。 地域のみなさんが要介護の状態にならないように働きかける業務というわけです。 具体的には

・介護保険で「要支援(要支援1、要支援2)」に該当する方のケアマネジメント業務を行う。

これはまるっきりケアマネージャー(介護支援専門員)業務となります。ケアマネージャーをお持ちの方も多いと思いますが、私は介護・福祉業界への転職が初めてでしたので、「介護保険とは」から始めなければなりませんでした(ケアマネージャーの資格も取得しました)。大きい包括支援センターですと、この業務をケアマネージャーさんに委託するといった方法をとっている場合もあるようです。私のいた職場はこじんまりでしたので、40人ほどのケアプラン作成を行っておりました。適宜利用者さん(=管轄する地域の高齢者の方)のお宅へ訪問する必要もあります。

・介護予防となるようなことを企画・立案・実施する

地域の集まり(婦人会、老人会等)へ参加し、血圧測定や体操、認知症予防となりそうなゲーム、健康に関する談話等を行います。地域包括支援センターというのは比較的新しい施設ですので、地域のみなさんからしたら「誰?」ということになります。まずはみなさんに顔を知っていただいて、こういった企画を受け入れていただく、というちょっと根気のいる業務になります。はじめはお互いに戸惑うこともありますが、慣れてくると、とても楽しい場となりますよ!

・その他地域のあれこれ

「お祭りの舞台の合間にちょっと健康体操を」「ちょっと〇〇さんのことで相談が」といった、小さい相談が地域の方々から寄せられます。そういったことへの対処も行います。

●どんな人たちと働くのか

3職種、ということで、社会福祉士・主任介護支援専門員の方といっしょに働いていくことになります。この方たちの業務についても紹介します。

・社会福祉士

「権利擁護業務」といって、高齢者虐待や成年後見制度(認知症など自分で判断することが難しい方のための制度)といったことへの対処にあたります。

・主任介護支援専門員

「包括的・継続的ケアマネジメント支援業務」といって、地域のケアマネージャーさんの支援を行います。ケアマネージャーさんが困っている案件などをピックアップし、必要であれば関係者(地域の方や役所関係など)を集めるなどして問題解決に当たります。 こういった分担はあるものの、実際には、この3職種のメンバーが協力しあってそれぞれの業務をこなしていく、といった流れです。 不思議なもので、職種が違うと考え方が全然違ったりする(もちろんそれぞれのキャラの違いもあるのですが)ので、その都度話し合って解決方法を探る、といった調子です。

●実際働いてみてよかったこと

それまで私は病院でしか働いたことがなかったので、退院していく患者さんのその後、外来で診察が終わったあとの「生活」の場面は想像の範囲でした。 しかし地域での生活の場面に触れ、「うわー 病院に来れるっていうだけで、上出来なんだ!!」と驚いたものです。病院に通うことのできる方はあくまで一部。家族が通院に付き合ってくれる、手術に立ち会ってくれるなんてラッキー。DMの教育入院や栄養指導が実行できる人なんてすばらしすぎる!といった調子。病院だったら医事課のみなさんにおまかせしていた金銭的な話も、地域では必ず触れなければならない話題。まだまだ驚いたことはたくさんありますが、とにかく高齢者のみなさんが健康に安全に暮らしてくことの大変さ、大切さを実感しました。これは病院にいたら絶対わからないことでした。 今、私は総合病院の外来でパートをしておりますが、外来の患者さんの様子などから「この方は介護保険の申請が必要かな?」といった生活面に配慮できるようになった気がします。 また、これは自身の勉強のためと思い、社会福祉士も取得しました。おかげで、ちょっとは多面的に考えられるようになったのかな、とも感じます。

●大変だったこと

あとの2職種は、福祉の分野の方となります。となると、保健師(もしくは看護師)は唯一の医療関係者。医療的な判断に迫られたときはさっと緊張します(私だけ?) また、業務の優先順位といいましょうか、スピード感といいましょうか、福祉分野の方たちとはとにかく違うのです。それに慣れるのに、かなり神経を使いました。 (というほどベテラン看護師というわけでもないのですが) もし患者さんの生活をまるっと支援できたら、なんてお考えの方がいらしたら、ぜひ転職先の候補としてお考えください。

まとめ

地域包括支援センターについて、私の知っている範囲のことを書かせていただきました。
まだまだ新しい施設ですので、地域によっても違いがあるのではないかと思います。ぜひお住まいのセンターをのぞいてみていただいて「こんな活動している場所があるんだな」と触れていただきたいと思います。

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