その求人、あなたがやりたい仕事ですか?(MSWの業務の違い)

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#1002 2020/03/03UP
その求人、あなたがやりたい仕事ですか?(MSWの業務の違い)
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MSWの業務は、病院によって差があります。その手にしている求人は、あなたがやってみたい仕事ですか?病院による業務の違い、MSWとして変わらないことを、私の転職経験からお伝えします。

MSWを目指す皆さんは、毎日をどのように過ごすと思っていますか?
MSWは、病院の機能・経営者の考え方・地域性などにより、業務も慌ただしさも異なります。自分の働く病院の常識は、隣の病院の非常識。新人の頃、同じ法人の同期との違いにかなり驚いた記憶があります。MSWの業務は多岐にわたります。応募しようとしている病院は、あなたが想像している毎日を過ごせそうですか。少し視野を広げて見てみましょう。

●病院の機能による業務の違い

急性期の病院では退院調整等の後方支援が中心となりますし、看とりまで行う療養病院では入院調整等の前方支援が中心となります。
また、回復期リハビリテーション病棟や地域ケア病棟をもつ病院は前方支援も後方支援もすることになります。

急性期病院は、治療を行う場です。治療が終わったら退院しなければなりません。最近はクリニカルパスを導入する地域も多く、入院前からある程度の退院予定日が決まっています。しかし、患者家族にとっては初めて聞く話です。そこで登場するMSWは、患者家族の希望を確認し、専門職の目で現実とのすり合わせをし、納得して期限内に次の場所へ移ってもらう支援をすることになります。
後方支援と一口に言っても、転院先を探すケース、復職復学の支援が必要なケース、介護保険・難病等医療費助成制度・障害者手帳・成年後見・生活保護など社会福祉制度につなげるケースなど、患者家族の状況によって様々です。小児病棟があれば復学支援のケースが増えるでしょうし、神経内科があれば難病申請のケースが増えます。大学病院であれば、セカンドオピニオンや治験に関わるケースも出てくるかもしれません。

療養病院は、医療行為を受けながらゆっくり過ごす場です。療養病院のMSWは前方支援が中心になります。
外来や訪問診療を行っている病院であれば療養病棟に直接入院する患者もいますが、転院してくる患者が多いでしょう。
転院元とのやりとり、転院前の家族とのやりとりは、MSWの業務である病院が多いです。
転院元に対しては、自分が働く病院でどのような医療行為が受けられるのか、どのような薬があるのか、どの段階の医療までは転院元でしてきてもらう必要があるのか説明できる必要があります。転院前の家族に対しては、患者の状況を聞いて入院したらどのような毎日を過ごすのか、どのようなメリットデメリットがあるのかを共有し、家族が納得した転院先を選べるよう援助をします。
ベッドコントロールをMSWが担っている病院が多く、稼働率を維持できるよう経営的な業務を求められることになります。そのため、営業活動をしている病院もあります。
また、日常動作を自分で行えない患者が多いこと、入院が長期化することから、患者同士のトラブル、患者とスタッフのトラブルも顕在化します。先に御家族が亡くなり、キーパーソンの変更が問題になるケースもあります。

回復期リハビリテーション病棟や地域ケア病棟は、入院期間が定められています。決められた期間の中で、治療、リハビリ、薬剤の調整などをします。
一般的に療養病棟よりも入退院の回転が速く、リハビリテーション計画書などの決められた書類が多いです。状況は多少異なりますが、先に挙げた前方支援・後方支援どちらの業務も行います。
月単位の計画性をもって他職種と在宅調整ができるのが特徴だと思います。
患者家族の回復のイメージと、医療スタッフのイメージをすり合わせ、同じ目標に向かっていけるように連絡調整を行います。患者家族が思うイメージに達しない可能性があるとき、それを理解し受け容れてもらわなければ先にすすめません。どうカバーしようとするのか、どうカバーできるのか、十人十色です。場合によっては次の療養先を探す必要が出てきます。

求人票に記載していなければ、病院のホームページを見てみましょう。どのような機能の病棟があるのか、どのような病気を得意としているか、傾向がわかると思います。

●経営者の考え方による業務の違い

MSWは社会福祉士や精神保健福祉士の資格を持って働いている人が多いですが、医師や看護師など業務独占の資格とは違い、名称独占の資格です。
患者家族との面接、他機関との連携は、MSWしかできないわけではありません。また、診療報酬にもMSWはあまり登場しません。
MSWの業務は、経営者が何を期待してMSWを配置しているのかによって異なってきます。

