看護師の就職先としては多様化してきたとはいえ、まだまだ病院が主たる選択肢の中の就職先であることは変わりありません。そこで病院といっても公営と民営に大きく分かれます。就職先の情報として知っておくとよいポイントをご紹介します。
看護師になったからにはまず就職を決めなければなりません。学卒後の就職を決定するにあたっては、学校の先生が進路指導をしてくれますので情報を得やすいですし、現役の看護師の転職の場合は独自の情報網をもっていることもあります。でも異業種や他地域からの社会人から転職活動をする場合、情報が得られにくい場合があります。そこで、公営病院と民営病院の特徴などの情報についてご紹介したいと思います。
就職先・転職先としての公立病院の特徴とは?
筆者は公営病院に2回在籍したことがあります。政令都市と地方都市の公営病院に数年ずつ勤務していました。
公営病院の採用に関しては、地方都市では正規採用で就職することは以前はかなり狭き門でしたが、現在は看護師不足が顕著だといわれているためか、以前よりは若干就職しやすくなっているようです。
政令都市や首都圏クラスの公営病院ならば競争率は地方都市程ではないと思いますし、かえって民営病院のほうが就職してからの待遇が良かったりするので、待遇面は大きな問題にはならないかもしれません。ただ地方都市では民間の大病院は軒数が少なかったり、賃金の格差であったり、福利厚生面が劣るなど、就職にあたっては条件的に厳しいところが多いのが現状です。なぜかというと病床数が少なく経営的に資本が少ない小規模病院が多いためです。
そこで選択肢としてまず考えるのが、大規模病院や公立病院への就職を選択肢として検討します。民営の大規模病院は後述するとして、まずは公営病院について書いていきましょう。
身分は公営病院なので、経営が国営なら国家公務員、地方自治体なら地方公務員となります。
また各団体の下部にあたる公営団体などが運営している病院なども存在します。公務員の扱いの場合と団体職員という扱いがあるので要注意です。
採用試験は基本的に必ずといっていいほどあります。公務員の筆記試験と小論文、面接試験が中心となります。採用試験の時期は病院ごとに違うので問い合わせが必要になります。
看護師の公務員筆記試験ですが、多少の違いはあるものの、採用レベルは中級レベル公務員としての採用になります。試験の内容は、公務員試験と技術職採用なので専門教科の試験があります。また国立の大学附属病院などもこの範疇といえますが、採用試験は大学独自に行っていることもあるので内容が違うこともあります。
面接試験は集団面接と個人面接とありますが、採用団体によってどちらか一方かまたは両方の実施をしているところがあります。
面接官はもちろん各自治体や公共団体や省庁の職員ですので、病院とは関係のない方も当然交じっています。ここが民営の病院とは大きく違うところです。
また公正を担保するために基本的に個人レベルで内定を出すということはないといえます。
そして公務員として採用となれば、いったん採用予定者として候補者名簿というものに記録されます。それがいわいる民間企業でいう「内定」に当たります。その後、採用予定団体や病院から採用予定者本人に連絡があり、採用されたいかどうかの意思確認をされます。また同時に採用時期についても確認がありますが、このとき採用予定者本人の状況によっては採用の時期を相談ができることもあります。一般企業のように一律に4月採用というわけではなく、この点でも違いが見られます。
採用された後は、看護師ではありますが公務員の身分も同時に保証されます。
公務員というと硬いイメージはありますが、身分の保証という点では絶対的信頼と安定した福利厚生が受けられます。諸手当が充実していたり、休日の取得は民間企業より率先して取得しているところが多い傾向にあります。これは民間企業が休日を取得しやすい環境の見本となるためなのだそうです。
また卒後教育の計画も明文化されているので、キャリアや知識習得には充実感があります。
でも賃金に関しては毎年中ごろに人事院というところから勧告があり、国内景気の状態に左右されますので、毎年必ず昇給するわけではありません。ただ民営との違いは、安全確実に給与は支給されるということです。
そして何より大きな違いは、退職後すると失業手当はありません。なんといっても雇用保険という制度に該当するものがないのですが、その代わりにたとえ1年しか勤務していなくても退職金があるのです。
就職先・転職先としての民営の病院の特徴とは?
