就職活動にこれから取り組もうとしている看護学生にとって、看護師として医療系と介護系のどちらが良いのかを判断するのは大切です。ここではその判断の仕方のポイントを紹介します。
医療施設としては病院とクリニックが代表的ですが、診療科目の違いも考慮すると実はかなりの種類があります。
病院は多くの診療科が併設されている総合病院、各診療科の専門病院があり、さらに大学病院などのやや特殊な病院もあります。
クリニックは各科目に分かれていますが、その診療内容について保険適用されるものを扱っているところもあれば、完全に自由診療にしているところもあるのが実態です。また、患者が入院できるベッドを持っている有床クリニックもありますが、多くのクリニックは入院設備のない無床のクリニックになっています。
このように医療施設にも多様性があるのでどの現場で働くかによって仕事の内容や雰囲気、仕事に対する考え方などにも違いがあります。
ただ、美容クリニックを例外とすれば、基本的には病気による症状に悩まされている患者の治療をするための補助をするのが仕事です。採血や医療機器を使った検査をして症状が出ている原因を特定するための診療補助をしたり、手術による治療の準備を整えたりすることになります。基本的にはプロトコルが決められているのでその通りに行うのが重要視されるのが特徴です。それに加えて入院患者の管理や通院患者の問診が仕事になりますが、その際にも何を確認すべきか、どんなことを聞くべきかが決まっているのが一般的になっています。どの患者に対しても一定水準の医療を提供できるようにするための保険診療の形式が整っているからです。
一方、介護施設もかなりの多様性があり、特別養護老人ホーム、有料老人ホーム、老人保健施設、グループホームなどが代表的なものです。
日帰りで利用するデイケアセンターや自宅介護を受けたい人のための訪問介護施設もあります。さらに細かく分けていくと要介護度の違いによって入所できるかどうかが違う、受けられるサービスの内容が異なるなど、施設ごとに果たしている役割が違うのが特徴です。
ただ、医療の場合と同様に看護師が果たすべき役割についてはどの施設にも共通点があります。高齢者で自分だけでは生活を送るのが難しい人たちに手を差し伸べ、身辺の介助をしていくことです。
看護師の専門的な役割としては医療を必要としている人のための日常的なケアになりますが、基本的には医療現場のように治療をすれば治るということはあまり多くありません。
ガンや認知症、重度の糖尿病などの改善をあまり見込めないような病気を患っているケースが多いからです。加齢による心身の機能低下の影響も大きいため、方針としては施設での生活や通所時の活動を充実させることを目指して看護をしていくことになります。
人によって何に対して満足できるかには違いがあるので一辺倒な対応をすることはできません。
保険適用の介護をするためのガイドラインはありますが、満足してもらうためにはその範囲内で柔軟に個別対応をしていくことが必要になります。一人一人と正面から接して何を求めているのかを理解し、看護師としてできることをやっていくのが介護施設の仕事に共通する点です。
このような医療と介護の現場における看護師の役割の性質が違うことを考えると、自分に合っているのはどちらかを考えやすくなります。
均質なサービスを提供することが求められるのが保険医療機関なのに対し、個別対応で相手の満足を求めて看護をすることが必要なのが介護施設だと大まかには言うことができるでしょう。
もちろん医療現場の場合にも個別医療が求められるようになり、ターミナルケアの際には特に介護施設と同じように患者一人一人と向き合って看護をしていくことが必要になっています。
ただ、一般的な就職先では均質性と個別性をどのくらいのバランスで重視するかについて比較してみると、医療系の方が均質性、介護系の方が個別性を重視する傾向があるのが実態です。
看護師として博愛の精神を持って多くの人に満足してもらえる看護をしていきたいという人は医療現場が向いているでしょう。
それに対して、個人をしっかりと見つめてオーダーメイドの看護をして最高の満足を手に入れてもらいたいという献身さがある人の場合には介護現場で活躍できます。
実際に就職するときには個々の施設による違いも考慮して決める必要があるのは確かですが、まずは誰もが安心して受けられるプロトコルに則って看護をしたいか、個別によく考えて自分なりの看護をしていきたいかによって医療系か看護経過を選ぶと良いでしょう。
まとめ
医療系と介護系のどちらで就職活動を進めていくかは看護学生にとって悩みになりがちな点です。ただ、看護師が果たすべき役割の違いがあることを考慮すると自分の考え方に合っている方を選ぶことができるでしょう。均質性と個別性のどちらが重要かを考えて就職先を考えていくのが大切です。
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