入浴の拒否がある利用者の対応・声掛けについて

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#813 2019/08/30UP
入浴の拒否がある利用者の対応・声掛けについて
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介護施設等で働いていらっしゃる方、日々の業務の中で入浴の介助をする業務を割り振られたことがありますか?

介護の仕事は対人であるがゆえ、マニュアル通りに進まないことが多いかと思います。なかでも介助の拒否がある方の対応で困ったことや難しい場面に出くわすことがあるかと思います。
今回は特に入浴の介助の場面での介助拒否がある方の対応の仕方についてお話したいと思います。

・入浴とは

老人福祉法において、特別養護老人ホーム(特養ホーム)では「1週間に2回以上、適切な方法により入所者を入浴させ、又は清拭しければならない。」と定めています。

つまり一回でも入浴を拒否することがあり、清拭も拒否されてしまえば、利用者は1週間に1回しか入浴ができないということになります。
もし自分が1週間に1回しか入浴ができないとなったらどうでしょう?とても嫌ですよね。しかし入浴をしていただきたい介助者の気持ちとは裏腹に、利用者がどうしても拒否されてしまう場合どのように対応すればいいでしょうか。今回はそんな入浴を拒否されてしまう方の介助方法や声掛けの仕方をお話しできればと思います。

・なぜ入浴を拒否してしまうのか

まず利用者がなぜ入浴を拒否してしまうのかを考えてみましょう。
あなたが利用者の入浴の拒否がある場面にでくわした場合、まずその利用者になぜ入浴は嫌なのか聞いてみましょう。実はそれが一番手っ取り早い方法だったりします。
そしてその聞いてみるという行為は、介護にとても大切な「傾聴」という行為になります。

・①例えば…「たくさん人がいるのが嫌」

「たくさん人がいるのが嫌」と答えた場合、その利用者は一人でお風呂に入るのが好きなかたかもしれません。銭湯などに入ったことがなく、他人に裸を見られるのに抵抗がある方かもしれません。そもそも入浴自体が嫌いなわけではないそのような方に対しては、「入浴の始まる一番最初、または最後に入浴してもらう」といいかもしれません。
人数が少ない時間(始まりや終わり)に入浴の誘導を行えばスムーズに入っていただけるかもしれません。

・②例えば…「昨日入ったからいい」

「昨日入ったからいい(※実際は昨日はその利用者の入浴日ではない時)」と答えた場合、これは認知症による利用者の記憶があいまいになってしまうことでよく見られる拒否です。こういうときは「そうですね、今日もこれからお風呂の時間になりますよ」と答えていきましょう。大切なのは、まず利用者の訴えを受け入れてあげることです。
そもそも入浴は毎日行っても構いませんし、普段介助されていない私たちはほぼ毎日入浴していると思います。そのことは変なことでも、おかしいことでもないので、まずは昨日入ったことを事実として受け入れて、声掛けをしてみましょう。
ダメな声掛けの例は「昨日は入ってないでしょ?」と強く否定することです。この声掛けでさらに「いいえ、入ってます」というように拒否が強くなってしまうことが多いです。押してダメなら引いてみろの理論で声掛けしてみましょう。

・③例えば…「嫌なものは嫌」

「嫌なものは嫌」と答えた場合、実際にこのパターンはよく出くわすかと思います。
利用者も拒否の理由ははっきりしていないけれど何となく嫌、というこの場面。これについて少し考えてみましょう。

まず利用者が女性の場合。この場合は女性のヘルパーに代わってもらってみましょう。
特に女性の利用者は男性のヘルパーに対して、入浴時の拒否が見られることが多いです。利用者が一人で脱衣が出来ないと認識されていれば「わるいわね」と言ってくださり拒否は見られないのですが、認知症等により一人でできる意識の強い方はこのような拒否があるように感じます。そして、「一人でできるのに男性に無理に介助され洋服を脱がされる」のは気持ちのいいものではないと思います。そういった思いから「よくわからないけど嫌」という拒否につながるのかなと思います。そのため女性のヘルパーに代わってもらうと拒否は見られなくなるかもしれません。

次に男性の場合。このようなときは「面倒くさい」という気持ちがあるのかもしれません。男性が入浴を拒否され、その理由がない場合は、お風呂に入るのが面倒だからという背景があることが多いように感じます。「洋服を脱いだり着たりが面倒だから」「体を洗うのが面倒だから」というような気持ちを伝えられず、「嫌なものは嫌だ」と拒否されてしまう方がいます。
その場合は「洋服脱ぐの手伝いますよ」や「体洗うの手伝いますよ」と伝えてみてください。もしうまくいけば「それなら…」としぶしぶ入ってくださるかと思います。そして自分で脱ぎ始めてくださる方や、浴室に入ってしまえば、手伝うという約束を忘れてしまい自分で洗ってくださったりします。入ってしまえば面倒臭さよりも入浴の気持ちよさが勝ってしまうので拒否は見られないことが多くあります。

・どうしてもダメな場合①

どんな声掛けでも、時間をずらしても、ヘルパーを変えてもダメな時もあります。その時の最終兵器は入浴後の処置をしている看護師さんに頼りましょう。というのも、「看護師さんが体に薬を塗ります」や「皮膚の状態を診せてください」と伝え、洋服を脱いでもらいましょう。または看護師さんが声掛けするのも効果絶大です。そして浴室に入ってしまえば、あとは体を洗って脱衣所に帰ってくるだけです。その頃には看護師さんの処置があることをすっかり忘れていらっしゃったりします。

・どうしてもダメな場合②

それでもダメな場合はきっぱりあきらめましょう。
無理に洋服を脱がせる必要はありません。入浴で得られる清潔に近づくような方法に切り替えましょう。
例えば、入浴がだめでも手浴や足浴、清拭や着替えだけでも入浴ほどではないですが、温熱効果や清潔効果があります。顔を温かいタオルで服だけでも気持ちよさが味わえるので、無理に入浴をしなければいけないという考えはやめ、できるだけ利用者が不快な思いをしないような方法に切り替えていきましょう。
逆に、無理に入浴を強制すると、利用者が認知症でも、その嫌な思いは残りますのでさらに次回の入浴でも拒否されてしまい、長い間ずっと入浴を拒否してしまうような悪循環に陥ってしまいます。

まとめ

・さいごに
入浴の拒否に対する声掛けの仕方についてお話しました。いかがだったでしょうか?
入浴は介護の中でも3大介護と呼ばれる重要な業務になります。それが利用者にとって、介助者にとって嫌なものにならないようにいろいろとアイデアを職員間で出し合いながらその利用者にとってふさわしい入浴が出来ればと思います。なによりも利用者の思いをくみとり、人権を尊重して介助していきましょう。無理があれば入浴ではなく他の方法を積極的に考えていきましょう。

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