民営の病院といっても、その規模や経営形態や状態は全く異なります。
私立の大学病院が経営している病院、企業が経営している病院、設備は公共でも経営が民営の病院、まったくの個人病院、その中にも規模の大小があり経営形態も様々です。
とくに私学の大学病院は、基本的に公営の病院に準じる部分が多いのですが、看護師の採用時試験に関して公営病院ほどの試験科目はおおくないようです。また給与の面では昇給や福利厚生面で、地方の公営病院より良いところもあります。大学病院であると基本は自身の大学や専門学校で学生をある程度確保しているところはあるものの、外部からの看護師ももちろん受け入れています。但し近年では、大卒しか採用しないところもあるので、学歴がより重視されてきている傾向が分かります。卒後教育にも力を入れているところが多く、公営病院よりもレベルが高いところは多数あります。
都市圏の大病院であれば、上記の大学病院に引けを取らない待遇を受けられる病院ももちろん多数存在しています。基本的に給与が高く、専門性が高い病院もあり、公営や大学病院でなくても選択肢は多数あります。
社団法人や特定法人などの文字がある場合、民営であっても大規模病院であることが分かります。そういった病院の場合、地域の最重要病院であることや、専門性に特化した病院で研究機関を置くところもあります。
看護師として就職を考えるならば、取得できる休日や給与体系、労働環境などをよく調べることが必要になります。
採用試験に関しては千差万別です。大規模病院は基本的に春の定期採用を主としている病院もありますが、あくまで民営病院は中途採用が公営病院よりは多く、入職しやすい環境です。厳しいところは採用時に筆記試験を実施しているところもありますが、基本は書類選考と面接で採用を決定しているところが多数のようです。
大病院ばかりではなく、小規模の民営病院は地方ばかりでなく都市圏にも存在します。
採用試験は書類選考と面接であることが基本です。病院の経営形態は救急や手術治療を主体とした一般病院や高齢者や難病を対象とした療養病院などがあります。こうした環境面でも給与や労働環境が大きく違ってくるので、自身に合った就職したい病院を探すときに検討材料となります。
また民営病院というのは、たとえ法人化していても社団法人や特定法人などの文字がない場合、個人経営の病院が多いので病院院長=経営者という形が一般的なので、院長の経営方針が反映されやすいという点は特徴といえます。つまり中小企業の社長さんをイメージしてもらうと理解しやすいのではないでしょうか。
もちろん高齢化が進んでいるという点で言い方は良くないのですが、患者や利用者は顧客数としては確保できているのですが、経営面からいうと数十床規模の病院ならば、もちろん個々の経営状態は違いますが傾向として経営基盤が強いとは言えません。
但し、個人の小規模病院でも経営状態が良い病院はもちろんあります。給与が高いから労働環境が良いとは言えませんし、その逆もしかりです。
ただただ就職をするというのではなく、どの病院で何をしたいのかをはっきりと自分で目標を定めると、選択しやすくなるのではないかと思います。
より細やかな情報を取得したい場合は、ハローワークや看護師の人材紹介会社を使うことも検討しましょう。問い合わせだけでも応じてくれますし、病院内部の状況や自身の就職希望条件に合った病院も提案してもらえますので、無料で相談できるという点もうれしいサービスです。
まとめ
いかがでしたか、公営病院と民営病院の違いがみえたでしょうか?
就職先を選ぶということ、とくに最初の就職先は結構重要です。その後の看護師としてのキャリアに関わることがあります。最初で看護師として躓いてしまうと、看護師として働くことに否定的になるかもしれませんし、もっとキャリアを積んでいきたいと感じるかもしれません。
せっかく看護師の免許を取得したなら、ずっと活用していってもらいたいです。
就職試験を受けるのにこんなはずじゃなかったとならないためにも、ちょっとした採用試験の方法や採用後の情報を知っていれば時間の節約にもなります。
この情報が少しでも皆様のご参考となればうれしい限りです。
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