オペ室看護師は、看護師の中でも特殊な知識とスキルが必要です。そのオペ室で働くにはどうしたらよいのでしょうか。オペ室看護師の役割とメリット・デメリット、そしてオペ室看護師になったあとのスキルアップについて説明しています。
「メス!」「はいっ」
緊張感漂うなか、主人公の医師が難しい手術を行い、看護師がサポートする。医療ドラマや映画の手術シーンではよくみかけます。かっこいいな、とあこがれる方もいらっしゃるかと思います。
この手術室で働く看護師のことをオペ室看護師といいます。看護師の中でも特殊な技能と知識をもつ必要があるのですが、いったいどんな方法でなれるのでしょうか?
そして実際はどんなことをしているのでしょうか?オペ室看護師歴14年の私がお答えします。
まずは、オペ室に配属希望を出しましょう
オペ室看護師になる前には、特別な資格はありません。看護師になり、配属されればオペ室看護師といえます。病院によっては、新卒ではオペ室の配属はしない方針もありますので、事前の確認が必要です。
しかし、オペ室看護師はなることよりも、なった後の勉強の方がとても大変な部署の一つです。まずは、オペ室看護師の役割からみていきましょう。
オペ室看護師の役割①器械だし看護師
ドラマで医師に「メス」といわれて、手渡しているのが器械だし看護師です。その名前の通り、手術をする医師に直接、必要な器械を手渡すのが役割です。
看護師は、医師がスムーズに手術ができるように、手術の手順やその時に必要な器械の名前をすべて暗記しています。例えば、脳外科の手術と眼科の手術では器械の大きさからまったく異なります。すべての診療科の手術を経験するころには、数百種類の器械を覚えていることになります。
手術中は、医師と同じスピードで状況を判断していくので、身体の解剖も頭に入っていなくてはいけません。同じ手術でも医師により使用する機械が多少異なることもあるので、医師ごとの違いや、クセの覚えておくことも大切です。
また、手術が予定通りに進まないこともありますから、臨機応変に対応する瞬発力も必要になってきます。
基本的には手術が始まってから終わるまで休憩がないので、長時間立ちっぱなしのこともあります。まさに体力勝負といったところです。
この器械だし看護師のスキルが、オペ室特有のスキルであるといえます。
オペ室看護師の役割②外回り看護師
手術をする医師や器械だし看護師に必要な物品を準備したり、麻酔科医のサポートをしたり、手術室の看護記録を残したりするのが外回り看護師です。
手術中、患者さまは麻酔で眠っています。その間は、麻酔科医と一緒に心電図や血圧などをモニタリングすることで、患者さまの声にならない声をきくことに五感をフル活用しています。
手術によっては、電気メスや超音波メスなどの高度な医療機器の取り扱いをすることもあります。
そして、刻一刻と変化する手術の進行にも目を行き届かせながら、記録も書かないといけないので、マルチタスク能力も必要です。
基本的には、器械だしを経験したベテランの看護師が担当することが多くなります。
また、局所麻酔の手術では患者さまは起きているので、声かけやタッチングで緊張をほぐし、少しでもリラックスしてもらえるような環境づくりも行います。
手術室では、患者さまを中心していますが、医師が主導で手術が進んでいきます。外科医だけでなく、麻酔科医、コメディカル、看護師と関わるスタッフも多く、それぞれが高い緊張感と集中している環境なので、外回り看護師がコミュニケーションの中心となることもあります。
オペ室看護師に必要なスキル
①手術の手順や解剖を暗記する力
②手術の進行にあわせて対応する瞬発力と適応力
③マルチタスク能力
?緊張感に耐えられるマインド
⑤眠っている患者様の声にならない声をきく感性
そして、なによりも体力が必要です。
オペ室看護師になるメリット
緊急の場合を除いて、手術は日勤帯に行われますので、規則正しい生活を送ることができます。夜勤がない職場が多いので、ワークライフバランスをしっかりとりたい人には向いている職場になります。
ただ病院によっては、オンコール体制をとっていることもあります。これは、夜間や休日のオンコール勤務者は、呼び出しがあった場合は○分以内に病院にかけつけることができるよう準備しておかなければなりません。
実際に体の中から病気がどのように進行しているのかを見ることはできるのは、手術室だけです。手術室で学んだ知識や経験は、病棟へ配置転換しても必ず役にたちます。
デメリット
夜勤がない分、お給料が少なくなります。また、手術室での経験年数を臨床経験として入れない施設もあるので、転職で不利になることもあります。ただ、外科系の部署や同じ手術室での希望は、即戦力として有利になります。
どんな人がオペ室看護師に向いている?
・切り替えが早い
・コツコツ努力することが好き
・体力がある・?臨機応変
はじめは暗記することが多いので、コツコツ努力できることが必要です。
また手術中の高い緊張感と手術が終わった後の切り替えが早くできるタイプが向いているといえます。
特に器械だし看護師は、手術が終わってから休憩をとることが多くなります。勤務自体は規則的なのですが、お昼休憩は不規則になります。
「食べれるときに食べる」、手術だけでなく休憩も臨機応変に対応できると良いでしょう。
あとは、当然のことながら「血を見るのがダメ」な人は手術室には向いていません。
オペ室看護師としてのスキルアップ
手術室に配属され、一通りの手術を担当したあとは、それぞれどのようにスキルアップする方法があるのでしょうか。
一つの科のエキスパートとしてよりスキルを磨いていく看護師もいます。
以前は、「手術室は患者さまとあまり話をする機会がない部署である」と言われていましたが、現在は変化しています。術前訪問や術後訪問といって手術をうける前後に患者さまの病室へ訪問し、身体的・心理的な支援をおこなっています。局所麻酔のケアと同様に、術前・術後訪問を通して、患者さまをサポートすることにやりがいを見出すこともできます。
手術室認定看護師を目指す看護師もいます。
まとめ
オペ室看護師は奥深くて面白い
いかがでしたか?オペ室看護師の働き方はイメージできましたか?
オペ室は、緊張感も高く体力も必要なので大変な職場ではありますが、魅力がいっぱいつまった楽しい職場でもあります。
ワークライフバランスもとりやすいので、オンとオフがしっかり区別できます。
興味がある人はぜひチャレンジしてくださいね。
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