整形外科病棟では退院に向けて、日々リハビリを頑張っている患者さんがたくさんいます。リハビリといえば、理学療法士や作業療法士が中心にリハビリを行っているイメージ。むしろ、リハビリ室で理学療法士や作業療法士がメインで患者さんをサポートしているので、看護師はリハビリに対してどう介入していくのか迷う事もありませんか。今回は、看護師として患者さんの退院までのリハビリについてのポイントをお教えします。
まずは、情報収集が大切です。
1)入院前の生活はどうであったか
患者さんの入院前の生活を把握しておく事はとても重要なポイント。日常生活はどうであったか。
とくに、高齢者であればお風呂やトイレは自力でいけていたのか。寝具はベッドかふとんか。元々の歩行具合や日中の過ごし方はどうであったか。若い方であれば、昼間は働き、日常的な生活動作も自分であたりまえにしてきた人がほとんどです。高齢者とは全く異なる生活の取り方。
年齢や、性別はもちろんの事、どんな生活をしてきたのかを把握する事がまず大切な情報収集の一つです。患者さんの誰もが病気になって回復に向かう中で、入院前の生活に戻れるのかどうか、戻るためにどう頑張れはいいか考えるものではないでしょうか。患者さんの入院前の生活を把握するの事で、患者さん自身と一緒に目指すリハビリのゴールを定めるのです。
2)家の中の段差や手すりはどうであるか。
退院しても、通院でリハビリに通う患者さんもたくさんいます。入院前のような日常生活に必要な動作をリハビリで完璧にできるようになるあと一歩という前に、退院が決まる患者さんもたくさんもいます。
そういった患者さんのほとんどが退院後に、通院でリハビリに通う事になります。入院中の困った事や、不自由な事は、そばにいる看護師がいつでもサポートできますが、退院後の自宅での生活はそうはいきません。松葉杖をつきながら、又は手すりを持ちながらじゃないと歩行できないまま一旦退院となるかもしれません。
玄関や、居間からトイレまでの廊下、お風呂などの段差はどうでしょうか。入院前はなにも意識していなかったかもしれません。また入院中も、病院はそういった患者さんのために段差もありませんし、手すりだってあります。
しかし、自宅ではそうではありません。いざ、退院して自宅へ帰って生活してみると少しの段差が障害になることだってあります。看護師は、退院後の患者さんの生活を見越して入院中にサポートしていく必要があります。退院後にその患者さんが困らないように考えて退院プランを計画していくのです。
段差は、どこにあるのか。何センチほどの段差があるのか。手すりあったほうがいいのか。患者さんのリハビリの進み具合と、退院時期を合わせて考えていきましょう。
特に、高齢者の場合は元々の生活を一人でなんでもこなしてきたが、退院後は一人では難しく家族のサポートが必要な場合もあります。家族のサポートが受けられるのか、ケアマネジャーが必要になるのかなど考えて行くことも必要なポイントです。リハビリの状態と照らし合わせて、段差や手すりの事を家族やケアマネジャーに相談していきましょう。
3)リハビリがスタートしたら他職種とも連携をとる。
リハビリは、リハビリ室で理学療法士や作業療法士が中心で動いていきます。もちろん、時間があるときは、リハビリに付いていって状況を毎日観察するのもいいでしょう。しかし、整形外科病棟では、これから手術に向かう患者さんや術後の患者さんのケアなど看護師にとって毎日リハビリに患者さんに付き添いながら、状況を観察するのは難しい現状があります。
昨日まで出来なかったことが今日はできたなんて事もあるので、ぜひリハビリ状況を知りたいですよね。そこで、理学療法士や作業療法士と情報交換しましょう。
リハビリ室で、今どんなリハビリをしているのか、どこまで進んでいるのかなど。自分の知らない所で頑張っている患者さんの頑張りを教えてもらうのです。そして、病棟ではどこまで自立できるようになったかと照らし合わせてプランを立て直しましょう。患者さんの病棟での生活を観察してみると、リハビリは頑張っているけどまだまだ自宅に戻るのには、難しいかなというポイントも見えてきます。
そんなときも、理学療法士や作業療法士に相談していきましょう。理学療法士や作業療法士にとって、病棟でのちょっとした日常生活の中の不自由な動きは、リハビリ室でのリハビリだけでは見えないもの。
理学療法士や作業療法士は、看護師からの情報を元に、リハビリプランを考えて、さらに練り直してくれるかもしれません。うまく、連携をとりながら、みんなで患者さんを支えていくのです。
4)病棟でもできるリハビリプラン
入院中のリハビリは、病院や患者さんにもよりますが休憩をいれながら約1時間から2時間程度。リハビリが終われば、病棟のベッドで日中すごす患者さんも多いはずです。
また、毎日のリハビリではなくて、週によってお休みの日もあります。リハビリが進まない患者さんにとって、病棟で過ごす時間もリハビリになるのです。患者さんの体調がよければ、無理なく病棟でもリハビリを進めていきたいものです。
しかし、リハビリは理学療法士や作業療法士がその患者さんに合わせてプランを考えて日々様子を見ながら進めていくもの。看護師だからといって情報を把握せず、行う事はできません。
病棟で看護師付き添いのもと、リハビリをする場合は、理学療法士や作業療法士に相談しましょう。病棟でも、行えるリハビリは何かないですか。と聞いて見ましょう。そうすると、プランの中で病棟でも看護師付き添いのもとで、行ってほしいリハビリを教えてくれるものです。
リハビリは、一日ではすぐに成長できません。勉強と同じで、毎日少しずつコツコツと行う事で結果が出てきます。高齢者の場合は、臥床状態が続くと若い人に比べて筋力低下は激しいものです。
まずは、座位からはじめて、会話をしながら教えて貰った病棟でできるリハビリを毎日少しずつ続けていきましょう。また、病棟でのリハビリの状況を理学療法士や作業療法士に伝えていくことで互いに、情報交換していきましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?リハビリは、理学療法士や作業療法士だけの仕事ではありません。日々患者さんと関わる事の多い看護師だから出来る事がたくさんありますよね。ポイントは、情報収集から始まり、他職種との連携。そして、リハビリのサポート。患者さんの目指すゴールを他職種とも連携しながら退院プランを考えて、みんなで支えていきましょう。
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