介護付有料老人ホームへの就職を目指す介護士の皆さんが、どのような基準で就職先をチェックすべきか。 どのような基準でチェックすれば、同じ職場で腰を落ち着けて働くことができるかをお伝えしたいと思います。
・施設長が介護士出身か、事務系出身かを尋ねる
介護付有料老人ホームに就職する場合、その老人ホームで長い期間働くことができる職場環境なのか否かを判断する基準として、施設長(施設責任者)が介護士出身者なのか事務部門の出身者のいずれなのかという点が挙げられます。
具体的な理由としては、老人ホーム全体のマネジメントという観点では、事務部門出身者が施設長(施設責任者)となっている老人ホームのほうが、老人ホームの運営が円滑に運ぶケースが多いためです。
老人ホームを運営する責任者という立場は、本社の経営方針と、現場の介護士たちとの板挟みに直面するケースが少なくありません。例えば、本社の経営方針としては、個別の老人ホームに対して具体的な売上高の目標を示します。それに対して、施設長はどのような方法で売上目標を達成するかについて、頭を悩ませることが少なくありません。
目標達成のためには入居者を増やして、老人ホームを満室にする方法が最良な方法なのですが、介護士出身の施設長の場合、営業活動は苦手です。そこで、老人ホーム内のレクリエーションを増やして、入居者に対してレクリエーションへの積極的な参加を求めてしまうケースも発生してしまいます。
すると、純粋な気持ちで恒例の入居者の介助をしたいと考えている介護士との間で対立が生じてしまい、職場の人間関係が悪化するケースも少なくないのです。
また、老人ホームの入居者のなかには、毎月の入居費用を支払うことができず滞納してしまう人もいます。このような場合は入居者の家族に対して支払いの督促を行うわけですが、介護士出身の施設長はこのような仕事が苦手です。
一方、事務部門出身の施設長であれば、売上目標を達成するために、無理に高齢の入居者をレクリエーションに参加してもらうようなことはせず、地道に営業部門との連携をはかって入居者を増やす活動をおこないます。また、毎月の入居費用を滞納している入居者の家族に対しては、本社の法務部に確認をとり、法律的な手順に基づいて債権回収手続きを進めていきます。毎月の売上目標を達成できなくても、上手にやり過ごすことができるのは事務部門出身の施設長です。
介護士出身の施設長は、生真面目なタイプの人が多く、しかも介助業務以外については未経験であるため、かえって職場内がギスギスしてしまう傾向があるのです。
このため、就職活動のとき、書類選考を通過して採用面接試験に臨む場合は「失礼な質問かもしれませんが、施設長さんは介護士出身ですか、それとも事務部門の出身ですか」と確認されることをお勧めしたいと思います。
・介護付有料老人ホームの運営会社の社風をチェック
介護付有料老人ホームへの就職を目指す場合には、なんらかの方法で社風をチェックすることをお勧めしたいと思います。とくに、老人ホームの営業マンの表情をチェックされることをお勧めしたいと思います。
書類選考を通過したあと、ほとんどの場合は老人ホームで採用面接試験を受けることになります。しかし、稀に本社で採用面接試験を受けるケースもあります。そのようなときは、本社内で見かける社員の様子を見ることは重要です。
とくに営業マンの表情は重要なチェックポイントです。介護付有料老人ホームの運営会社によっては、営業マン一人一人に対して厳しいノルマを課しています。そして、ノルマを達成できなかった場合には、管理職や幹部職員が営業マンに対して強い罵声を浴びせたり、ときには「おまえのような給料泥棒は辞めろ」などと暴言を吐いてしまいます。
すると、そのようなパワハラとも言える暴言を吐かれた営業マンは精神的に追い詰めらてしまい、心理的な余裕を失ってしまいます。そのような厳しい精神状態は、表情に現れます。社内で雑談をしていても笑顔が出てきませんし、終始表情がこわばっています。
このような会社の場合は、現場の老人ホームで介護士としてお年寄りの介助業務をしていても、なんらかの形で現場にしわ寄せがくるものです。例えば、本社からの「現場の介護士も、担当している入居者を有料のレクリエーションに積極的に参加させて売上向上に貢献しなさい」といった命令です。
介護士の皆さんは、身体の弱ったお年寄りを介助したいという気持ちで就職されるわけですから、そのような業務命令をくだされると、とても長い期間働く意欲を持つことはできないと思います。
そのため、機会があれば、採用面接試験を受けるときに営業マンなどの社員たちの表情をチェックして、どのような社風なのかをチェックされることをお勧めしたいと思います。
そして、採用面接試験を受けるときに、営業マンとの接点を得られなければ、インターネット上の口コミサイトで社風をチェックされることをお勧めしたいと思います。
・老人ホームの建物の構造をチェック
介護付有料老人ホームへの就職を目指す場合は、採用面接試験のために老人ホームを訪問したときに、建物がどの程度古いかや、どのような構造をしているのかをチェックされることをお勧めしたいと思います。
その理由は、老人ホームによっては企業の独身者用社宅を転用した建物であるケースがあるためです。もともと社宅として建設された建物の場合、建物の中央が吹き抜けとなっているケースもあります。そのような建物の場合、介護士が目を離したすきに入居者の高齢者が、手すりを乗り越えて転落してしまう事故が発生しないとは限りません。
また、築年数が20年や30年経過している古い建物の場合、階段や通路の幅、それにエレベーターが狭いケースが少なくありません。このような場合、万が一、深夜の時間帯に火災が発生した場合は、入居者全員を屋外に避難させることは至難の業となります。
理想的な老人ホームの建物の構造は、最初から介護付有料老人ホームとして建設されており、バリアフリーが徹底されていることです。そして、廊下は2台の車いすがすれ違えるほどの広さがあり、もちろん手すりも隅々にまで設置されており、法令に基づいてスプリンクラーも設置されていることです。
このような観点から、採用面接試験を受ける際には、面接官に頼んで建物内を見学させてもらうことをお勧めしたいと思います。
まとめ
以上が、私が経験したことに基づく、働きやすい介護付有料老人ホームを見抜く判断基準です。
施設長が介護士出身か事務部門出身か、あるいは社風は健全なのか否か、とくに営業マンの表情が明るいか暗いかといった点は重要です。そして、老人ホームの建物の構造は生命にかかわりますからチェックは怠れません。
これらを参考にされて、ぜひ就職活動を頑張ってください。
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