看護師として就職を考える際、どのような病院で働くのがよいのか迷い、様々な方法で情報を収集すると思います。私もその一人でした。今回は、大学病院に就職する際の注意点と、実際に現役看護師として大学病院で働いきながら感じる、リアルなメリット・デメリットをお知らせしたいと思います。
【大学病院で働くために必要なこと、注意点】
まず、大学病院に看護師として就職するためには採用試験を受けなければなりません。それはどの病院も同じですが、注意しなければならないのは「時期」です。病院によって差はありますが、病院によっては5月頃から採用試験が開始されます。5月です、はやいですよね。そのような病院は10月頃までの間に何日か試験日が用意されています。気をつけなければならないのは、まさにそこです。募集要項などをよくみると「定員に達した時点で締め切ります」などと記載されています。私は7月末の試験日に受験しましたが、その試験日で定員に達し、それ以降の試験日は募集締め切りとなりました。もっと後の試験日でもいいかなと考えていた、私はその事実を知り、驚愕しました。次の試験日に受験しようとしていたら、今の病院に就職できなかったのです。他の大学病院に就職した知り合いの看護師に話を聞いても、早い時期に受験していた方が圧倒的に多いです。興味のある病院がある場合は早めに採用試験の日を把握し、はやめの日程で受験することをお勧めします。
【現役!大学病院勤務の看護師が思う、大学病院で働くメリット①~⑤】
メリット①!
大学病院の機能というと、臨床、研究、教育という言葉をよく見かけます。
実際に看護師として働くうえで最も関係があるのは「教育」だと感じます。大学病院と他の病院との一番の違いは、教育の質です。新人を育てるのも大学病院の大切な役割とされているため、教育に対する責任があるのです。
私が、1年目という看護師人生における最も大切な時間を大学病院で過ごすと決めたのも教育が充実しているからです。では、具体的な私の体験談をお話します。
まず、3年目までは1年に一度、看護展開のレポートを提出しなければなりません。実際の勤務で関わった患者さん一人を選び、基本情報の整理、ゴードンの11の健康機能パターンに沿った項目ごとのアセスメント看護計画の立案、看護展開、評価をします。学生時代の臨床実習に近いものがありますが、病棟カンファレンスでプレゼンしたり、論文を調べたりと、レベルが違います。一つのレポートに1-2ヶ月の期間をかけ、徹底的に看護展開の基礎を学ぶため、嫌でも、アセスメント能力や情報整理、患者さんのニーズを把握する力が付きます。とても大変な作業ですが、基礎的な看護展開の能力が付くと感じます。
また、研究制度も充実しています。研修は必修研修と様々な選択研修があります。必修研修は年に3回程あり、内容は学年に合ったものになっています。研修の内容ももちろんですが、研修は他の部署で働いている同期と交流する大変貴重な機会です。他の部署の同期と話すことで、自分と同じようなことで悩んでいたり、仕事の失敗談や、成功体験を聞くことで、悩んでいるのは自分だけではない、みんな同じようなことで悩んでいることがわかり、働く活力になります。さらに、本当に多くの選択研修があり、自分の興味のある分野の研修を受けることもできます。このように、経験年数に関わらず、学ぶ環境が職場にあるのは大学病院で働らく大きなメリットです。
各部署での教育も充実しています。私が働いている部署では、勉強会をたくさん開催しています。疾患に関することは医師に看護師から依頼して勉強会をしてもらいます。手術の具体的な方法や、患者さんの具体的な病態を医師から直接教えてもらうことで、患者さんの体の中がどうなっていて、何が起きているのか知ることができます。また、看護に関しては、看護師同士で勉強会をします。空床利用などで他科の患者さんが入院する際は他の部署から病態に詳しい看護師さんを招いて、具体的な看護の注意点や工夫を教えてもらいます。また、2.3年目の看護師が論文や資料、参考書を元に、先輩に対して勉強会を開催することもあり、エビデンスに基づいた看護を学ぶことができます。
教育にしっかり力を入れてくれる大学病院は、看護師1年目に就職するにはとてもオススメです!
メリット②!
