交代勤務である看護師の大事な仕事の一つに「申し送り」があり、申し送りには個性がでます。しかし、申し送りに自身を持てず、苦手意識のある新人看護師さんは多いのではないでしょうか。 そこで看護師の申し送りの方法やコツ・上手に申し送りをするポイントについてご紹介したいと思います。
●時系列ではなくカテゴリ別に申し送る
申し送りが苦手な人、分かりにくい人はバイタルサインから一日あったことを、全て時系列に申し送るという特徴があります。しかし、それでは申し送り時間が長くなるだけで、患者の問題点を明確に出来ていない状態です。また、申し送りが長くなることで本当に必要なことが伝わらなくなる場合もあります。
それでは、カテゴリ別の申し送りとは、どういった申し送りの方法でしょうか。
例えば肺炎の患者さんの場合、時系列の申し送りは「バイタルサインは体温36.5度 血圧132/76mmHg 脈拍76回/分、SPO2 96%です。吸引で白色粘稠痰中等量引けました。清拭時踵に発赤がありました。食事は全量摂取しています。午後からのバイタルサインは・・・」となります。
それに対してカテゴリ別の申し送りは「発熱なくSPO2 96% 吸引にて白色粘稠痰中等量引けましたが、肺雑音や呼吸苦はありません。食事は全量むせなく摂取しています。踵に発赤が生じていた為、除圧しっかりお願いします。」となります。
時系列の申し送りの場合、何が一番大事なのかわからない状態ですが、カテゴリ別にすることで、肺炎の状態がどうなのか、食事摂取状況といったように、大事なことからカテゴリに分けての申し送りとなっており、申し送りを聞く側としても分かりやすいと思います。
また、発熱のことをいうのであれば、採血結果の炎症所見やレントゲンの肺炎像はどう変化しているのかを付け加えたり、食事の際は食事形態やとろみの有無、むせがないのか、嚥下状態はどうなのかを付け加えるなど肉付けしていくことで、より疾患への理解も深まり、分かりやすい申し送りになります。
●時系列が必要な場合
カテゴリ別が分かりやすいと言いましたが、投与時間を正確に把握する必要がある場合は、時間も踏まえての申し送りが必要です。
例えば心不全で利尿剤が開始になった場合は、利尿剤投与時間からの尿量を把握することで利尿剤の反応を確認することが出来ます。
そのため、その場合は、「何時何分にフロセミド2ml 1A ivし何時時点で尿量○○mlありました」というように時間も踏まえての申し送りが必要です。
●行った看護・結果を伝える
例えば、「発熱があり、解熱剤を使用しました」など自分が行った看護のみの申し送りでは結果が分からず、申し送り内容としては不十分です。
その場合、「体温38.5℃あり、何時何分に解熱剤(薬剤名)使用しクーリングを開始しました。最終何時で37.4℃と微熱のためクーリング更新しています。再検お願いします」といったようにアセスメントし、計画、実施し、評価、計画と一日担当する中でもそのように看護を行い、申し送れると分かりやすくなりますし、看護の幅も広がるではないでしょうか。
●入院の申し送り
入院の申し送りは患者情報がない状態の先輩への申し送りのため、さらに緊張するのではないでしょうか。入院の申し送りの際はポイントを押さえておけば大丈夫です。
①名前 年齢 性別
②入院になった経過 診断名 入院目的
③安静度や指示
④症状
⑤ADLや認知機能
⑥既往歴や特記事項
といった順番に申し送りをすると分かりやすいです。
例えば、骨折で入院になった場合、
「○○さん、80歳女性。自宅で転倒し右大腿部打撲、体動できず救急受診しました。右大腿骨頚部骨折にて何月何日に手術(術式)目的にて入院となりました。ベッド上安静で現在右大腿部に腫脹・熱感・疼痛ありますが、足趾の運動可能です。
ADLは全介助でオムツ装着。膀胱留置カテーテル14Fr挿入しています。
既往歴は高血圧にて降圧薬内服中。術当日の朝の降圧薬内服します」
といった流れになります。状況に応じて内容の追加や順番の変更も可能です。
●メモの取り方を工夫しよう
メモの取り方は人それぞれです。メモを取る時点で申し送りを意識しカテゴリ別に、そして全てメモを取るのではなく、要点をまとめメモをしておくと、申し送りがしやすくなります。
また、事前にまとめながらメモを取ることで気持ちにゆとりが生まれ、苦手意識の克服につながります。
メモの取り方のポイントの一つとして色分けしメモをする方法やマーカーを付けるなどの方法も分かりやすいです。例えば、自分で観察したことは黒、医師の指示は青、重要なことは赤と分けることで視覚でも大事なことを見分けることができるのではないでしょうか。
また、メモをした後は、申し送りをする順番に番号を付けていくことも、申し送りの際に見やすくなっていいと思います。
最初の方は、時間がある場合、申し送り内容をすべて文字に起こしてみるのも一つの方法かもしれません。
●指導を受けたことを取り入れる
新人看護師の時は先輩への申し送りは緊張するものであり、指導を受けると怖い、怒られたと思うこともあるかもしれません。しかし指導こそ、成長へのチャンスと言えます。
指導が入ることで、何が不足していたのかと振り返るいい機会にもなるため、よい申し送りをするためには指導内容をしっかり取り入れるようにしましょう。
また、申し送り後に「分かりにくいところはなかったですか?」や「不足していたところはないですか?」と聞くことで成長にも繋がるとともに、熱心さが伝わり、先輩も協力的になったり、助けになってくれるようになるでしょう。
●先輩の申し送りを取り入れる
毎日申し送りを聞く中で、この先輩の申し送りはわかりやすい、まとまっていると思うことがあると思います。そのような先輩の申し送りはどんどん吸収し真似しましょう。どういう順番で申し送るのか、どういう内容で申し送るのか、自分の申し送りと何が違うのか、など参考になることがたくさんあると思います。
●はっきり申し送る
先輩看護師に指導を受けることを恐れて小声になったり早口、おどおどすることもあるのではないでしょうか?しかし、自信がなさそうな態度や、小声で話すと、先輩の攻撃性を引き出すかもしれません。
そのため、ゆっくりでもいいので、はっきり申し送るようにしましょう。
また指導を受けた際も自分が出来ていないという思いになり、萎縮してしまう場合もあると思います。そんな時こそ、「すみません。ありがとうございます」とはっきりと言い、気持ちを切り替え申し送りの続きをするようにしましょう。最初は出来ないことも多いかもしれませんが、経験の積み重ねと意識することで出来るようになってくるでしょう。
まとめ
いかがでしょうか?新人看護師の際、申し送りは緊張するかと思いますが、経験とともに観察力が身に付き、コツも身に付き、慣れてくるものです。そのため、しっかり患者さんの観察・看護を行い、先輩の指導に恐れずにはっきりと申し送りをして下さい。そして、いつか入職する自分の後輩に分かりやすい申し送りと思ってもらえるように頑張ってください。
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