就職後の、福祉職の「理想と現実のギャップ」を乗り越えるために。

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#940 2020/01/01UP
就職後の、福祉職の「理想と現実のギャップ」を乗り越えるために。
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福祉職で感じる「理想と現実のギャップ」は仕事を辞めたくなる大きな一因です。就職先でそれらをどのように乗り越え、仕事をポジティブに続けていけるかということをお伝えします。

福祉の仕事のマイナスイメージは、例えば排泄介助や不衛生な環境での仕事…といったものではないでしょうか?

しかし最近では、新しい施設や介助しやすい福祉用具など、介助者への負担が軽減される工夫が多くなされています。お給料に関しても、処遇改善加算などによる、現場スタッフへの還元をめざした加算なども充実してきています。福祉の職場環境への改善には、多くの人々が工夫への意欲を燃やしている現状があります。

ではなぜ「大変な仕事」と思われ、また現実に離職者が多いのでしょうか?

実は、働く環境での人間関係が他の業種と比べてかなり複雑であり、また人間性が表れやすいものであり、「理想と現実のギャップ」があまりに大きいからなのです。 高齢者分野では、昔に比べて施設入所への世間体の悪さや抵抗感はずいぶんと少なくなりました。 施設も高級マンションや高級ホテルのようなものも増えており、将来を考えて自宅を手放すという考え方もメジャーになってきています。 高級ホテルのような高齢者施設では、手厚いサービスが上品なマダムたちに感謝されるような、本当にホテルサービスを提供するようなところも多くあります。このような所への就職を考える方も少なくないでしょう。綺麗な環境で、仕事の成功を収めてきた先輩方との会話も刺激的です。介護という仕事を通し、そのような方々の最後の生活を支えるというのも誇らしいものです。

しかし実際のところはどうでしょうか?

「頑張って働いてきた後の、最後のご褒美を受けることは当然の権利である」として入所されてきた方々は、実に多くの無理難題を要求されるようです。介助者とすれば、いわば「ワガママなお年寄り」のお相手をするような大変さがあるようです。あるいは入所者のご家族がそのようなサービスを希望され、必要以上のサービスを強いられるということもあるようです。

では逆に、入所費用の安い施設ではどうか?

経済的にゆとりのない、しかし自宅では過ごせない方々の入所施設では、優しい介助に心から感謝されるようなイメージがあります。 しかし施設側は施設運営のための収入を利用者から回収することができないため、より多くの公費を手に入れようと、必要以上のサービスを利用者にあてがうようにスタッフに指示することがあります。本当は介助することなく、利用者本人で行ってもらった方が満足度も高く、機能向上の効果も期待できるのに、決まった時間に決まった介助を行うことで保険請求するためのタスクをこなすのです。 福祉の志にあふれ就職される方々の、「困っている方々の力になりたい」という思いが強ければ強いほど、これらの環境は納得がいかず、辞めたい気持ちを助長する結果となってしまうのではないでしょうか?「自分のやりたい福祉はこんなことではない」との思い、理想と現実とのギャップに加え、長く働くスタッフとの考え方の違い、それらが大きなストレスとなっていくのだと思います。 このような環境は、実は就職してみなければ見えてこないところが多くあります。初めて介護職に就く方だけでなく、これらのストレスで職場を変えた方が新たな職場で新たなギャップに遭遇するようなとき、つくづく福祉職に嫌悪感をいだくのではないでしょうか? ではどのようにしたらそれらのギャップを乗り越え、自分の理想とする「福祉」をおこなうことができるのか? それはずばり勉強すること。研修会への参加、また別の職場の同業者との会話からそれらが始まるのです。 研修会等で勉強になるのは、実は研修内容そのものよりも、参加者同士の情報交換です。「うちはこんなに福利厚生が良い」との話にがっかりする場面もなくはないのですが、「実はこんなところが厄介だ」という話で盛り上がることこそが、仕事へのモチベーションアップにつながるのです。どの施設でも同じような悩みを抱えている、それを知るだけでも随分と心が軽くなるものです。また他の職場に比べれば…と思い直せることも多くあります。 福祉職には身につけていかなければならない知識が多く、研修を受ける機会は少なくありません。 職場から参加を指示されるようなこともよくあります。どうぞそのような研修に参加するときは、同じ職場の方と固まらず、別の職場の方と話ができるよう心掛けてみてください。隣の席に着いた方とちょっとした世間話を始める。 その場限りのおしゃべりで構わないのです。別の職場の同業者との会話は多くのチャンスと発見にあふれています。 また、可能であれば取得された資格の職能団体に所属してみてください。より多くの同業者とのそれらのチャンスにあふれています。 福祉職への就職の際は、どこに所属しても何かしら「理想と現実のギャップ」が存在することを、どうぞ心に留めておいてください。 福祉の資格取得のための勉強では、利用者本人をいかに理解し、受け止め、快適な環境を与え、満足していただくかということが重視されます。 しかしその根底に、事業運営のための資金繰りがあり、制度利用のためのギリギリとも思える攻防があります。 無償で大きな愛を与えること、それだけでは成り立たないのが現在の福祉の仕事です。しかしそれは、自己犠牲の上に成り立つという福祉の危うさを克服し、持続可能な愛の提供を可能とした結果でもあります。「 ワガママなお年寄り」のお相手をする環境が、または必要以上のサービスをあてがうように指示される環境が「理想ではない」のではなく、現在の福祉の舞台が、これらの環境下で行われている現状が「理想ではない」のかもしれません。 日本の社会保障制度がこれらの環境をつくる要因となっていることにまで目を向けることができれば、目の前の仕事はまた違った見え方となってくるでしょう。 また新たなステージで「福祉」を考えることにもなるのでしょう。その新たなステージで何を考え、何を発信していくか。それはさらなるモチベーションアップと、あなたの限りない可能性への挑戦となるのです。

まとめ

いかがでしたでしょうか?福祉職の一番の敵は「理想と現実のギャップ」。またそれを乗り越えることは、別職場の同業者との会話がきっかけになり得るということです。職場を超えた同業者との交流の場を広げることは新たなアクションにつながり、新たな可能性となっていきます。ぜひご参考にしてみてください。

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