例えば、私が最初に勤務した地域ケア病棟と医療療養病棟をもつケアミックスの病院では、ベッドコントロールを期待されている部分が大きく、毎週病床稼働率を報告させられていました。営業活動も行いました。訪問診療の受け入れ窓口でもあったので、相談室で電話対応や書類作成をしている時間が長かったです。

次に勤務した、回復期リハビリテーション病棟と医療療養病棟をもつケアミックスの病院では、ベッドコントロールも期待されていましたが、地域の関係機関との連携や患者家族の心理社会的問題の解決も求められていました。相談室での電話対応や書類作成もありましたが、病棟で患者家族と面談したり、他職種と協議したり、地域の連携会議に出席したり、業務が多様で覚えるのが大変でした。

そして、その次の療養病院では、「患者家族が、残された時間をどう過ごしたいか、最期をどう迎えたいのか、一緒に考えて欲しい」と言われました。病棟で患者家族と面談する時間が長く、他職種と患者家族のやりたいことやスタッフに対する不満について相談し、時にイベントを考えたりしていました。

経営者が何を求めているかで、MSWの業務は変わります。そして他のスタッフが、MSWが介入するメリットを感じているかどうかで、介入依頼の件数は変わってきます。ただ、これは働くまではわからないです。面接の際に、実際に働いているMSWに「病院側からはMSWに何を求められているのですか?」と質問してみましょう。

●地域性

市内に回復期リハビリテーション病棟がひとつしかなかったら、その病院は営業する必要はないかもしれません。
訪問診療が多い地域であれば、緊急時の受入調整が多いでしょう。富裕層が多い地域、貧困層が多い地域で、問題は異なります。
フットワークが軽い職員がいると役所との連携がスムーズです。また、地域連携が盛んな地域は、業務後の会議が多いかもしれません。その分、普段の連携がスムーズになり残業が減ることもあるかもしれません。
これらは、求人を見た段階で、ある程度調べられると思います。
ホームページで検索すれば、地域にどのような病院があるのかわかります。地域の連携会議は、市町村、保健所、医師会などのホームページに議事録が載っていることもあります。
市町村のホームページで生活保護世帯の数を調べたり、不動産屋で家賃の相場を見たりすることである程度推察できます。地域の行事に参加していれば、病院ホームページに「地域貢献」などで紹介していると思います。
大学病院や専門病院はかなり広い地域から患者が集まってくるので、上記には当てはまらないかもしれません。毎回、その患者の住む地域の制度や社会資源を調べる必要があるでしょう。

●どこの職場でも変わらないこと

MSWは福祉職です。患者家族の権利を守り、患者家族の自己実現を目指して、心理社会的な問題の解決を目指します。
それは、どこの職場でも変わりません。どのような業務も、MSWが行う意味、MSWが行うことのメリット・デメリットを考える必要があります。例えば営業活動は、相手の病院の状況や困りごとを聞き、院内に働きかけて受入条件を変えていくことで、ソーシャルアクションに繋がります。
また、どの病院でも、院内がよりよく機能するような働きが求められます。「SWは人と環境の相互作用の接点に介入する」と一度くらいは耳にしたことがあるのではないでしょうか?
この業務はどの部署に影響するのか、どこの誰に確認を取る必要があるのか。それぞれの専門職の個性を理解し、それぞれが1番いいパフォーマンスを発揮できるように調整するのもMSWの大事な役割です。
結果が見えにくい仕事だと思います。「これでよかったのか」と思うケースが増えてくると、「別の病院の方が、うまくできるかもしれない」と、求人を探し出すようになりますよね。
上司が評価してくれる時期を過ぎたら、自分が行った援助を自分で評価できるようになりましょう。
自分のとった行動、言った内容・タイミングを、自分で評価する癖をつけましょう。専門職の行為には、必ず根拠があります。それができるようになると自分の課題が見えてきます。自分に対してポジティブな気持ちで、新しい求人票に向かいましょう。

まとめ

あなたの理想のMSWはどのような姿ですか?求人票に向かう前に、自分自身に問いかけてみてください。
・どのような人に
・どのような場所で
・どのような支援がしたいのか
・自分のライフスタイルの中で無理なく働けるか
MSWを志すみなさんが、納得して働ける場所を選べるように、まずは自分自身をソーシャルワークしてみてくださいね。

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