大学病院は、高度先進医療の推進のため特定機能病院の認可を受けていることが多く、高度の医療を提供する能力を有することを求められる病院です。そのため、他の病院ではできないような高度な治療や検査が必要な患者さんがたくさん入院していますので、「重症患者の看護や高度な医療」を間近で学ぶことができます。大学病院で働くことよりも最適な、最新で高度な医療を学ぶ方法はないと思います。
重症患者さんが多く分、勤務は常に多忙で、余裕がないのも事実です。しかし、教育に強い大学病院であるからこそ、先輩も後輩の教育に関心がある方が多く、時には厳しく、時には優しく、具体的な看護の工夫や、効率のよい動き方を教えてくれます。多くの病院でプリセプター制度を導入しているので、困ったことや相談したことがある場合は、自分のことをよく考えてくれているプリセプターさんに助けを求めてみましょう。必ず、助けになってくれると思います。
メリット③!
若手、同期が多い!
大学病院は、教育機関であることから新卒採用が圧倒的に多いです。そのため、各部署に3-7名の新人が配属されるので同じ部署の同期がいるわけです。同じ部署に同期がいるのは、つらい1年目を乗り越え、生き抜くためにはとても重要です。悩みを共有し、励まし合いながらともに成長していけるのです。規模の小さい病院だと、新人は部署に一人のみという場合も珍しくありません。また、大学病院でレベルの高い教育を受け、高度な医療を学びたいという志を持った仲間ですので、切磋琢磨できる本当に重要な存在となります。
さらに、業務内容もハードであり、夜勤もあるため、20-30代の若手看護師が多い傾向にあります。世代の近い看護師が多いので、仲のいい先輩や後輩が出来ればプライベートでも気軽に遊べるのも、メリットだと思います。
メリット④!
「大学病院での勤務経験あり、という肩書」が得られる。大学病院は重症患者が多く、高度な医療を提供している、医療者への教育がしっかりしていることは医療関係者であればほとんどの人が知っていることです。そのため、大学病院での勤務経験がある、というのは次の勤務先を考える際の強みになります。
時折、大学病院出身の看護師は頭が固い、またや融通が利かないと耳にすることがありますが、それは先ほど記載したような徹底された教育を受け、エビデンスに基づく看護が身に染みついているからではないでしょうか。忙しいからといって、エビデンスのない看護を提供するのはいい看護師とは言えません。常に、患者さんにとって最適な看護をアセスメントし、常に頭を使って看護をするのが大学病院の看護師です。
メリット⑤!
大事な大事な、お給料がいい!ところです。各病院のホームページや募集要項をみると給料について具体的な記載がありますが、記載されてるのは「基本給」です。もちろん民間の病院よりは基本給は高いことが多いですが、注目したいのは各種手当です。某病院の例ですが、2交代制の病棟で、夜勤手当は1回10000円、月に約5回なので、夜勤だけで基本給+5万円です。他の病院で働いている看護師の知り合いに聞いても、やはり大学病院は給料がいいと感じます。
【意外かも、、大学病院で働くデメリット】
私が感じるデメリットはひとつだけです。メリット①であげた教育に関することです。教育が充実しているのは、大学病院の一番のメリットであると思いますが、それゆえに大変なこともあります。年に1回のレポートは何度も何度も修正しては、先輩に指摘され、息詰まることもあります。また、研修毎に事前・事後レポートがあり、研修で学んだことを部署で管理者さんに報告するなど、研修も受けるだけでは終わりません。このように学習に関することに関して本気なのが大学病院ですので、メリットでもありますが、正直、デメリットだと感じてしまうこともあります。しかし、これらを乗り越えた先には、しっかりと頭を使える看護師になれると信じて、必死に食らいつく日々です。おそらくこの苦労も、5年後にはメリットと感じていると思います。とすることも目指してください。
まとめ
まず、大学病院への就職を考えている方は、気になっている病院の採用試験の日程をはやめに確認し、はやめの日程で受験しましょう。
そして、大学病院は、働きながら、学ぶ機会を与えてくれる素晴らしい教育機関です。看護師人生で最も重要な新人時代を過ごすには最適な場所だと思います。求められるレベルも高く、学習も大変だと感じる時期もあるかも知れませんが、同じ志を持つ仲間とも出会える場所です。数年後、成長した自分と出会うために、高度な医療機関で教育機関でもある大学病院で働いてみてはいかがでしょうか。
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